【ACB89】活動再開、高度な戦いは不変=アブドゥルバクヘヴ×バコフのライト級選手権試合
【写真】不透明なACBにあって、高度な戦いだけが確かな要素だ (C) ACB
8日(土・現地時間)、ロシア連邦クラスノダールのバスケットホールでACB89「Krasunodar」が開催される。
ケージの中のレベルの高さだけでなく、世界を転戦するプロモーション規模でUFCに次ぐMMAプロモーションと称されるまでに成長していたACBは、今年の7月に突然のファイナンシャルプロブレムに襲われ、キプロス、ロシアのカザン、英国、そしてスウェーデンでの興行をキャンセルし、この土曜日のクラスノダール大会が実に6月16日の豪州大会以来のイベント開催となる。
YouTubeやフェイスブックの無料配信も、PPVストリーミングに変更されるなど、緊縮財政にあることは間違いないACB。今後に関しても今年はモスクワ大会を控えているのみで、2019年に向けて仕切り直しを図っている最中だ。
そんな苦難の時期を迎えたACBだが、ケージの中は以前と変わりないワールドトップレベルを維持している。メインはACBライト級王者アブドゥルアジス・アブドゥルバクヘヴァがアリ・バゴフの挑戦を受け、セミはブラジルのシロ・ホドリゲスとアルベルト・トゥメノフがACBウェルター級王座決定戦を行う。さらにACBミドル級王者のアルベルト・デュラエフが、ポーランドのピョートル・ストルスを相手に王座防衛戦を行うなど、今大会は3階級のタイトル戦が組まれている。
3つの選手権試合以外にもヘビー級でイランのレスリング世界選手権覇者アミル・アリアックバリが、元UFCのダニエル・オミランチョクと対峙する国際マッチを始め、第3試合に昨年12月にHEATで春日井たけしを破ったアザマット・カレフォフが出場するように、勝率の高いロシア勢が大挙出場する。
いってみれば省エネ財政により、ファイターは以前に増して選りすぐられ、質の高いカードが並ぶことになったわけだ。なかでもメインのライト級タイトル戦はグンを抜いている。キャリア15勝1敗のチャンピオン、アブドゥルバクヘヴァにとってこの試合は4度目の防衛戦となる。
勢いのあるロー、KOパワーを有している左リードフック&右ストレートに加え、これらのパンチが届く距離で、何パターンものテイクダウン・テクニックも持ち、胸があったクリンチ状態でも足技ばかりか、腰技も得意としている。またシングルからバックを奪取する技術にも長じており、中間距離より近いレンジでの強さはまさに鉄壁だ。
ただし、前回の暫定王者エドゥアルド・ヴァルタニャンとの統一戦では、足を使われやや遠目の距離を取られると、前に出たところでパンチや蹴りを被弾し苦戦を強いられた。それでも前に出る姿勢で辛くも王座統一なったアブドゥルバクヘヴァにとって、バゴフは2度目の王座防衛戦の相手だった。
開始直後にバゴフがシングルレッグを決め、アブドゥルバクヘヴァはバタフライスイープを狙いスクランブルへ。バゴフの小外掛けをアブドゥルバクヘヴァが内股で投げ返すという序盤戦から、両者はノンストップアクションを繰り広げられた。
半端ないレスリング力を持つ両者が、トップの取り合いにパウンドとサブミッションを織り交ぜた試合は、中盤戦でバゴフがニーインベリーからマウントを奪取して支配。勢いのあるパンチを連打したバゴフがバックを制してRNC狙いも、アブドゥルバクヘヴァが体を捩じってエスケープ。何とか難を逃れたもののマウントからのバゴフのパウンド&エルボーは続いた。
ケージを蹴って逃げたアブドゥルバクヘヴァは、バックに回ろうとしたバゴフを前方に振り落し、トップを取る。ここからは強烈な勢いでヒジを打ちつけ、オモプラッタを防ぐと担ぎパス、逆にニーインベリーを奪取する意地を見せサイドで抑えて初回を戦い終える。
目まぐるしく攻守を入れ替えた強度の高い試合は、ここで突然の終幕を迎えてしまう。アブドゥルバクヘヴァのエルボーで、左の耳の辺りから首、肩に痛みを訴えたバゴフが試合続行不可能となったのだ。
この敗戦後、バゴフはブッバ・ジェンキンス、レアンドロ・ブスカペ、トニーニョ・フリアという海外勢3人を含む4選手を相手に勝利を重ねて、再挑戦の権利を得た。穴のないウェルラウンダーが基本のロシアンMMAファイター、そのなかで打撃、テイクダウン、コントロールという武器を兼ね備えるなか、バゴフはサブミッション能力が非常に高く、ACB一のフィニッシャーという評価もなされている。
アブドゥルバクヘヴァとバゴフのライト級タイトルマッチは、現状が不透明な状態にあるACBにあって唯一といって良いほど確かな要素=質の高いファイトになることは間違いない。
■ ACB89対戦カード
<ACBライト級選手権試合/5分5R>
[王者]アブドゥルアジス・アブドゥルバクヘヴァ(ロシア)
[挑戦者]アリ・バゴフ(ロシア)
<ACBウェルター級王座決定戦/5分5R>
シロ・ホドリゲス(ブラジル)
アルベルト・トゥメノフ(ロシア)
<ACBミドル級選手権試合/5分3R>
[王者] アルベルト・デュラエフ(ロシア)
[挑戦者] ピョートル・ストルス(ポーランド)
<フェザー級/5分3R>
タイグロ・コスタ(ブラジル)
アドラン・バタエフ(ロシア)
<フェザー級/5分3R>
ムハメド・ココフ(ロシア)
ロマリ・アスキエフ(ドイツ)
<フェザー級/5分3R>
ムラッド・マチエフ(ロシア)
ムラット・バラエフ(ロシア)
<ヘビー級/5分3R>
アミル・アリアックバリ(イラン)
ダニエル・オミランチョク(ポーランド)
<ライト級/5分3R>
ユーサップ・ウマロフ(ロシア)
アンドレイ・コシュキン(ロシア)
<フライ級/5分3R>
ゴーガ・シャマタヴァ(ロシア)
ヴァレリー・ハジロコフ(ロシア)
<フライ級/5分3R>
ラスル・アルバスカノフ(ロシア)
ナレク・アバギャン(アルメニア)
<ライトヘビー級/5分3R>
アミルカン・グジエフ(ロシア)
トレド・カネリャス(スペイン)
<フェザー級/5分3R>
マゴメド・スルモフ(ロシア)
アコップ・ステパーニャン(アルメニア)
<ウェルター級/5分3R>
イムラン・アバエフ(ロシア)
マルセロ・アルファイア(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
アズマット・カレフォフ(ロシア)
クルバン・ガジエフ(アルメニア)
<バンタム級/5分3R>
イスラム・マシェフ(ロシア)
マハルベク・カラジノフ(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
ルスタン・タルディエフ(ロシア)
ボグダン・バルブ(ルーマニア)