【WJJC2018】展望─05─ミドル級、アウジェス&オターヴィオ・ソウザを崩すのは? ミッツも参戦!!
【写真】今度、どれだけ世界の頂点に立つのか。競技柔術の歴史を変える可能性を持っているアウジェス(C) MMAPLANET
既に5月31日(木・現地時間)から開幕し、3日(日・同)までカリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて行われるIBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権。プレビュー第5回は、現在二連覇中のガブリエル・アウジェスを中心に強豪ひしめくミドル級の見所をお届けしたい。
【ミドル級】
優勝候補筆頭は、世界2連覇中のガブリエル・アウジェス(グレイシー・バッハ)。誰が相手でもたちどころにスイープを決める世界最高のオープンガードの使い手にして、高い身体能力から繰り出すダイナミックなトップゲーム&極めも強烈無比。
まだ25歳にして、すでに世界で頭一つ抜けた強さを誇るアウジェスの覇権は、今後何年間続くのだろうか。世界を6度制した怪物ハファエル・メンデスをも上回る記録を打ち立てる予感すら、この男にはある。
さらに同門バッハからは、12&13年の世界王者にして、一昨年もアウジェスと優勝を分け合ったオターヴィオ・ソウザもエントリー。抜群のタイミングのオモプラッタをはじめとする多彩な技術で数々の栄光を勝ち取ったベテランは、昨年のパン大会決勝では新鋭イザッキ・バイエンス(後述)を跳び三角で仕留めて優勝しており、その力に衰えは見られない。ソウザとアウジェスによる、2年ぶりのバッハによるクローズアウトの可能性は決して低くはない。
このソウザに同ブロック内で立ちはだかる強敵が、昨年のブラジレイロ決勝でソウザを倒しているジェイミー・カヌート(GFチーム)だ。クローズドガードからの強烈な腕十字や三角を得意とするカヌートは、続く世界大会でもアウジェスとレフェリー判定にもつれ込む接戦を演じており、バッハ勢二人を倒す力は十分に秘めている。
さらに昨年準優勝のマルコス・ティノコ(アリアンシ)も、打倒アウジェスの有力候補だ。世界大会では2年連続でアウジェスに一本負け(一昨年はヒザ十字、昨年はチョーク)を喫しているが、今年のパン大会の決勝ではついにアウジェスと互角の勝負を展開、アドバンテージ差まで持ち込んでいる。
昨年の世界大会、今年のパン大会と2年連続でソウザを準決勝で下し、バッハ勢のクローズアウトを阻止したのもこの男だ。今回ティノコが順当に勝ち上がれば、準決勝でアウジェスと3度目の正直を掛けた戦いを迎える確率が高い。アウジェスにとっては、このティノコ戦こそ優勝に向けての最難関となるだろう。
ティノコの同門アリアンシからは、昨年のワールドプロでホベルト・サトシ・ソウザを倒し、アウジェスとも互角の試合を展開したイザッキ・バイエンスも出場している。今年に入ってもヨーロピアンを取り、階級が違うとはいえマリアナス・オープンでも岩崎から一本勝ちして優勝を遂げるなど、目下のところ絶好調だ。今回自らのブロックを制することができたならば、準決勝でソウザ×カヌートの勝者と顔を合わせる可能性が高い。
しかし、バイエンスのブロックにはある超大物が控えている。15年に世界柔術ミドル級&ADCC世界大会無差別級制覇という偉業を成し遂げたクラウジオ・カラザンス(アトス)だ。今年34歳となるベテランは、ここ最近は重い体重で戦い敗れることも目立つが、昨年のワブダビ・ワールドプロではブラジル予選から勝ち上がり優勝。その地力は健在──10歳以上若いバイエンスとの新旧対決は注目だ。
もう一人注目したいのは、ノルウェー人柔術家トミー・ランガカー(KMRBJJキムラヨーロッパ)だ。今年のヨーロピアン大会無差別級にて、昨年のスーパーヘビー級世界王者エルベース・サントスの腕を下から極めて一本勝ちし、世界を震撼させてみせた24歳だ。さらに続くパン大会の無差別級においても、階級上の大物ヘナート・カルドッソを下して3位入賞、恐るべき実力者ぶりを見せつけている。順当に勝ち上がれば準々決勝で絶対王者アウジェスと戦うことになるランガカー。今年北欧から突如現れた新星は、再び世界を揺るがすだけの潜在能力を秘めている。
そのほか、一昨年のヨーロピアンとパンを獲り、世界大会でも3位に優勝したヤゴ・ソウザ(Nsブラザーフッド)、昨年のヨーロピアン王者ルアン・カルバーリョ(ノヴァウニオン)等、この階級には強豪がひしめいている。
そんな大激戦のミドル級に、日本から初参戦を果たす選手がいる。フランス出身にして、カルペディエムでインストラクターを務めるトーマス・ミッツだ。青帯の頃よりカルペディエムで練習に励み「カルペディエムは私に日本での居場所を見つけてくれました」と語るミッツは、昨年のヨーロピアン茶帯3位に入賞した実績を持つ。故郷を遠く離れた東洋の地で柔術家としての可能性を開花させた青年は、今年ついに黒帯として世界最高峰の舞台に挑む。