【WJJC2018】展望─03─大塚博明出場のフェザー級=コブリーニャ不在──本命はアンドレとサジオロか!?
【写真】ザジオロとアンドレ、ハファとコブリーニャのいないフェザー級で頂点に立てるか (C) MMAPLANET
31日(木・現地時間)から6月3日(日・同)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われる。プレビュー第3弾は日本から大塚博明が参戦するフェザー級の見所をお届けしたい。
【フェザー級】
昨年37歳にしてヨーロピアン、パン、ブラジレイロ、世界柔術を全制覇した超人コブリーニャことフーベン・シャーレスが欠場。それにより今年は群雄割拠、本命を一人選ぶのが難しい状況となっている。
まず挙げるべきは、一昨年の世界大会準決勝でコブリーニャからパスを奪って勝利し世界を震撼させたマーシオ・アンドレ(ノヴァ・ウニオン)か。難攻不落のオープンガードゲームと、力強いトップゲームを併せ持つアンドレは、今年のヨーロピアンも順当に制覇している。が、世界大会では一昨年は決勝で絶対王者ハファエル・メンデスに惜敗、昨年はレオナルド・サジオロに準々決勝でレフェリー判定負けとまだ頂点には立っていない。今回、世界初制覇最大のチャンスが到来した。
アンドレのブロックにおいてその対抗馬として挙げられるのは、昨年の世界大会で3位に入った22歳、シェーン・ジャミル・テイラー(ロイド・アーヴィン)か。準決勝でコブリーニャと戦ったテイラーは、強烈なループチョークでまさかの場面を作り、さらにアキレス腱固めから上を取るなど攻勢に。
さらに終盤には投げからニアマウントを奪う驚異の攻撃力を発揮してみせた。コブリーニャ=レジェンドという『威光』がなければ勝っていたのではないかと思えるほどの、限りなく勝利に近い旗判定=スプリット判定負けを喫している。今年もパン大会で準優勝を挙げた新星は、多くの柔術ファンの熱い視線を集める存在だ。
同ブロックには、ライト級からフェザー級に階級をあげてきたコブリーニャの愛弟子のアイザック・ドーダーライン(アリアンシ)、今年35歳にして05、08年のライトフェザー級世界王者サミュエル・ブラガ(グレイシー・バッハ)も表彰台候補といえるだろう。
そして忘れてならないのが、御年51歳を迎えるメガトンことウェリントン・ディアス(グレイシー・ウマイタ)だ。計量問題で物議を呼ぶマッケンジー・ダーンの父親というイメージの方が今のファンには強いかもしれないが、オールドファンにはたまらないメガトンのアダルト出場だ。
もう一方のブロックにおける有力候補としては、まず昨年の世界大会準々決勝でアンドレを倒したレオナルド・サジオロ(BTT)の名が挙げられるだろう。
続く準決勝にてジャンニ・グリッポにも競り勝ってみせたサジオロは、決勝のコブリーニャ戦でも重心の低いトップゲームを用いてなかなかスイープを許さず。たとえ下になっても即座にスクランブルからコブリーニャを抱え上げて上を取り返すなど、底知れぬ地力を発揮した上での惜敗だった。
今年も強豪が集まったイベント「King of Mats」においてイアゴ・ジョルジやジャンニ・グリッポを制して優勝するなど、好調を維持しているサジオロ。昨年伏兵として波乱を起こした男は、今年は押しも押されぬ優勝候補だ。
同ブロックには、そのジャンニ・グリッポ(アリアンシ)の名もある。常に精力的に試合出場を続ける米国モダン柔術の旗手は、今年もすでに30戦以上を消化。世界の強豪相手に8割以上の勝率を収めており、上述のサジオロ戦等、数少ない敗戦試合は全てごく僅差のものだ。
今年のパン大会では上述のテイラーに競り勝って優勝。怪物ハファ・メンデス、そして偉大すぎる兄弟子コブリーニャのいない今年は、グリッポにとっても世界初制覇の絶好のチャンスと言えよう。
加えてブロックには、今年のブラジレイロ決勝でグリッポを下したハファエル・マンスール(Nsブラザーフッド)、ミヤオ・キラーとして名を馳せるケイシーニョことオズワウド・モイジーニョ(アレス)、挑発的な言動をもってプロ大会で活躍するAJ・アガザーム(グレイシー・バッハ)など、柔術のメンバーが揃っている。特にAJのフェザー級におけるレスリング・フィジカルにどれだけアドバンテージがあるのかも気になるところだ。
そんなフェザー級に日本から参戦するのが、大塚博明(PSBJJ荻窪)だ。メジャーな国際舞台デビューとなった3月のパン大会の初戦では、国際大会常連のブライアン・マエチャに競り勝ち、その技術の高さを証明して見せた。
次戦でケイシーニョに一本負けして世界トップの力を体感した大塚の今回の初戦の相手は、昨年の世界大会準々決勝で、コブリーニャとレフェリー判定まで持ち込んだジルソン・ヌネス(チェックマット)。今大会にて再び世界トップと合間見えることで、大塚はまた一歩階段を登ろうとしている。