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【WJJC2019】フェザー級優勝は、グリッポやアンドレに勝った黒帯1年目のマテウス・ガブリエル

Feahter【写真】ヒルテイラーとガブリエルで、ハファ・メンデス✖コブリーニャのような時代を構築することになるのか(C)MMAPLANET

5月30日(木・現地時間)から6月2日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。競技柔術世界一を決定するこのムンジアル・レビュー第10回は、またも超新星が現れたフェザー級決勝の模様をレポートする。


012019年のムンジアル・フェザー級、昨年優勝のショーン・ヒルテイラーが欠場してなお、黒帯1年生のマテウス・ガブリエル(チャックマット)という超新星が生まれた。大塚博明に大勝したジョアオ・メンデスと対戦したガブリエルは6-4で快勝すると、準々決勝で優勝候補のジアニ・グリッポ(アリアンシ)と対戦。

迅速のベリンボロと50/50からのバック狙いで点を奪い、最後はグリッポのスイープ狙いを素早い反応と抜群のボディバランスで凌いで4-2で勝利した。

ガブリエルは準決勝でケイシーニョことオズワウド・モイジーニョ(アレス)と対戦。デラヒーバから後ろに倒して先制点を奪うと、上からケイシーニョの攻撃をさばき続けて勝利。守りの強さも見せつけ、期待通り決勝に進出を果たす。

03もう一つのブロックでは、一昨年、昨年と準優勝しているレオナルド・サジオロ(BTT)と15年準優勝のマーシオ・アンドレ(ノヴァウニオン)の注目の一戦が準々決勝で実現した。上を選択してアドバンテージを取ったアンドレは、サジオロ必殺のハーフガードからスクランブルしてのスイープを切り返して2点を先制(今年からのルール改正で、片方がスイープを仕掛けて両者が立ち上がって3秒以上経過してから試合が再びグラウンドに持ち込まれた場合、上になった方に2点が与えられることになった)。

02その後アンドレはサジオロにスイープを取られるものの、下から巧みにスパイダーグリップを用いてサジオロの強烈なプレッシャーパスを捌ききり、最初の上選択で得たアドバンテージ差を守りきる形で勝利した。

勢いに乗るアンドレは準決勝でブラジレイロ王者のアイザック・ドーダーライン(アリアンシ)と対戦し、今大会でさえわたっていたドーダーラインの足関節狙いに乗じて上を取り、最後のスイープの猛攻も見事なバランスと体捌きで凌ぎきって4-2で勝利。3年振りに決勝に進出したアンドレと、ガブリエルによる注目の決勝戦が実現した。

<フェザー級決勝/10分1R>
マテウス・ガブリエル(ブラジル)
Def. by リバースアームバー
マーシオ・アンドレ(ブラジル)

04両者引き込みから、上を選択したのはアンドレの方。ガブリエルはすぐに足を絡めてアンドレの右足を引き出し、50/50を作る。さらにアンドレの股間から頭を出してのバック狙いにゆくガブリエルだが、アンドレは重心を下ろし座り込んで上をキープする。そのまましばらく戦況は膠着し、両者にペナルティが与えられた。

05やがてガブリエルは、50/50で絡んだまま片足一本で立って上を狙うが、アンドレも強固なバランスで耐える。下になったガブリエルは正面を向き、再びアンドレの右足を引き出しにかかるが、アンドレはしっかりと座って許さない。

06ならばとガブリエルは内回転してのバック狙いに。しかしアンドレはカウンターでガブリエルの右足にトーホールド。回転して逃げたガブリエルは、再び左足一本で立ち上がり、やはり片足で立ったアンドレとケンケン相撲状態に。ここからガブリエルは勢いよく片足で旋回してアンドレのバランスを崩して上に。これでガブリエルが2点を先制したが、トーホールドを狙ったアンドレにもアドバンテージが与えられた。

07残り4分。下になりながらも50/50を作ったアンドレは、ガブリエルを後ろに崩しにかかるが上を取り切れない。やがてガブリエルが背中を付けてダブルガードになると、アンドレはガブリエルの両方のズボンを掴んで引き寄せながらシットアップを狙う──も、ガブリエルも反応して立ち上がる。

08するとアンドレはシングルレッグに移行して倒しにかかる。場外側で耐えるガブリエルをしつこく追いかけたアンドレは、ついにリフトしてテイクダウンに成功するが、与えられたのはアドバンテージのみだった。

09残り2分でのスタンド再開。依然として2-0で負けているアンドレは、引き込んで内回りに。ここでガブリエルは一瞬でアンドレの右腕をすくって掬って倒れこむと、後ろ三角絞めのような形で足を絡めながらアンドレの右腕を伸ばす。

10この内周りへのカウンターの腕狙いは、パン大会でガブリエルが世界王者のシェーン・ヒルテイラーを極めかけた技だ。そのままガブリエルが両腕で絞ると、アンドレがタップ。なんと黒帯一年目の21歳ガブリエルが、一本勝ちで世界初制覇を果たした。

下になれば凄まじいキレのベリンボロと、強力な50/50からのスイープを持つガブリエル。トップにおける反応とボディバランスも素晴らしく、その力強い体捌きはこの階級のかつてのレジェンド、コブリーニャことフーベン・シャーレスを彷彿とさせる。その上でアンドレのような超一流から一本を奪ってしまう無類の極めの強さ。若くしてコンプリートな能力を兼ね備えた驚異の超新星が今後どこまで強くなるのか、想像もつかない。

■フェザー級リザルト
優勝 マテウス・ガブリエル(ブラジル)
準優勝 マーシオ・アンドレ(ブラジル)
3位 オズワウド・モイジーニョ(ブラジル)、アイザック・ドーダーライン(米国)

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