【Pancrase295】暫定KOPT戦へ。「勢いが自分の持ち味だと分かった上で、細かくいく」松嶋こよみ─02─
【写真】考えることができているからこそ、指導やアドバイスも生きる。考えることは大切だ(C)MMAPLANET
4月15日(日)、東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催されるPancrase295で、フェザー級暫定王座を賭けてISAOと対戦する松嶋こよみインタビュー後編。
イズムにおける練習で長所を伸ばし、短所を補うことができる環境、そこに通じる「崩れない」とISAOの強さを言い表す松嶋の攻略後方とは?
<松嶋こよみインタビューPart.01はコチラから>
──思慮深くなり、自覚もしている。反面、大人しくなり過ぎていないですか? 先輩達に常に囲まれることになって。
「そんなことないですよ(笑)。試合ではそういうつもりで戦っていますし、普段から自分をさらけ出す必要はないと思っています。練習中だってたまにイラッとして出てしまうこともありますし。ただ、それで練習相手がいなくなってしまっても自分のためにならないし、試合にため込んでいます」
──なるほどッ!! 大人になった(笑)。
「僕がイラッとしても、誰も意に介さないような練習環境ですけど。今、色々と教えてもらって凄く感謝しているので、そこは人間として丁寧にしていきたいです。AACCにいた時はただ暴れているだけみたいな練習があったので(苦笑)」
──その時期を経て今があると。最初から暴れない人は、この重要性も理解できないと思います。
「ハイ」
──イズムでの練習を見ていると、フルケージがあるのは有り難いのですが、どうしても小さい。するとすぐに金網に詰めることができる。そういう意味で、実際にデカゴンで戦う時の距離間とはかなり違ってくるかと。
「それはあります。僕にとって間合いは凄く大切です。だから、距離を取るという意識は自分のなかで常にあります。逆に僕が弱いのは近い距離なので、このなかで詰められない練習だとか、詰めた時にどう攻撃するのかなど考えています。
広い場所だと倒し切れるのも、ケージに詰まるとそうでなくなる。だから、そういう練習には適しています」
──得意な面でなく、苦手な面で活かす。納得です。
「やはり倒し切れないことが多いんです。そこを練習相手の強さに関係なく、倒し切れるようにならないといけない。広いマットと違い、囲われている分だけ動きが制限されることはあるのですが、そのなかでどうやって動けば良いのか考えることができますし、練習としてはしっかりと成り立っていると思います。
対照的にマットスペースだと距離を取った練習もできるし、どちらも使って苦手部分を克服し、得意な部分を伸ばしていきたい。誰もフルのデカゴンで練習している選手はいないわけですし。この2つがあるからこそ、気付く点も多い。そこが自分の成長につながっています」
──では、今回の試合に関して5R制という点をどのように捉えていますか。
「そこですね(笑)。ISAO選手と戦うこと云々より、5Rということの方が大きく意識しています。これまで3Rでヒィヒィ言いながら練習していたのに……。そこをもちろん考えた練習をしていますが、試合でどう出せるのかは分からない。だからこそ、意識し続けています」
──4月の大会は北岡(悟)選手も試合があります。もちろん、北岡選手は勝ってすぐにセコンドに頭を切り替えるつもりでしょうが、そこは勝負であり何が起こるか分からないです。そして、事前にネガティブな要素は少しでも減らすのもファイトだといえます。
「正直、最初はそこがネックになって4月なら断ろうかという想いもあったことは否定できないです。でも、戦うと決めてからはもう考えない。北岡さんがセコンドに就いてくれるのが一番有り難いですけど、それよりも練習中に指導してくれることをワンシーン、ワンシーン毎に自分のなかで切り分けて戦うことができますし。
北岡さんの存在をエクストラにできる──ぐらいの自分になることです」
(少し離れたところで取材の模様を眺めていた)北岡悟 もう言ってもしょうがないです(笑)。こうなっちゃったんだから。
「とにかくデカゴンのなかで自分の弱さを見せずに、最後まで戦い抜くだけです」
──しかし、オラァオラァの頃はその粗さが心配で、思慮深くなるとオラァオラァがないのが心配になるというのも不思議なモノです。
「勢いが自分の持ち味だと分かった上で、試合では細かくいかないといけないと考えています。試合で細かくやることは大変なので。その2つを混ぜて、戦います。ISAO選手の崩れないという強さと戦うには、2つが必要です。
僕の動きで、あの詰将棋のような戦い方を崩したい。それができるかどうかで、試合結果が変わってくるはずです。動きで圧倒できるくらいの……魅せる試合をやりたいです。
その一方で、5Rの長丁場をそんな戦い方で貫き通すことは不可能なので、しっかりと細かく動けるなかで、勢いを魅せる。そういう試合ができれば、負ける相手ではないです」