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【Gladiator CS02】夢を追える最後の機会、その一。松嶋こよみ「僕にとって格闘技は呪いみたいなもの」

【写真】呪い──何があっても、ついて回るということか (C) RANK5/ GYO DOK LEE

本日12日(金)に会場非公開、無観客&配信専門大会GLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj が開催され、イベント名にあるように松嶋こよみが、ソドノムドルジ・プレブドルジと戦う。
Text by Manabu Takashima

Road to UFC準決勝の敗退、今年1月にはTOPBRIGHTSでカルシャガ・ダウトベックにKO負けを喫した。

32歳の松嶋にとってMMAを続ける理由であるUFCが、どんどん遠ざかっていく。そこも踏まえた上で松嶋がGLADIATOR CHALLENGER SERIESでの再起戦に挑む。当然、引退も考えていた彼にMMAを続ける理由と、これからについて話を訊いた。


――GLADIATOR CHALLENGER SERIESに出場、しかも盟友の河名マスト選手が持つフェザー級王座への次期挑戦権が掛ったトーナメント準々決勝です。その前にダウトベック戦の敗北後、松嶋選手はどのようなことを考え、そして実戦の場に戻って来ることになったのでしょうか(※取材は5月31日に行われた)。

「もちろん辞めることもそうだし、どう生きていくのか。本当に格闘技ばかりやってきて、格闘技がなければ死んでも良いと思ってやってきました。そのなかで、ダウトベック戦は辞めるべきだ──というような試合でした。

じゃぁ、死んで良いのか。どうやって生きていくんだ、と。僕にとって格闘技は呪いみたいなものなんで。この呪縛からは逃れることはできない。だから、もう1回頑張ろうと」

──「もう辞めよう」と言った人は周囲にいましたか。

「いなかったですね。ただ、自分の判断です。誰かに言われて続けるものでも、辞めるものでもない。自分がデキると思ったのか……そこは分からないですけど、『やりたい』と思ったので、そこが一番です」

──続けることは可能だと思います。ただし、これまでと同じ目標を持ち続けることは簡単ではないかと。

「辞める、辞めない。UFCを目指す、諦めて他の道を進む。頑張ってお金を稼ぐ。そういう段階がありました。最初は辞めるか、続けるか。1月はそうで。続けるなら生活のことも考えないといけない。30歳も過ぎて、毎月ギリギリの生活をして、将来どうなるのか。親孝行もできないまま、その日暮らしのような生活で良いのか。

それでも格闘技を続けるなら、UFCを目指す。その気持ちを変えることはできなかったです。UFCを目指さないMMAファイター人生は……考えられなかった。そこが変わるなら、辞めるという選択になっていたはずです」

──年齢、戦績を考えると厳しい状況です。

「UFCに到達する云々の前に、目指す戦いをすること。多分、Road to UFCはもう出ることができない。そのなかであるなら海外の団体でやっていくこと。でも、国内で負けているから日本で勝ってから欧州でも中東でも、その道を模索する。

そのなかで今回のオファーを頂いたので、それは僕にとっては凄く有難い話でした」

──つまりはグラジがLFAと提携したということですね。

昨日、松嶋もソドノムドルジも問題なく計量を終えている

「もちろんです。

それがなければ、出ていないと思います。実は一度、ONEから離れた時にLFAからは跳ねられているんです。『おお、いいね』という感じで終わって。今回もLFAと契約できたとしても、試合を組んでもらえるのかは分からない。でも、そのチャンスを逃すのは勿体ない。LFAで勝つことがUFCに近づくことなので、この機会を逃す手はなかったです」

──その選択をすると同時に、パンクラスイズムを離れてimaginaryに所属することになりました。

「そこは気持ち作りという部分がありました。自分ですべての責任を取りたい。自分でやっていることを他の何かのせいにしたくない。自分で選んで、自分で練習環境を創って戦っていく。実際にMMAは1人で戦うもの。そのなかで住村(竜市朗)さんであったり、岳(大宮司)さん、良太郎さんがサポートをしてくれるのですが、責任は自分で負いたい。

それがイズムを離れて、やっていこうと決めた理由です。北岡(悟)さんは僕を自由にやらせてくれていました。そのうえで、練習スケジュール、移動時間を考えて自分でやっていくということを伝えさせてもらいました」

──そこに、これからの道筋も見えてきたと。

「そうですね、それこそ海外の大会でスクランブルでも出ていこうと思っていましたが、やはりこういう準備期間が持てて見えていると違ってきます。ONEやRoad to UFCの時も当然そうでたしたが、DEEPで3日前に相手が代わって──ブラジル人相手を戦うということで、準備をしてきて。そこがスッと抜け落ちてしまった。

その経験がトラウマになったのか、『これ、相手こないんじゃないか』とか、勝手なことまでダウトベック戦では考えてしまって……。もうただの言い訳ですよね。今から振り返ると、そんなことを口にして自分に妥協をして」

──まぁ、そうですよね(苦笑)。それこそ既に居着いてしまっている。

「だから、今回はもう絶対に妥協をせずに創り直します。今のMMAは対戦相手が代わることなんて、込みでいないと。結果、ダウトベック戦でも劉獅戦でも相手に勝つことを考えていたんですよね。

Road to UFC以降は、自分でなく相手に勝つことばかり考えて。それ以前に自分に勝たないといけないのに。今は精神的に、自分に勝つこと。まずは練習で自分に勝つことを意識して練習しています」

──そういう言葉が聞かれたので敢えて口にさせてもらいますが、ダウトベック戦の松嶋選手の動きは……。戦っている際中から、自身のエネルギーを自らの動きでボコボコこぼしているように見えました。末端のことだけ意識して、軸がぶれているのではないかと。

「自分でもあの時の精神状態が、何だったのか分からないです。練習でも、ずっと言われていたことを改善できなかったとか。最後まで、動き切れなかった。今からすると、何がダメだったのかは分かります。

劉獅戦は左手がヘルニアの影響か、ほぼ力が入らない状態だったんです。あれでもとのブラジル人と戦っていたら、どうなっていたのか。それでもコンディションだけで、試合は決まるわけじゃない。良くても負けることがあり、悪くても勝てることもある。

だからこそ普遍的なモノをいかに、こなせるのかということなんだと。それこそ型も変わっていくけど、変わらない部分がある。そこをしっかりとやり通せるのかと。そこを思い出しました」

──普遍性こそ、再現性だと。

「ハイ。そういう部分を自分のなかで失っていました。今回は1月の負けから自問自答して、今に至っています。だからといって何が変わったのかは、分からない。でも、自分に納得して挑みたいです」

──サバイブするために、悪い結果の要因を外に求めることは必要だと思います。ただし、サバイブしたなら我が身を振り返ることが大切になってくる。

「その通りですね。自分を理解することと、追い込むことは違う。僕は追い込む方で、それで闇に落ちる。そういう部分を住村さんの存在が緩和してくれています(笑)。本当に有難いです」

──だから自分に勝つというところまで、精神状態を持って来ることができるようになったのですね。

「ハイ。自分をどうやって高めていくのか。それは現状、対戦相手の分析よりも意識しています」

──UFCを目指すと、LFAですらフィニッシュ絶対です。勝利ではなく。フィニッシュが目的になります。

「今は毎回の練習に集中していて、試合のことはこれから考えていくことになると思います。練習のなかで、どういう流れだと倒せるのか。どういう動きで、そうなるのか。そこの感覚を掴んで、パーツを集めていくことになります。ドロドロのなかでやっていけることを身に着けたうえで、フィニッシュすることの大切さを忘れないようにします。

とにかく勝たないと始まらないので、勝ちます。UFCに行く自信はないです。自信はないけど、諦められない。だからこそ、そのために準備をしないといけない。つまりは今の試合、次の試合も大事で。ずっと変わらずにやっていくしかない。

もう32歳になり、体力が落ちていることを感じることも出てきました。だからって諦めない。この格闘技の呪いを受け入れて頑張っていきます」

──格闘技は呪いなのですね……。

「あぁ、そういう悪い意味じゃないです。良太郎さんにも『やりきって、MMAをやって良かったと思って辞めて欲しい』と言ってもらっていて。MMAをやってきたことで、素晴らしい出会いがあった。なんだろう、格闘技の呪いは幸せな呪いなんです(笑)」

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS02対戦カード

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
松嶋こよみ:66.05キロ
ソドノムドルジ・プレブドルジ:66.15キロ

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準々決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク:66.3キロ→66.3キロ→66.25キロ
石田拓穂:66.15キロ

<Progressフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]竹内稔:65.6キロ
[挑戦者] 上久保周哉:65.25キロ

<バンタム級/5分3R>
テムーレン・アルギルマー:61.35キロ
南友之輔:61.6キロ

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