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【Gladiator CS02】竹内稔のProgress王座に挑戦、上久保周哉「MMAで勝てる戦い方で、勝ちます」

【写真】上久保にとってグラップリングは遊びではなく、Part of MMAの真剣勝負 (C) RANK5/ GYO DOK LEE

今日12日(金)に会場非公開、無観客&配信専門大会として開催されるGLADIATOR CHALLENGER SERIES02「Matsushima vs Sodnomdorj で上久保周哉がProgressフェザー級チャンピオン竹内稔に挑む。
Text by Manabu Takashima

昨年のRoad to UFCはベスト4に終わり、12月にGLADIATORで再起した上久保は2月のGLADIATOR CS旗揚げ戦で強豪から勝利を挙げて、Road to UFC再挑戦を狙っていた。しかし、股関節が悲鳴をあげガブリエル・シウバ戦は流れ、Road to UFC再出場はならなかった。

そんな上久保はUFCに向けて、LFAからステップアップを果たすことを決めた。北米ナンバーワン・フィーダーショーでの厳しい戦いに向けて、試運転のグラップリング王座戦を戦う。このグラップリングマッチは、キング・オブ・アナコンダ=竹内の一発の強さを認めた上で、自身のMMAを貫いて勝利を得ることができるか──という勝負論ある戦いとなる。


こんなに体が痛くても、UFCという強さのラインを求めるからこの練習ができる

――竹内稔選手の持つProgressフェザー級王座に挑戦。なんとも意外で、そして楽しみな一戦──なのですが、なぜ?と思ってしまう戦いが決まりました。

「そうですね、実はRoad to UFC出場を目指して2月のGLADIATOR CHALLENGER SEREISでLFAのガブリエル・シウバと戦うことが決まっていました。それが正式発表の前に股関節のケガで戦うことができなくなって。最初は片側だったのが、両側を傷める状態になりました。試合が決まってから痛みがだんだんとひどくなっていって。蹴りが使えなくなり、パンチのミットにも支障が出て。一番酷い時は普通に歩くのも15分間が限度という感じになり、試合ができるコンディションではなくなってしまいました。

試合はやりたかったです。それはRoad to UFCに向けて、強い相手に勝つことは必要だったし。でも、その体にできなかった。練習ができないのに試合をするのか。同時に試合をしないと次に繋がらない。ブラジルから選手を呼んでもらって、長谷川さんが色々と動いてくれた。そこまでしてくれているのに、この試合をしないで良いのかという想いもありました。様々なチャンスを棒に振るのかと」

──でも戦える状態ではなかったと。それで終わりでなく、次を考えてのことなら戦わなくて正解かと思います。結果、4月ぐらいまで練習はできていなかったと聞いていますし。

「かなり練習はしなかったです。ただ、しなくても良くなるものではなくて。放っておいて完治するものでなく、できるだけより良い状態を保つために努力をするというのが現実で」

──人工関節を入れる必要があるかもという話を聞いた時には、絶望的な気持ちになりました。

「そうですね……。入れるとすれば、引退してからですね。痛みがマシになっても、これまで通りに動けないと意味がないですし。それ以前に歩くにも痛い、起きるのも痛いという状態でした」

──現状というのは?

「切らないで治療を進め、2月と比べるとそれは良くなりました。練習中も気は使っていますけど、MMAファイターなんだから、ケガをしていない関節の方が少ないですよ(笑)」

──2月の試合がなくなった時点で、Road to UFCは諦めていたのでしょうか。

「ほとんど諦めていたけど、名前が出揃うまでは出場した場合のことは考えていました。出られた時のために、やれる治療を全部やることにして。そういう準備はしていました」

──結果、出場権は与えられませんでした。

「あの時は正直、2月に試合をしておけばという気持ちにはなりました。でも、やっていると5月に戦うことはできなかったかもしれないですしね。短期間の連戦はきつかったと、今は思っています」

──その状態でシウバ戦をクリアしたとしても、手負いが過ぎる上久保選手とユ・スヨンの試合など、見たくないと正直に思います。

「う~ん、Road to UFCに関しては、如何に良いコンディションを保つことができるのか。そこが大きいですからね。あの時の自分では、上手く創れなかったと思います」

──その結果がGLADIATOR CHALLENGER SERIESでPROGRESSのタイトル戦になったというのは?

「Road to UFCがなくなってから、今後に関してはLFAやあそこと並ぶ場所で戦っていこうと考えていました。その方が、情熱を向けることもできるし、結果を残せば目標にも自ずと近づくので。そこでLFAに向けて長谷川さんが動いてくれて。

と同時に現状としては、治療も続けてきて練習スケジュールも色々と変えました。ケアに当てている時間も多いし、補強も増やしています。ただLFAを本番だとしたら、本番に向けて試運転がしたい。半年以上、試合間隔が空いているので。実際に自分がどれぐらい動けるのか、半信半疑で。MMAスパーリングも再開したのですが、まだまだトライすることもありますし」

──それ故のグラップリングマッチと。

「LFAという強い選手が立ち並ぶところでやるために、どこかのタイミングで実戦に近い試合経験がしたかった。グラップリングを実戦に近いという表現は、違っているかもしれないけど、MMAでないMMA的な試合がしたかったということです。

練習と試合で掴める感覚は全然違います。相手が対策をしてくることを越えていく必要があり、こちらが立てた作戦も当たるのかということもありますからね」

──UFCへの挑む姿勢というファクターがなくても、竹内選手と上久保選手の組み技戦はワクワクします。特にMMAグラップラーである竹本啓哉選手をアナコンダで仕留めたチャンピオンですし。

「一発のサブミッションを持っている選手……ブルーノ・プッチは一応そういう相手でしたけど、そういう相手とMMAでやってこなかった。でも、いずれ必要になってくる。そういう相手に自分のやりたいことをやらないといけないので」

──打撃がないので、失敗しても下になって殴られることはない。その状況で、竹内選手の仕留める力はより脅威になりませんか。

「ケージの中では、ある程度……一発を持っている柔術を封じ込めることはできる。まぁ僕が得意とする場所でやるから。一発は持っているかもしれないけど、普通にオープンなマットでやるのとは全然違うと思っています」

──ケージがあれば、頭を下げることができるのですか。竹内選手のアナコンダをセットするまで誘導する力と判断力に対し、ケージがあることで対抗できると?

「う~ん、まぁ偶然スパッと極まるようなことは起きないです。竹内選手はアナコンダが強いことが分かっているので。そこを考えて、MMAを見据えたグラップリングをしたいです。トップコントロールをしっかりとしたいと思います。そこで一本を取りたいという気持ちも、チョットあったりはするし。

勝つために正しい選択を瞬間、瞬間でできるのか。一本を取れそうな誘惑を我慢して、やるべきことができるのかという部分が大切になってきます。まずはポジション、万が一が起きないように自分の心を強くすることが大切です。

同時に……グラップリングでMMAファイターがトップにいて、『MMAなら俺が勝ちだ』ということは言いたくなくて。あの言い方は好きじゃないと常々思っているのですが、その腹積もりではいないといけないのも確かです。

ただ竹内選手がクローズドの中に僕を入れ続けて、『俺の勝ちだ』と思うのは自由です。けど僕はMMAファイターだからMMAで勝てる戦い方で、勝ちます」

──そこも「UFCを目指さないと、頑張れない」という名言通りですか。

「言うとUFCからするとRIZINと一緒で、僕なんていなくても問題なく回り続けることができる場所です。でも、あそこにジャンプするとジョゼ・アルドが復帰した世界線に立つことができるんです。その魅力には、なかなか抗うことはできないです。

だってこんなに体が痛くても、UFCという強さのラインを求めるからこの練習ができる。体が痛くても『別にUFCファイターなら、こんなぐらいやっているだろう』と思わされるので、続けることができます」

──なるほど、です。グラップリング戦を経て体と相談もあるかもしれないですが、その後はどのように考えていますか。

「LFAで同じように厳しい相手と厳しい試合をして、勝ちたいです。なので、そこを照準にした練習をしたい。体が持たなくなるかもしれないので、できるだけ早い内に勝負を賭けたいと思っています。UFCなのか、Road to UFCなのか、そこに通じる道は自分で創ります」

■視聴方法(予定)
7月12日(金)
午後6時30分~ THE 1 TV YouTubeチャンネル

■ Gladiator CS02対戦カード

<Gladiatorフェザー級挑戦者決定T準決勝/5分3R>
松嶋こよみ:66.05キロ
ソドノムドルジ・プレブドルジ:66.15キロ

<Gladiatorフェザー級王座決定T準決勝/5分3R>
パン・ジェヒョク:66.3キロ→66.3キロ→66.25キロ
石田拓穂:66.15キロ

<Progressフェザー級選手権試合/5分3R>
[王者]竹内稔:65.6キロ
[挑戦者] 上久保周哉:65.25キロ

<バンタム級/5分3R>
テムーレン・アルギルマー:61.35キロ
南友之輔:61.6キロ

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