【LFA202】LFA初戦でオタツイスターを極めた上久保周哉「まずは勝たないといけない。それは変わらない」
【写真】かすかに青タンが見えたが、ほぼノーダメージだった (C)MMAPLANET
21日(金・現地時間)にニューヨーク州ナイアガラフォールスのセネカ・ナイアガラ・リゾート&カジノで開催されたLFA202「Nkuta vs Garcia」でマテウス・サンドロをオタツイスターで破った上久保周哉。
Text by Manabu Takashima
北米大陸のフィーダーショー初体験は、氷点下10度以上という極寒のインディアン・ディストリクトで開催されたLFAは、ONEやRoad to UFCとは様々な違いがあった。
そのなかでの最高の形で初陣を飾った上久保に初LFAと今後について帰国の途に就く直前に訊いた。
──勝利から約10時間。これからバッファロー・ナイアガラ国際空港を発ち、16時間ほどかけて帰国の途に就く上久保選手です。LFA初戦で一本勝ちをして帰国できます。
「勝って帰ること、特にフィニッシュして帰ることができるのが一番良い形で。ホッとしているというか、スッキリしているというか。試合ができて良かったという想いも大きいです」
──Road to UFCは準決勝敗退、国内で再起を飾ったとはいえLFAの初戦で代替選手に負けると目標のUFCから相当に遠ざかってしまっていたかと思います。その辺りのことを考えて、プレッシャーはなかったですか。
「自分の立ち位置とか、そこを勝ち負けで失うというプレッシャーはもともとそんなになくて。試合自体はいつも、自分がやられるとしたらコレだろうなということを考えていることが多いです。そういう意味で『負けたらUFCはない』とか。そういうことは考えていないです。
ぶっちゃけて言えば、急遽来たヤツに負けるわけがないだろうと。4、5日の準備期間で創ってきたもので、何とかなってしまうほど別に自分は弱くないぞって思っているから。そういう気持ちはあるし、やられるつもりもないです。ショートノーティスで強いヤツがきても、ちゃんとやっつける気持ちでいます」
──左ストレートで腰が落ちて、組んだところでニンジャをセットされました。
「腰が落ちたとは思いますが……吹っ飛んだというか、バランスを崩された。フラッシュダウンとかダメージがあるという感じは、なかったです。すぐに組んだ時も体は普通で、吹っ飛んだけど意識が途切れることなかった。それとニンジャは絶対に入っていなかったです」
──そうだったのですか。
「映像で視るとまぁまぁクラッチを組んでいたし、傍から見たらタイトに見えたでしょうね。でも、戦っている時は全然で。絞まっていないし、首でなく顎よりちょっと上にかけていましたね。頭を畳まれることなく、顔も胸に合わせることができていたので気道は確保できていました。あのクラッチのままどうするのかなって思っていて、外す時を待っていました。ただ組み直してきたときは、入るかもしれないと思って自分から下になった形ですね」
──そのままバックを取られかけ、スクランブルに持ち込むとシングルで押し込んでいる時にパンチを複数回受けました。前の前だったので、実は一番怖かったです。
「アレの方がもらい続けると良くないという感触がありました。最初のストレートよりも、あの連打をもらう方が危ないと。ただ殴られているのは、自分の頭の位置が悪いということなので、そこを修正しました。そうすると自分が相手を殴ることができるし、動かすことができるから」
──結果、バックへ。ツーオンワンのボディロックで、サントスが前転をしました。
「浅いキムラで回転してきたので、そのまま普通にバックを取ることができました。相手のミスですね。あの状態で回転しても、負けるスクランブルになるのに。リストを切って、胸を合わせてこないと。アレは向こうのミスです。ミスが多かったです」
──オタツにとって、ツイスターでフィニッシュという道筋が見えましたか。
「時間的にパウンドアウトは無理だから。かといって、パンチやヒザで削るのにも十分じゃない。チョークか何か一発を狙おうというなかで、相手が胸を合わせてきたのでツイスターを狙えるなと」
──自ら背中を捻っている状態に。
「四の字フックで振り向いて逃げようとするから、そのままやっている感じでした。オタツ・ロックをあまりやっていないから、同じように逃げてくるんでしょうね。だからアレも相手のミスです」
──タップか微妙なところもありました。
「感触的には極まると思いました。タップしようとした動きもあったけど……(笑)。あのまま頑張りそうだったので、位置調整をして極め直しました」
──再びサントスは必死で胸に合わせようとした。あれは自分で体を捻って、痛みがあるのではないですか。
「痛いし、苦しいんじゃないですか(笑)」
──残り時間が少なくなってきて、あのまま力をセーブせずに極めに行った?
「削るという意味では、ツイスターでも結構削ることができます。相当にうめき声をあげていたので、あそこで時間が来ていてもダメージを与えることはできていたと思います。ただ、終わらせる気ではいました」
──見た目は逆転勝ちでした。
「まぁ、ミスを連発しているから。『こう来るんだ』と思いながら戦っていました」
──結果、インパクトを残す一本勝ち。パフォーマンス・オブ・ザ・ナイトの獲得も含めてUFCに辿り着くには、上々の勝ち方ができたかと思います。LFAのスタッフも、かなり盛り上がっていました。
「LFAでやるべきことは、UFCに向けてのアピール。とにかく目に留まらないといけないし、目立たないといけない。やるべきことができたんじゃないかと思います。LFAは日本人が出ていなくても回っているので、契約する価値がある選手だと思ってもらえたんじゃないかと。金を使う勝ちがある選手だと」
──5分3R、コントロールし続けて勝つ。それがLFAでできれば大したものです。ただUFCが求めているモノではない。そういうなかでオタツイスターでの一本勝ちは、非常に良い勝ち方だったかと。
「でも勝てば良いという自分の価値観は、何も変わっていないです。どんな形でも勝てば良いという形でやってきたなかで、コレがだんだんとできてきました。UFCで戦いたいけど、UFCが求めている戦い方ではない。それは散々言われてきたけど、コレができるようになってきた。持っているモノをしっかりと出せれば、内容と結果も出せる。まあ、自信は持てるようなりました。
ただ勝つことが一番大事。どんな形でも勝つ。それが前提で、そこから良い試合かどうかという話で。まずは勝たないといけない。それはいつになっても変わらないです」
──その考え方で、このタイミングでこの勝ち方ができた。いや、良かったですよ。
「みんな、意外に思っているんじゃないですか(笑)。自分の試合はつまらないと言われているので」
──普段からMMAPLANETをチェックしてくれる層は、沸いていました(笑)。
「アハハハハ。喜んでもらえることは良かったです」
──LFAのベルトは、それこそUFCに通じるモノです。ただし、誰がチャンピオンかというよりも手強い相手がいつ何時でも現れる。それがLFAという場です。そのなかで次は、いつ頃ということを考えていますか。
「年内にもう1回、頑張って2回。体創りという面では、反省すべき点もありました。当然のように皆、自分よりデカいです。もう少し、うまくやれるという気持ちはあるので。そこをうまくやって……。今回来てみて、思うような減量のシチュエーションが揃っているわけではないことも分かりました。リカバリーも含めて。そこを今回、体験できたので次はもっと上手くやりたいです」
──想像と実体験は、違いますしね。
「ハイ。こういうことがあるだろうと思っていても、実際に体験できたので。リカバリーとか食べるモノが全然ない、みたいな(笑)。スーパーマーケットもなくて」
──インディアン・ディストリクトのカジノでの大会は、こういうこともあるのだという経験になりました。
「ホテルのサウナが使えないとか……。バスタブがないのは想定内でしたが、その辺りは考えなおすところです」
──コンテンダーシリーズの最終週までを想定すると、3カ月後までにLFAでもう1試合、そして10月までにコンテンダーシリーズという形で今年3試合になります。5月、8月、11月のRoad to UFCよりはタイトではないです。しっかりと創ることできるのか。
「理想は自分が、そのペースで試合ができるなら──ということですね。ただ、何も確証はないですし。今回も4週ちょいぐらいの期間で試合でした。強い人との話があれば、やらないという選択肢はない。自分の体調では、2カ月間隔というは厳しいとはRoad to UFCの時に感じました。だから準備期間は欲しいけど年齢を考えると、時間はないので来た話は断りたくない。一度断ると、次はいつになるか分からない。取れるチャンスは全部取りたいです」