【ONE FF114】”それだけじゃない”レッグハンター須藤拓真がONE初陣「全局面で、面白い試合ができる」
【写真】ラッシュを着ていてあまり分からないが、マゴメドフはさらにリカバリーがあるのだろうか(C)ONE
本日27日(金・現地時間)、タイはバンコクのルンピニースタジアムで開催されるONE Friday Fights 114に須藤拓真が出場し、サブミッショングラップリングでシャムスディン・マゴメドフと対戦する。
Text by Manabu Takashima
LVEL-Gライト級、Breakthrough Combatフェザー級と国内で二つのベルトを巻くレッグハンターは、トップという選択肢も増えグラップリングは当然としてMMAでも期待が高まっている。
そんななかで初めてONEに挑む須藤を試合前夜にインタビュー。未知のマゴメドフに対し、いつもと同じように戦うという須藤に、それでも今回の一戦に向けて「いつもと違う」部分を尋ねた。
──明日、シャムスディン・マゴメドフとONEサブミッショングラップリングを戦います。まず、初めてのONEのファイトウィーク、どのように感じていますか。
「試合に向けての創りは、今までの試合前と変わりないです。でもONEという大きな組織で試合をさせてもらうことになって、スタッフの数とかも多くて。規模が圧倒的に違うなと感じて、ちょっとテンションが上がっています。
ONEからオファーが来た時は率直に嬉しかったです。キックやムエタイが多いなかで、グラップリングはそれほど組まれていない。トップ選手しか呼ばれていないので、そこに選ばれたのは嬉しかったです」
――タイはADCC予選で経験をしていると思いますが、ONEで訪れると気持ちも変わりますか。
「いや、僕が出た予選はシンガポールでした」
――あっ、第一次でしたね。失礼しました。では初めてのタイ、シンガポールより北なのに暑い気が自分はするのですが……。その辺りはいかがですか。
「暑いですね。日本の真夏ぐらいに感じます。基本ONEが用意してくれたシャトルで移動するので、それほど困らないのですが暑いです。それと不思議なのが、自分は汗だくになるのにタイの人って汗をかいていないんですよ」
――あっ、分かります。MRTに乗る時に周囲の人は普通にしていて、自分だけが汗だくになっているので申し訳ない気持ちになりました。
「慣れているんですかね。本当に汗だくのタイの人って見たことがないです。日本も暑くなってきたけど、それより暑いんですからね」
――その暑さのなか、初めてのONEバンタム級。ハイドレーションのある66キロの創り方は問題なかったですか。
「水抜きができないので、そこそこちゃんと期間をおいて落としてきました。ただハイドレーションは本当に分からないので、めちゃくちゃビビッていて。ONEに出たことがある選手に、対処方法を尋ねまくっていました」
――基本、1階級上。なので1キロか2キロ余分に落として、1リットルか2リットルの水を飲む。そういう対処がノーマルかと。
「その通りですね。僕も1キロアンダーまで落として、直前に水1リットルを一気飲みしました」
――結果、数値的には1.0250がリミットのハイドレーションを1.0220でパス。
「あれがギリギリなのか分からないのですが、体重とともに無事パスできました。でも本当にどうなるか分からないから、怖かったです」
どうしてもフィジカルが強いという印象をロシア人、そしてマゴメドフという名前で連想してしまいます。
「自分も名前的にゴリゴリのヤツを想像していたのですが、計量の時に見るとほぼほぼ自分と同じ骨格と身長で。顔もイケメン風だったので良かった……いや、それが良かったのか分からないですが(笑)。でも特にフィジカルの違いとか考えていないです。いつも通りに戦います」
――YouTubeでマゴメドフの試合映像をチェックしたのでが、トップから攻める。例え座ってもリバーサルして、タイトに抑えてパス。そしてバック奪取とうい印象が強かったです。
「試合映像も視ていないんですよ」
――えっ!!
「インスタをチラッと見ただけです。石黒翔也さんが練習をしたことがあって、ゴリゴリのレスリングで攻めてくるよって聞いています」
――あと思い切りストレート・フットロックを仕掛けているシーンがありました。
「そこは大丈夫かと。僕はストレート・フットロックはかかりにくいので。まぁ、本当に何も分からない相手なのですが、どういうタイプが来ても良いと思っています」
――海外の選手と戦うのは、2023年の11月のADCC予選以来になります。この間の自身の成長をぶつける試合ともいえます。
「トップゲームやレスリングに力をいれてきたので、それまでは下になってひたすら足関節を狙っていたのがスイープをするという選択ができるようになりました。
そういう意味ではスイープしてトップから攻めること、足関節にしても進化しているので、選択肢が増えて幅が広がっています。なので、どんなタイプが来ても戦えると思っています」
――2月のBreakthrough Combatで極めた三角絞め。足関節のバリエーションとして、対応してきたところに極めたサブミッションは今も鮮烈な印象を残しています。
「そこも一つの選択肢です。技術的に相手が知らないことは、もう無いと思っています。でも、分からないところにもっていって戦う。それができれば、自分が有利になるはずです。それに最初に組んだ時に、極めることができるかどうかは分かると思います。
あとは相手が分かっていないところに持って行く。他の選手が見せない動きを織り交ぜると、戸惑ってくれるんじゃないかと。仕掛けの多さは自信があるので、そこで勝てないならどの局面で戦っても勝てない。だから、そこが生命線になると思っています」
――今回、ONEグラップリングで戦う。ここから何を目指していますか。
「グラップリングをきっかけにONEが自分のMMAに興味を持ってくれれば嬉しいです。実は5月にレーシック手術をして、もう少しの間MMAは戦えないのですが、両面でアピールしたいです」
――視力が上がると、戦いやすいですか。
「いえ(笑)。グラップリングもMMAも距離が近いので、そこは変わらないです。でも私生活はメチャクチャ変わりました。起きた時にコンタクトをいれる手間がないし、目が覚めた瞬間から視界がクリアなので本当に気分爽快です(笑)」
――なるほどです(笑)。ところで明日はMMAすらなく、他の試合はムエタイがずらりと並んでいます。
「めちゃめちゃ戦いづらいですよね(笑)。MMAが少しでもあってくれれば、観客の人達もグラップリングに興味がなくても視界に入るぐらいはあったと思うのですが、全部がムエタイだと客層が全く違いますよね」
――そのなかで対戦相手はバンコク在住で。マゴメドフのサポーターだけがグラップリングを理解しているという。
「完全にアウェイですね(笑)。競技的も客層も。まぁ、でも言葉も分からないですし。グラップリングは比較的平和なんで、挙がる声は全て自分を応援してくれていると思って戦います。それにこのところ無観客でも戦っているし、そんなに気にはならないです」
――リングでグラップリングを戦ったことは?
「僕は初めてです」
――師匠の柳澤哲裕さんはプロレスが大好きなので、リングチェックの時に盛り上がりそうですね。
「絶対に何かやってくると思っています。ロープに走れとか、ロープエスケープとか(笑)」
――アハハハハ。師匠ネタもぶっこむことができましたので、グラップリングは当然として、MMAでの期待値が高まるような試合を期待しています。
「ハイ。自分の得意技の足関節、そこからつながる他の展開も鍛えてきました。全局面で、面白い試合ができると思うので期待してほしいです」
■視聴方法(予定)
6月27日(金・日本時間)
午後9時15分~U-NEXT