【Pancrase295】暫定KOPT戦へ。「内容が良くなくても結果を出すのがISAO選手の強さ」松嶋こよみ─01─
【写真】意識レベルの高さは、ただ「世界」と口にする選手とは違う(C)MMAPLANET
4月15日(日)、東京都江東区の新木場スタジオコーストで開催されるPancrase295。同大会で組まれたフェザー級暫定王座決定戦で松嶋こよみがISAOと対戦する。
マルロン・サンドロ戦のKO負けを経て、昨年は3連勝でタイトル戦線トップに浮上した松嶋は、王者ナザレノ・マレガリエの負傷で元ライト級KOP、29歳とは思えない経験豊富なISAOとの対戦にどのような心境でいるのか。
パンクラスイズム移籍から1年、世界を見据える松嶋の日常、その真価が問われる一戦を前に彼の話を訊いた。
──このタイミングでISAO選手との暫定王座決定戦。昨年12月にカイル・アグォンに勝利した時は、そのまま王座挑戦という青写真を描いてかと思われます。
「あのう……アグォン戦の前に『この試合で負けたら、ISAO選手とやることになるんだろうな』と思っていたので、勝ったのにこの展開というのはありました(笑)。
ナザレノ・マレガリエと戦うにはもう1試合挟む必要があるのかと思いつつ、僕自身は挟む必要はないという考えでした。それもあって、アグォンに勝ってからはナザレノと戦うという意識で練習をしてきていたので」
──つまり挟むとしてもISAO選手ではないという頭だったのですね。
「まぁ、パンクラスが組むモノですからね。ISAO選手にタイトルマッチをさせてあげたいという気持ちがあるんだと思います。普通だったらカイル・アグォンに負けて、次に粕谷選手に勝ったからってタイトルマッチっておかしいですし。
とはいっても勿論相手として不足はない、それだけの選手だと思っています。楽に勝てる相手じゃない。それも重々承知しています。アグォン、ISAO選手、それと粕谷(優介)選手とリーグ戦のような感覚で捉えていたので、誰とでも戦うことがあるという気持ちでいましたし、もうここでの試合は戦うべくして戦うモノ。今は完全にISAO選手に勝つために集中して練習しています」
──ここまで2度の敗北を喫した相手は外国勢で、想像の範疇外からの攻撃、パワーのあるパンチを被弾したという背景があったかと思います。対するISAO選手の強さは、彼らとは対極にある強さではないでしょうか。
「ハイ、その通りだと思います。以前からずっとISAO選手の試合はチェックしていました。僕にとってはそういう存在の選手です。ISAO選手の強さは十分に理解したうえで自分が今、何ができているのかということじゃないでしょうか」
──試合映像を見て来て、どの試合のISAO選手が最も手強いでしょうか。
「ここ最近だと、粕谷選手と戦ったISAO選手が嫌です。アグォンと戦った時よりも。ただ、それでも僕が勝っている相手でもあるので」
──個人的には打撃を当てられても、しっかりとテイクダウンしたVTJでの斎藤裕選手との試合もISAO選手の強さが見られたかと思っています。
「あぁ、でもあの試合は勝っていますかね?」
──修斗基準では斎藤選手、2016年までの北米基準ではISAO選手。結果、ISAO選手の勝ちに問題はないかと。
「ハイ、つまりは斎藤選手がすぐに立っていると、負けなかった。そういう風に僕も見ました。何より、あの展開で勝ちに持っていけるのがISAO選手の強さだというのは、本当に分かります。
内容が良くなくても、結果を出す。そういう強さが出ていたと思います。で、言ってしまうと僕の一番弱いところがそういう部分なので、そこをパンクラスイズムに移籍して補えてきているのかと」
──あぁ、なるほど。AACC時代の松嶋選手は自分の強いところが出て勝つ。荒かろうが、自分のペースで戦うという感じでしたね。
「やはり一方的でなく、僅差の試合を勝ち切れるようにしたい。そう思っていて移籍してちょうど1年、そういう練習ができています。この間、僕が何をしてきたのか。その成長が確認できる試合だと捉えています」
──そういう意味ではアグォン戦の終盤など、自分のやりたい試合でなくても松嶋選手はしっかりと勝てるようになったと感じました。
「アグォン戦は1Rでは自分のやりたいように戦えたことで、気持ちも楽になっていました。それが2Rからアグォンも戦い方を変えて来て、どんどん自分が崩れていってしまったのですが、何とか保つことができました。だから勉強になったし、勝って良い経験ができた試合でもありました」
──逆境に強くて、我の強い選手が理想論として、一番良いのかと。爆発力という持ち味については今、どのように考えていますか。
「本当は誰と戦っても倒せる選手になりたい……そういう気持ちはあります。でも、そこばかりを重視せずに要所を抑えて勝てるようになる。以前のようにただガムシャラに殴って、蹴っていたらタイミングよく当たって勝つというのではなくて、丁寧に戦いながら倒すことができるようになればと。
たまたま教えてもらっていたことが出て勝っても、ラッキーなだけなので。そういうのではなくて丁寧に戦い、自分の動きを出す。そこを考えてスパーリングもしています」
<この項、続く>