この星の格闘技を追いかける

【PJJC2018】ルースター級決勝で、ついに日本人対決が実現──橋本が芝本下し、優勝!!!!!!!!!!

Hashimoto vs Shibamoto【写真】ついにパン柔術という舞台で、黒帯日本人同士の決勝が現実のモノとなった(C)IBJJF

1日(木・現地時間)から11日(日・同)にかけて、カリフォルニア州アーヴァインのブレン・イベントセンターにてIBJJF主催のブラジリアン柔術パン選手権が行われた。ムンジアルの前哨戦にして、世界で2番目に大きな規模の同大会、プレビュー第2回はルースター級における、芝本幸司の初戦=準決勝の模様と、ついに実現した橋本知之との日本人同士の決勝戦の模様を紹介したい。


<ルースター級準決勝/10分1R>
芝本幸司(日本)
Def. by 送り襟絞め
デイヴィッド・へレイラ(米国)

準決勝から登場の芝本の相手は、デイヴィッド・ヘレイラ。橋本知之が優勝した2015年世界選手権ルースター級茶帯の部で3位に入っている選手だ。

試合開始後、両者座ってダブルガードとなり、ベリンボロの打ち合いでも譲らず膠着ブレイクという展開が二度続き、両者ともに2点失うことに。3度目の仕切り直しでは、両者が座った後に芝本が上を選択し、アドバンテージを獲得した。

下から攻める姿勢のヘレイラは、内側から足を絡めて煽り芝本を崩す。芝本は体勢を立て直したものの、アドバンテージで並ばれてしまう。さらにヘレイラは内回りからのスイープまたはバック取りを仕掛けるが、それをかわした芝本は逆に潜り込んでベリンボロ。ヘレイラのズボンを両手で掴むことに成功すると、背後から登って襟を後ろから掴み、両足フックを完成。ちょうど3分のところで、そのまま送り襟絞めを極めた。

格上らしくトップを選択し、なおかつきっちりと一本を奪い実力差を見せつけた芝本は、かくして橋本知之との決勝戦の舞台に駒を進めた。

<ルースター級決勝戦/10分1R>
橋本知之(日本)
0-0 アドバンテージ 1-0
芝本幸司(日本)

ついに実現した日本人同士の決勝戦。初対決となった15年の全日本決勝では芝本が勝利し、翌年のアジア大会の決勝では橋本が雪辱。そして両者の最新の対戦である去年のアジア大会決勝では芝本が再び勝利を挙げているが、どの試合は文字通り紙一重の内容だった。そして今回は初めて、海外での対戦となる──決勝戦でしか実現していない日本トップ柔術家決戦。

しばらく見合ったのち、お互い座る両者。橋本はすぐに芝本の右腕を掴んで引き込むと、芝本もそれに反応するようにマットに背中を付ける。結局これは両者引き込んでのダブルガードと判断され、しばらくするとブレイクが入り、両者にペナルティが与えられた。

再開後、再び座る橋本。しかし道着を掴まなかったと判断されて追加のペナルティをもらい、芝本にリードを許してしまうことに。ここで2分経過。再び両者座ると橋本がベリンボロへ。芝本も背後から手を伸ばし、お互いがお互いのズボンを背後掴み合う体勢に。そこから橋本は再び回転、インヴァーテッドの体勢のまま芝本のバックを狙う。

しばらくその体勢で動けなかった橋本だが、やがて遠心力を使うように芝本の足を掴んで振って横回転。そこでマットと芝本との間にできた隙間に入り込み、背中に付きかける。嫌がる芝本が体をずらしたところで、上を狙う橋本。しかしその瞬間芝本が瞬時に体を翻して正対、橋本のガードの中に入る。

01持ち前のスクランブル力で危機を逃れた芝本だが、この攻防で橋本がアドバンテージを取って逆転した(アドバンテージとペナルティでは、アドバンテージの方が優先される)。なんとかガードを割りたい芝本だが、橋本は長い足を利して四の字フック。芝本は前傾で立ち上がって膝を入れようとするが、橋本の四の字は崩れない。座った芝本は体勢を低くして橋本のラペルを背中越しに取っての解除を狙うが、これも効果がない。

残り3分半。再び立ち上がった芝本は前傾姿勢で腕を伸ばし、橋本の両襟を掴んでプレッシャーをかけてゆく。しばらく耐えていた橋本だが、やがて四の字を解除。そこで芝本が右ヒザを入れると橋本はガードを開けて、左でラッソー、右でスパイダーを作る。橋本の左のグリップを切った芝本は横に回ってのパスを仕掛けるが、橋本はインヴァーテッドで防ぐと、再びクローズドガードを作る。

残り2分半。再び芝本は前傾で立ちガードを押し下げようとするが、橋本はまたしても四の字フック。それでも芝本は仕切り直して前傾で立つと、右ヒザを入れる。ここで橋本はまたガードを開く。パスを狙いたい芝本に対し、橋本はその左足を掴んでオープンガードから、芝本の股下に潜り込んで背後からズボンを取る。

残り1分。インヴァーテッドの橋本の上に芝本が座り込むような形で膠着した両者。橋本は体が二つ折りになり、その柔軟性をもってして可能になるような姿勢──両ヒザが自らの脇に触れているような状態で、全く表情を変えることもない。結局、芝本はここから有効な手を打てずに試合終了となった。

橋本がアジア大会の雪辱を果たすとともに、黒帯としてパン大会初優勝を飾った。

それにしても今回、ロドリゲス、ピニェーロ、芝本という強豪3人を連破した橋本の充実ぶりは特筆に値する。戦いの軸であるオープンガードにおいては、常に相手の片足を固定する体勢を作り、フレキシブルな体を存分に利用して相手を煽る。そして時に強固なクローズドガードに入って仕切り直すとともに時間を稼ぎ、ピニェーロ戦のようにそこから強烈な攻撃も繰り出せる。この橋本スタイルで、今回3人の世界的強豪の攻撃をほぼ完封したのだった。

02この優勝で、最軽量級を長年支配する二大巨頭=ブルーノ・マルファシーニとカイオ・テハを追いかける2位集団から頭一つ抜けた感さえある橋本。二大巨頭の年齢を考えても、橋本が頂点に立つ日は必ずやってくる──そう感じさせる見事な初優勝だった。

その橋本を一番追い詰めた男が芝本だったことも忘れてはならない。決勝戦で見せたスクランブルから上を取った動きは、芝本が橋本にはない強さを持ち合わせていることの証左だ。最終版でアドバンテージの奪い合いとさせなかった橋本の成長に対し、現在AOJで稽古を積む芝本がどのような対策を練って来るのか。2勝2敗となった両者が、6月のムンジアルの最終日の舞台で再び合間見える可能性は、非常に高い。その対戦が再びファイナルであるためにも、両者はこれからの3カ月を生きる。

■PJJC2018 リザルト

【ルースター級】
優勝 橋本知之(日本)
準優勝 芝本幸司(日本)
3位 ルーカス・ピニェーロ(ブラジル)
3位 デイヴィッド・ヘレイラ(米国)

PR
PR

関連記事

Movie