【UFC221】暫定ミドル級王座決定戦=ロックホールド×ロメロの鍵はサウスポー対戦&スタミナ
【写真】サウスポー同士の戦いで、どちらのスタミナが持つのかが見所となるロックホールド×ロメロのタイトル戦(C)Zuffa LLC/Getty Images
11日(日・現地時間)、豪州パースのパース・アリーナで開催されるUFC 221「Romero vs Rockhold」。廣田瑞人、石原夜叉坊、阿部大治という3人に日本人ファイターが出場する今大会のメインはルーク・ロックホールドとヨエル・ロメロがUFC暫定世界ミドル級王座を賭けて戦う一戦だ。
正式アナウンスはなかったものの、UFCの腹積もりとしては今大会では昨年11月にUFC世界ミドル級王者となったジョルジュ・サンピエールと暫定王者ロバート・ウィティカーの間で統一戦を組もうとしていたのは周知の事実だろう。しかし、GSPは12月にベルトを返上し、ウィティカーが正規王者に昇格していた。
そして今大会はウィティカーの初防衛戦となるロックホールド戦がメインとなったものの、今度はウィティカーの負傷欠場が決まり、ロックホールドとロメロの間で暫定王座勝決定戦が組まれることとなった。
紆余曲折の末、暫定王座を賭けて戦うようになったロックホールドの周辺には、大きな変化が見られる。ウィティカーへの挑戦が決まった時点でロックホールドは所属するAKAで王座を目指した練習はせずに、南フロリダの元ブラックジリアンの打撃コーチだったヘンリー・ホーフトが開いたホーフト・キックボクシングでキャンプを張ることを決めていた。
AKAでは現在、ケイン・ヴェラスケスが負傷中でカビブ・ヌルマゴメドフはロシアに帰国しており、ダニエル・コーミエーはTUFのコーチとなりジムを留守にしている。十分な練習仲間がおらず、「決断には理由がある。その理由は僕がチャンピオンになること」というルックホールドはサンノゼを離れホーフトと同じ元ブラックジリアンのレスリング・コーチだったグレッグ・ジョーンズ、そしてATTを離れたカミ・バージーニと合流した。
そのATT所属のロメロも、キューバの同朋で同国のテコンドー・ナショナルチームのコーチだったペドロ・レイがマイアミに開いたジムでトレーニングを積んでいる。そして、レイの方針は準備期間が短かったためテクニックでなく、フィジカルを鍛えるというモノだ。
この一見、乱暴な方針はあながち間違っていない。40歳となったロメロは五輪代表だったレスリングの技術は既に体に染みついて忘れようがない。そのうえロメロの打撃はフィジカルを基本とした粗さが爆発力に通じるスタイル。ホナウド・ジャカレからダウンを奪ったスピニングバックフィストやクリス・ワイドマンを病院送りにした飛びヒザは技術練習の成果ではないはずだ。
それよりも動き続けることができるスタミナが、5R戦では大切になってくる。もちろん、これはロックホールドにもいえることだ。何よりこの試合の鍵を握っているのが、両者がサウスポー同士ということになるだろう。打撃を効かせて、サブミッションを極めるロックホールドの鉄板ファイトも、相手はオーソドックスが多かった。右手奥の相手に左ミドルやハイでダメージを与えるのが、ロックホールドの常套手段だ。
決して参考になる試合内容ではないが、サウスポーのヴィトー・ベウフォートには後ろ回し蹴りでKO負けを喫している。対してロメロの相手もオーソが多い。そのなかで気になるのはデレック・ブルンゾン戦だ。サウスポーのブルンゾンを相手に打撃戦以上にレスリングで苦戦を強いられたロメロは、スタミナ切れを起こしテイクダウンからマウントまで奪われている。
ロックホールドはレスラーではないが、テイクダウンは勿論のことスイッチやコブラなど切り返しの妙技も兼ね備えている。疲れてくると動きが単調になるロメロに対し、ロックホールドはグラウンドでも削ることができるだけに、このサウスポー対決はロメロの一発が当たらなければ消耗戦になる可能性は高い。そうなれば暫定王座とはいえ、ロックホールドの腰に再びベルトが巻かれる公算も高くなる。
■ UFC221対戦カード
<UFC暫定世界ミドル級王座決定戦/5分5R>
ルーク・ロックホールド(米国)
ヨエル・ロメロ(キューバ)
<ヘビー級/5分3R>
マーク・ハント(ニュージーランド)
カーティス・ブレイズ(米国)
<ヘビー級/5分3R>
タイ・ツイバサ(豪州)
シリル・アスケア(フランス)
<ウェルター級/5分3R>
ジェイク・マシューズ(豪州)
リー・ジンリャン(中国)
<ライトヘビー級/5分3R>
タイソン・ペドロ(豪州)
サパルベク・サファロフ(ロシア)
<ライト級/5分3R>
ダミアン・ブラウン(豪州)
キム・ドンヒョン(韓国)
<ミドル級/5分3R>
ロブ・ウィルキンソン(豪州)
イスラエル・アデサニャ(ニュージーランド)
<フェザー級/5分3R>
アレキサンダー・ヴォルカノフスキー(豪州)
ジェレミー・ケネディ(カナダ)
<フライ級/5分3R>
ベン・ヌグエン(米国)
ジョズエ・フォルミーガ(ブラジル)
<ライト級/5分3R>
ロス・ピアソン(英国)
廣田瑞人(日本)
<バンタム級/5分3R>
石原夜叉坊(日本)
ホセ・キニョネス(メキシコ)
<ウェルター級/5分3R>
ルーク・ジュモー(ニュージーランド)
阿部大治(日本)