【Bu et Sports de combat】武術の叡智はMMAに通じる。武術の四大要素、先を取る─01─
【写真】なぜ位置関係、拳の伸ばし方が同じで上の写真はパンチが届き、下の写真は届かないのかを原理原則のよって解明したい (C)MMAPLANET
MMAと武術は同列ではない。ただし、通じている部分が確実に存在している。ナイファンチン、クーサンクー、パッサイ、セイサンという型の稽古を行う意味と何か。
そこには武術の四大要素──『観えている』状態、『先を取れている』状態、『間を制している』状態、『入れた』状態が存在し、無意識な状態で使える次元、レベルを高めるために型稽古が必要となってくる。
無意識の状態で、武術空手をMMAで使えるようになる真理とは。そして武術の四大要素とは……。『観えている』状態に続き、『先を取れている』状態の教えを剛毅會空手・岩﨑達也宗師にこう。
──武術の四大要素、観えている状態編に続いて、先を取る状態について話を聞かせていただけますか。
「ハイ。繰り返し説明させていただきたいのは、『観えている』状態の時も言いましたが、武術の四大要素……絶対四大要素といって良い4つの状態は、その状態が存在するだけで技ではありません。
そして、『観えている』状態、『先を取れている』状態(※先の先、後の先)、『間を制している』状態、『入れた』状態という要素は順を踏んで身につくものではなく、その結果として4つ目の入れた状態になるわけでもないです。
何かを経て、次の段階になるというものではなく一つの状態を別々の角度から見ると、観えている状態、先を取れている状態、間を制している状態、入れた状態になっているということです。
なので観えている編と、これから説明する先を取る状態では説明が被ってきます。観えていることによって突きが入る、関節蹴りを蹴ることができる。つまり、それは線を取れている状態でもあるのです」
──観えている状態の実演では、一方が下になって関節蹴りを蹴るという状況が非常に伝わりやすかったです。尻を地面につけている状況は、二本足で立っている状況より、動いていないことが明確で、両者の数値上の距離が変わっていないと分かりやすいからだと思いました。そして、先を取れている状態に関しても、あの状況が存在するということですね。
「下になった時に相手がパウンドを打ってくるのに対し、後の線が取れていなければ、いくら関節蹴りを出しても後手に回ってしまうので殴られてしまいます。
このように一つの現象に対して、四大要素を知るために4つの方向から切り込んで説明をさせていただいているということですね」
──今、既に後の先という言葉が聞かれましたが……。
「ハイ、ここでは先の先、そして後の先を説明していきます。対の先というモノもありますが、漠然としており理解があやふやになる恐れがありますから省きます。格闘技、MMAは先の先と後の先で十分です。
先の先が取れていると、自分から殴りにいって相手のパンチは貰わない。取れていないと、殴りにいって殴られる。相手の攻撃を受けず、先制攻撃ができるのが先の先です」──では後の先とは、どのような現象なのでしょうか。
「後の先が取れていると、相手が打ってきたパンチを受けずに自分のパンチを当てることができます」
──つまり一般的にはカウンターということになりますか。「確率論の話でいえばカウンターは成功するときと、しない時があります。自分の攻撃が命中するかどうか、漠然としたカウンター攻撃だと絶対性は存在しません。ただし、後の先が取れていると必ず命中します。
この座ったままの状態でも、後の先が取れていないと水谷(健人)のパンチは私に届きますが(と実践する)、後の先が取れていると届かないです(と同様に実践する)」
<この項、続く>