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【ONE63】ベルトを失った内藤のび太─01─「そこまで意識してくれて、チョット嬉しいかなって(笑)」

Naito Nobita【写真】ONE世界ストロー級のベルトを失ったが、和歌山よりパラエストラ松戸に里帰り(?)していたジャイアン貴裕から紀州のミカンを獲得していた内藤のび太 (C)MMAPLANET

9日にタイのバンコクで開催されたONE63でアレックス・シウバに判定負けを喫し、ONE世界ストロー級王座を失った内藤のび太。

帰国から5日を経て、パラエストラ松戸で改めてシウバ戦、そして今後について話を訊いた。

大会前の煽りV撮影で「チャンピオンとして、やってはいけないことは?」と尋ねられ、『犯罪』と答えてしまうほど、取材慣れしていない前チャンピオンは、それでも内に秘めたる青白い炎が感じられるような返答をしてくれた。


──帰国して5日ほど経ちましたが、まずケガなどはなかったですか。

「ケガというか、あれだけローキックを蹴られたので足はやはり痛かったです。それと日本に戻ってきて風をひいたのか、熱が出てしまっていました」

──激闘の疲れが出たような感じでしょうか。

「帰国したら、物凄く日本が寒くて。寒暖の差にやられたのかもしれないです。やはり試合に向けて、体重を落とすために塩分なども摂っていなかったですし、それだけ体が弱っていたんだと思います」

──ベルトを失った傷心からではない?

「まぁ、寂しいといえば寂しいです。でも、完敗だったので戦績に一つ、負けがつくのもしょうがないかなと」

──終盤の盛り返しがあったのですが、どういうところで完敗と思うのでしょうか。

「やっぱり全然、思い通りの戦いができなかったです。取れているラウンドもなかったと思います」

──最終2つのラウンドはのび太選手のラウンドでもおかしくなかったと思いますが。

01「う~ん、アレックス・シウバは強かったですね。僕のなかでは凄く警戒していた寝技でこなかったことには焦ったッス、ハイ。MMAPLANETのインタビューでも『グラップリング・ウォーになる』って言っていたのに……」

──いや、スイマセン。試合前の選手の言葉なので、私たちもそのまま載せるのが仕事なので……。

「それも普通……普通というかオリンピックとかでは一般的なことだと思います。そこも戦術みたいなモノですし、そこからも学ぶことがありました」

──それにしても、シウバは取材を申し込む前からシンガポールで会った時に『ようやくグラップラーと戦うことができる。次の試合はグラップリングで勝負ができる』と話しかけてきていたのですよ。

「あぁ、そんなことがあったのですね。それは凄いですね……。そこから始まっているんだ──みたいな」

──インタビューを駆け引きに使ってもらうのは、私も大歓迎なのですが、まさか個人的な話からそこを考えているとすれば空恐ろしいです。

「そこまで僕との試合を考え、僕のことを意識してくれていることがチョット嬉しいかなって(笑)」

──アハハハ。嬉しいですか?

「そこまで仕掛けてきてくれるなんて。本当に僕を倒しに来てくれた。勝ちに来てくれたことが嬉しいですね」

──それにしても自分の得意な寝技を捨て、のび太選手の苦手な打撃でついてくる。この決断力には敬服する限りです。

「そうですよねぇ、凄かったです。信念が感じられ、そこに僕は飲まれてしまった感はありますねぇ。勝ちに来たシウバにまんまとやられました」

02──苦手分野で戦い、スタミナを切らしながらもシウバは終盤もしっかりとウィザードでバックを許さないよう戦っていました。そこがデェダムロンやジョシュ・パシオとの違い。しいては日本で戦ってきた選手との違いかと。

「その通りだと思います。凄くバテテいたんです。アハハ。それでもバックを取らせないし、5Rには逆に持ち上げられてしまいました。あの時はビックリしました。

あれが最後の力だったと思うのですが、あの気持ちの入った攻撃を仕掛けられて、僕の方が焦ってしまいました。もっとちゃんと戦うことができれば良かったのですが……」

──相手がしっかりと戦えないようにする。そのせめぎ合いが素晴らしかったです。

「本当に強かったです。執念が伝わってきました」

──それでも、のび太選手も終盤に盛り返したことは事実です。完敗ではないと思います。

「う~ん、遅かったです。結果論ですが、反撃するのが遅かったです」

03──鶴屋浩代表は『4Rに攻めなかったのが敗因』と試合後に言われていました。

「ハイ。もっとあそこは出ないといけませんでした。あそこで削っていれば、5Rはもっとやれた。もっと言えば3Rから削っていないといけなかったです。

でも、僕なりにベストを尽くしたので。あの夜の実力としてはあんな感じですね」

<この項、続く>

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