【TTF Challenge 07】今成正和とグラップリングでドロー、世羅智茂「組み技格闘技として──」
【写真】終盤にはバックマウントを完成したうえでの、時間着切れドローだった世羅(C)KAORI SUGAWARA
10月9日(月)に東京都練馬区ココネリ・ホールで開催されたTribe Tokyo Fight Challenge 07で、世羅智茂がグラップリングマッチに出場し、今成正和と10分タイムアップのドローとなった。
京都のGROUND CORE時代から動きのある柔術で結果を残してきた世羅は、職業柔術家として生きるために上京しカルペディエムもスタッフとして活動している。
そんな世羅が、柔術界が青木発言で揺れたなかで発表された今成とのグラップリング戦。改めて、この試合を受けた理由と柔術で生きる決意、これからを世羅に尋ねると、彼の組み技格闘家象が明らかとなってきた。
──青木選手の「柔術よりMMAが上」発言があって、この今成選手との試合を戦ったのですが、何か影響はありましたか。
「僕は全く気にしていませんでした。回りは嫌がっていた空気は感じましたが、面倒だなって」
──今成選手とノーギで戦うという試合は、世羅選手にとってどのような位置づけだったのでしょうか。
「どういう位置づけも何も昔から知っている選手だし。好きな選手だったので、そういう選手と戦えることが嬉しくて、オファーを受けたので。一応、一晩だけ考えて返事をさせてもらいました」
──ノーギはともかく、ヒール有りというグラップリングにはどのような印象を持っていますか。
「僕は中部のグラップリングツアーやRIZINグラップリングのようにヒール有りの試合にも出ていたので、そこは気にしていませんでした。ヒール有り云々でなく、相手が今成さんだから警戒しないといけないので、そこが一晩考えた理由です」
──足関節は徹底的に警戒していたと思われますが、一度50/50から足首を掴まれ、なかなか抜くことができませんでした。
「後ろを向いて逃げようと思ったのですが、少しの引っ掛かりで抜けなくて。いつもの感覚だったらアレで逃げることができます。それを止められて、ズルズルと引っ張られたことは驚きました。グリップが強いというよりも、何か引っ掛かっているという感じで経験したことがなかったです。
力でなく巧さだと感じました。足関節を取り合うわけにいかないから、基本は逃げることが対処方法なのですが、さすがだと思いました」
──あのポジションになると恐怖心は?
「ありました。あっ、入ってしまったと思って怖かったです。ただ練習で50/50からエスケープする展開はずっとやってきたので、その成果を見せることができたかと思います」
──さきほど以前からグラップリングツアーに出場していたという話がありましたがカルペディエムの一員、柔術家としてMMAイベントのグラップリングルールに挑むことに対して、何か想うことはありませんでしたか。
「柔術というよりも自分にとっては格闘技、組み技格闘技として柔術、ヒール有りのグラップリングも全て一緒というか……自分の好きなことは何でもやるスタンスでいます。
それは京都にいる時から変わりません。カルペディエムは柔術オンリーの人が多い環境なので、僕がこういう場所で戦うことは少し異質ではあるかもしれないですね。『おっ、時代の流れか』という風に周囲は思っているかと。
カルペディエムもスタッフは皆、IBJJFの頂点を目指しているので。対して僕は京都にいる頃から、自由に大会に出ていたので、その延長線上にあります」
──柔術家として食っていく。それは=IBJJFの世界大会で頂点に立つということではなかったのですね。
「それも勿論あります。IBJJFの世界大会も出たい大会なので。今回の今成さんとの試合もやりたいから出ました」
──その組み技格闘技に対する考えは同じでも、技術的にカルペディアムにやってきた変化した部分はありますか。
「カルペディエムに来るまではモダン柔術を率先してやるタイプではなかったです。それが橋本(知之)とか最新のモダン柔術の使い手なので、たまに練習したり見たりして自然と自分のなかにモダンが入ってきたような気がします。そこが一番大きいです」
<この項、続く>