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【UFN122】アンデウソンの代役ビスピンに対し、ガステラムはやや遠い位置に立てるか

Bisping vs Gastlum【写真】言ってみれば一般的でない体形のガステラムだからこそ、オンリーワン的な攻撃が見られる。果たしてビスピンの対応は? (C) MMAPLANET

25日(土・現地時間)、中国は上海のメルセデスベンツ・アリーナでUFC Fight Night122「Bisping vs Gastelum」が開催される。中国本土で初の開催となるUFCのメインは既報の通りアンデウソン・シウバにアンチドーピングに抵触する疑いがあり、3週間前に世界ミドル級王座を失ったばかりのマイケル・ビスピンが代役出場する。


中国という世界最大のマーケットを意識したラインアップ、国際的に知名度はほとんどないと表現しても良い中国人ファイターの大量出場。だからこそ巨大スポーツメディア・カンパニーの性格を持つUFCにとって、メインの顔ぶれは重要になってくる。

ビスピンが心身ともにどこまで仕上げることができるかという部分は、もう当日のオクタゴンの中に入るまで明らかになることはないが、対戦相手のケルヴィン・ガステラムとしてはベストのビスピンを想定するしかない。そのガステラムは彼自身のマリファナ使用により、6月にアンデウソンと戦う機会を失している。

TUF17の大穴優勝を果たしたガステラムは、ウェルター級では体重調整の問題が付きまとい昨年12月から、そのTUFを制したミドル級に専念するようになった。175センチとミドル級としては背が低く、広い肩幅と分厚い胸板を持つサウスポーのガステラムの一番の武器は左ストレートだ。

上背がない割にはリーチは182センチあり、極端に左肩を引いた構えから一見届かないと判断されるような位置でも左ストレートを当てることができる。それを可能にしているのが、右ジャブとのコンビネーションだ。時には重心が高く、前方に体が流れるような形で右ジャブを見せ、その打ち終わりには左ストレートが放たれており、止まって戦うファイターは標的になりやすい。

加えてヒジの位置がかなり奥にあり低い、そして拳は縦拳の形から伸ばされるのでインパクトの際は捻りが加わり横位置になっても、そのパンチは伸びが見られる。ダメージを与えると、距離をやや詰めてストレート気味の左フックもフィニッシュブローになるガステラム。ただし、7月のクリス・ワイドマン戦ではオーソドックスのワイドマンが左ジャブを多用し、そこからオーソドックス×サウスポーの喧嘩四つで見られる自らの前手(左手)と相手の前足(右足)の距離が短いことを利用し、次々とテイクダウンを決めて削っていった。

このシチュエーション、当然のようにガステラムの前手(右手)とワイドマンの前足(左足)にも当てはまるのだが、極端に相手に対して肩を引き縦位置を取る彼のスタンスでは前足に重心が乗らずなかなか組みに行くことができない。そして、この縦位置のスタンスは回転に弱く、組まれて旋回されてからテイクダウンを奪われることが少ない。

ただし、ワイドマンと同様にオーソのビスピンがテイクダウンを多用することは考えられない。万全と過程しても、テイクダウンを何度も仕掛けることでビスピンは自ら疲弊していくからだ。特にこの試合はビスピンの出場状況を考えると、短期決戦を仕掛けてくることも十分に考えられる。

前に出て突破口を開いてきたビスピンに対し、ガステラムはパンチが届かないだろうと錯覚させる距離に立つことができるのか。また、時間差の少ないワンツーがヘッドスリップを多用するビスピンの顔面を捉えることが可能か。やや遠い――と思わせる距離に立つこと、それこそがガステラムの狙いであり勝機だ。

■UFN122対戦カード

<ミドル級/5分5R>
マイケル・ビスピン(英国)
ケルヴィン・ガステラム(米国)

<ウェルター級/5分3R>
リー・ジンリャン(中国)
ザク・オットー(米国)

<フェザー級/5分3R>
アレックス・カサレス(米国)
ワン・グァン(中国)

<ウェルター級/5分3R>
ムスリム・サリコフ(ロシア)
アレックス・ガルシア(カナダ)

<フェザー級/5分3R>
ザビット・マゴメドシャリポフ(ロシア)
シェイモン・モラエス(ブラジル)

<ウェルター級/5分3R>
ボビー・ナッシュ(米国)
ソン・ケナン(中国)

<女子ストロー級/5分3R>
ケイリン・カーラン(米国)
ヤン・シャオナン(中国)

<バンタム級/5分3R>
バラット・カンダレ(米国)
ソン・ヤードン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
チェイス・シャーマン(米国)
シャミル・アブドゥラヒモフ(ロシア)

<女子バンタム級/5分3R>
ジナ・マザニー(米国)
ウー・ヤナン(中国)

<フェザー級/5分3R>
ロランド・ディ(フィリピン)
ウリジブレン(中国)

<ヘビー級/5分3R>
シリル・アスカー(フランス)
フ・ヤオゾン(中国)

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