【GRANDSLAM06】因縁(?)の堀友彦戦へ、柏崎剛─01─「極めとパウンドを置き換えたZSTスタイル」
【写真】勝ち気を押し殺したような話が印象的だった柏崎 (C)MMAPLANET
29日(日)、東京都新宿区のGENスポーツパレスで開催されるGRANDSLAM06。同大会のセミでZSTとGRACHANのバンタム級王者対決=柏崎剛×堀友彦が組まれた。
昨年11月にホーム=ZSTのリングでグラチャンの前王者である手塚基伸に初黒星を喫した柏崎にとって、その手塚戦以来の復帰戦が、今回の堀戦となる。
パウンド無しのZSTでキャリアを積んできた21歳のチャンピオンのMMA観、そしてこの試合に賭ける気持ちを尋ねた。
──昨年11月以来、11カ月振りのファイトとなります。これだけブランクが空いたのは、なぜですか。
「これまでケガをして騙しだましやっていた箇所をしっかり治そうと思いました。それと一度、フィジカルの方も見直そうかということで、これだけの期間を置くことになりました。
どうしても勝っている間にオファーを断るのは勿体ないなと思っていて。でも、負けてしまったので全部を見直そうと思いました」
──手塚戦がプロ初黒星となりました。
「つまらない試合で負けました。しっかりとコントロールされて、技も極められそうになりましたし。バックマウントを取られたことで、心を折られました。試合前は余裕だと思っていたのですが、言い訳でなく体重調整の失敗とか、調子に乗っている部分があって、足元をすくわれました。
良い経験になったし、自分を許すことができない負けでもあります。あそこで勝っていたらRIZINのバンタム級トーナメントに出場できていでしょうし……でも、負けて目が覚める経験にもなったので……」
──今、21歳でK-PLACE所属ということはSTFにも所属していた時期があったのですか。
「ハイ。中学生の時に始めて、高校1年の時にK-PLACEができて移りました」
──STFは修斗系のジムという印象が強いです。そして、柏崎選手はZST育ちです。そういうジムの空気もあったのでしょうか。
「僕の場合はSWATに出るかという話がたまたまあって。もともと所(英男)さんが好きで、ZSTにはグラップリングが強いイメージがあったので面白そうな団体だと思っていました。そして話をもらったので、出場してそのまま戦い続けるようになった感じです」
──パウンド無しの頃のZSTですか。
「まだなかったです」
──パウンドの無い試合を出るというのは、どこに魅力を感じていたのでしょうか。
「パウンドがないからこその動きとか……できる人は一本を取って勝てるけど、できない人は引き分けになる。そして、できる人でも引き分けに持ち込まれる場合も面白かったです」
──一本決着でないとドローになるというルールも面白かったと。
「パウンド有りだと固めて殴るということが多いので、ZSTスタイルは僕が一番好きな戦い方です」
──UFCが頂点というMMAのヒエラルキーができていたなかでも?
「目の前のことしか見ていなくて、今でもUFCとか全然チェックしていないし、出たいとも思っていないです。それに今、僕がUFCに出て勝つことなんてできないですし、目の前にある出場している団体、大会を盛り上げたいという気持ちでやってきました。ですから取り敢えず、ZSTを盛り上げようと思っていました」
──ZSTもパウンド有りになりました。パウンドをどのように受け入れたのでしょうか。
「本戦デビューをし、パウンドなしルールで引き分けでした。2戦目がKO勝ち、その次に引き分けた時にパウンド無しはキツイなって思うようになったんです。当時はRINGSルールだとパウンド有りだったので、勝つためにパウンド有りを選んだような形ですね。
ただ、パウンド有りでもZSTの良さ、回転系の戦いはできると信じていました。今もそれを実践しようと思っています」
──結果、スクランブルからバック奪取という現代MMA的な試合になっているような気もしますが、その辺りはどのように捉えていますか。
「昔のZSTは極めのイメージですよね。でも、実際に極めるのは簡単じゃないです。その極めを僕はパウンドに置き換えたんです。パウンドを入れつつ、しっかり動く。そうすれば面白いんじゃないかと。なので今も意識しているのは、一発で効かせるパウンドを入れること。パウンドでKOすることです。特にスクランブルを意識しているわけではないですね」
──効かせるパウンドは、スペースが必要になり自然とスクランブルが発生するのかもしれないです。渡辺修斗選手を相手に行った防衛戦では、完全なスクランブル戦に見えました。
「あの試合も調子に乗っていて余裕だろと思ったら、スクランブル戦になってしまいました。殴って終わりだろうと軽く考えていて……。
動き続けながら、殴るためにフィジカルを鍛えてきました。抑えて殴って、逃げられて。それを倒して殴るというのが理想なので」
──では、次の堀選手との試合は、鍛えてきた部分がどこまで出るのか試金石的な試合になりますね。
「約1年休んでやってきたことは、ケガを治すことやフィジカルだけではないので。スタンドでもガンガンやります。どれだけジャブを打って来ても、全部カウンターを合わせてやります。しっかりと打撃をやって倒して、寝かせる」
──堀選手に勝つ自信のほどは。
「十分にあります」
──その自信と、1年前まで自信の違いはありますか。
「手塚戦の前とは違います。あんなに舐めていて、余分な自信はないです。舐めてもいないし、堀選手のことを分析もしています。対策も練ったうえで良い感じの自信があります」
──ZSTとGrachanの王者同士、そこの意識は?
「1年前に元チャンピオンと戦って負けました。なので、現チャンピオンに勝つことができれば、あの想いは払拭できるのではないかと」
──堀選手が手塚選手とドローだったことは意識しますか。
「……ハイ(苦笑)」
<この項、続く>