【DEEP79】DJ.taikiに判定勝ちの芦田崇宏─02─「RIZINはちゃんとベルトを獲ってから」
【写真】勝利後、マイクでRIZIN出場をアピールした芦田(C)KAORI SUGAWARA
16日(土)、東京都大田区の大田区総合体育館で行われたDEEP79で、DJ.taikiに勝利した芦田崇宏インタビュー後編。
海外での連敗から、計量失敗を経てリスタ―トを切った芦田は試合後にマイクでRIZIN出場をアピールした。PRIDEへの強い思い入れが「遺伝子を継ぐ」(芦田)RIZIN出場を掻き立てる。
RIZIN出場へ向けて、そして練習環境の変化について芦田に訊いた。
<芦田崇宏インタビューPart.01はコチラから>
──HALEOは表参道のHELEOではどういったメンバーと練習してきたのでしょうか。
「代官山は筋トレとか走ったりだとか、フィジカルトレーニングが中心で、表参道は完全に格闘技しかやっていないです。それに表参道はHALEOトップチームの中でも限られた人しか来ていません。
毎回一緒に練習をしているのが牧平(圭太)さん、山内(佑太郎)さん、キックボクサーの(登坂)匠さんやもう引退してしまいましたけど木村(秀和)さんです。
MMAの選手だと徳留(一樹)さん、大塚(隆史)さんも来ているし、前に試合で対戦したクレベル(・コイケ)も一緒にやっています。だからあの時の試合の反省も2人で凄く出来ました」
──充実したメンバーですね。
「そうですね。HALEOトップチームは代官山も表参道も、1人で強くなるのではなくみんなで強くなろうという風にやっています。表参道のメンバーはHALEOの中でもチームというより家族みたいな感じなので、心強い良いマインドで過ごせました。
この試合の前はBRAVEでも師匠の宮田先生と練習をする時間が多かったので、より良かったです。チームメイトともいっぱい練習ができたし、練習環境は最高でしたね。そういうのもあって、試合前でも心が満たされていたのかもしれません」
──今回の試合は芦田選手にとって、どのような位置付けの試合だったのでしょうか。
「負けたら引退するつもりぐらいの覚悟を持って臨んだ試合なので、凄く色々な意味があります。格闘家として今後も続けて行く為に、DJさんは絶対に超えなければ行けないレベルの相手です。知り合いだし強いから、最初オファーを受けた時はどうしようかなとも思いました。
ただ、なかなかDJさんのようなレベルの人と対戦させてもらえないし、これを受けておかないとまたチャンスがいつ来るかわからないなと思ったので、オファーを受けました。そのぐらいの覚悟を持って受けた試合なので勝った事に対する意味合いは凄くあります」
──かなり満足度の高い試合だったようですが、何か課題も見つかりましたか。
「元々あるスタイルに色んなオプションをつけて行くというのが今後の課題ですね。今回つけたオプションが距離を取ったり、フェイントを入れたりとか、足をより使って戦う事です。
あと、しっかりフィニッシュしたいです。本当は今回の試合もフィニッシュしたかったですけど、元々そんなにKOするつもりもなく戦っていました。1発で倒せるパワーを付けるのも今後の課題かなと思っています」
──2016年から今年の3月にかけては海外での試合が続きましたが、5月からDEEPに参戦しています。
「正直、海外で学んだ事よりも今回の試合で学んだ事の方が全然多いですね。海外での試合があったからこそ、そういう風に考えて出来るようになった部分もあります。ただ、今回の試合前の期間に得たものの方が多いです。
もちろん向こうでは勝てていないんで、別にイージーだった訳ではないです。ただ、今回の試合を受けて試合までの過程で、海外での失敗を改善しようとした感じですね。辛い思いをしてまでブラジルに行ったので、もう何処へでも行けるなという感じですね」
──ブラジル遠征は大変でしたか。
「ヤバかったです。舐めていました。渡航時間がとにかく長かったです。トランジットも入れて35、6時間くらいかかりました。最初は大丈夫だなと思っていたら、アブダビからブラジルまでが凄く遠くて……。それにアブダビからブラジルまでがリクライニングが壊れていて背もたれが倒せなくて最悪でした。帰りも『負けてこれかよ』と思ってメンタルが鍛えられました(笑)」
──そして、前回の5月の試合では計量オーバーしています。
「ただの言い訳になってしまいますけど、今まで30戦近く試合をしてきて、あんな風になったのは初めてでした。原因は僕の中にはちゃんとあって分かっています。
今回の減量はスムーズに行けたし、今までで1番コンディションが良かったですね。水を抜いた割に体のハリも良かったし、すぐに体重も戻りました。今までもちゃんとやっていましたけど、28歳になったし年齢も年齢なのでもっとちゃんと筋肉の事も考えないと、ただ減量しているレベルではもうダメだなというのがわかりましたね。
その失敗でより、考え直せました。ただ、本当にやっては行けない事ですよね。汗がピタッと止まってしまってどんどん体が怠くなっていく。これ以上、サウナは無理だと思っても入らないと落とせないので、最後に一絞りしましたけど、それでも落ち切らなかったです」
──マイクでも、減量が心配だったと胸中を話していました。
「ハイ。滅茶苦茶怖かったです。今まで以上に緊張もしました。ただ、DJさんに勝てたから言えたというのがあります。別にあの人のことが嫌いな訳ではないですし、敵だとも思っていないです。DJさんは戦績も凄いじゃないですか。バンタム級のチャンピオンになったことがある。だから勝った時はとにかく嬉しかったです。
ここに勝てなければ本当にやっている意味がないと思って辞めるつもりでいたので、入場の幕が開く直前まで『負けたらどうしよう』と緊張で押しつぶされそうになっていました。どうしようと思っていた時に宮田先生から『なるようになるから、お前は作戦通り足を使ってやれば良い。行って来い!!』と言われて凄く気が楽になりました。
入場口の近くに僕の友達とか家族も応援に来てくれていたのが見えたので、『みんな来ている。行くしかない』と急にすっきりしたんですよね。本当に試合前は毎日試合の夢も見るし、負ける夢ももちろん見る。勝たなければいけないと思いました。
今回は精神的にも良くも悪くも追い込めた感じですよね。その中で勝てたというのはやはりでかいです。僕自身も自分がメンタル強い人間ではないので。自分に打ち勝って試合中に怖がらずにしっかり作戦を遂行出来たというのは大きいです」
──BRAVEからDEEPへの参戦もまた増えてきました。
「ここまできたらフェザー級のベルトは獲りたいですよね。(鈴木)隼人さんもGrachanのベルトを持っていたし、僕もベルトは欲しいです。何かしら形で持っていないと、発言権がないと思うんですよ。何もない選手がRIZINに出ても面白くないじゃないですか。別に有名人の旦那でもないし、KINGレイナ選手みたいにキャラがあるわけでもない。
実力で上がるのであればやはり形をちゃんと持っていないとダメだなと思います。バンタム級トーナメントにはみんな日本の老舗のベルトを持っている人たちが出ているじゃないですか。やはり獲らないとダメですよね」
──RIZINに出るために描いている道筋はありますか。
「僕にはまだ出る資格がないです。とりあえずDEEPでベルトを獲ってアピールしたいと思います。本当はブラジルでベルトを獲った時点で言おうかと思っていたんですけど獲れなかった。だからRIZINはちゃんとベルトを獲ってからですね」
──RIZINに強い思い入れがあるようですね。
「格闘技の中でも1番PRIDEが好きで本当に好き過ぎて『いつか俺もこのリングに立ちたい。この世界に行きたい』と思ったんです。RIZINはその遺伝子を継いでいる団体なので盛り上げたいんですよね。もっと盛り上がって欲しいです。僕は本当にPRIDEがなかったら生きていなかったんじゃないかと思うくらいに生き甲斐だったんです。
UFCももちろん良いですし、声がかかれば行くでしょうけど、やっぱりRIZINですよね。僕がテレビで見ていた人達が運営していて、高田(延彦)さんもRIZINでやっていますし、(RIZIN代表)榊原(信行)さんも中学生の頃から知っているので『おお!!』と思いますよね」
──そのRIZINから声が掛かるためには、どのような姿をファンの方に見せていきたいですか。
「今回は微妙な駆け引きばかりの試合展開だったので、次からは僕本来のアグレッシブな所も見せていきたいです。前はKO、一本も結構していたんですけど、最近は対戦相手のレベルが上がっているのでKO出来ていないですけど、今後はそういうフィニッシュできるところを見せたいです」
──では最後にメッセージをお願いします。
「応援やサポート、練習してくれた人たちのそのおかげで勝てたと思っています。ありがとうございます。みんなで行かないとDJさんには勝てないと思い、僕の心の中では『俺一人じゃない。みんなで勝ちに行くぞ』と入場の時に思いました。
練習して来たチームメイトや師匠の顔も浮かんだし、みんなで行こうと思えたからこそ勝てたので、感謝の気持ちでいっぱいです。これからも結果を出して、みんなが喜んでくれるようにもっと上の舞台を目指していきます。頑張ります!!」