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【Bu et Sports de combat】 武術の叡智はMMAに通じる。統一体と形骸化された構え─03─『四股立ち』

Shiko dachi【写真】四股立ち、空手らしいな──と思うのは左右のどちらだろうか(C)MMAPLANET

MMAと武術は同列ではない。その一方で、武術空手を学ぶことで、MMAに生かせる部分がある。とはいってもMMAはスポーツであって、決して武術ではない。また多くの空手も試合があり、スポーツとなっている。剛毅會・岩﨑達也宗師自身が20年に渡り極真空手というフルコンタクト空手で試合に勝つために稽古を続けてきた。

そして、武術空手の出会いとともに──人間の体の機能がフルに使える状態=統一体という状態に行き着くこととなった。

自らの強度が上がり、質量が変化する。細胞から感じ方が変わるという統一体を身につけるには基本稽古や型稽古のみならず、道場内で見られる礼法から違いが生じて来る。前回の座礼に続き、今回は立礼と四股立ちで、統一体でない礼と構え、統一体となっている礼と構えの違いを検証してみよう。

03:多く見られる空手道場での立礼

十字を切って押忍

十字を切って押忍

礼をして

礼をして

頭を上げると怖く

頭を上げると怖く

弱い

弱い

04:剛毅會での立礼

まっすぐ立って、指先まで伸ばし

まっすぐ立って、指先まで伸ばし

頭を下げる

頭を下げる

頭を上げても怖くなく

頭を上げても怖くなく

強い

強い

05:多く見られる空手道場での四股立ち

足を開き、引手が胸の高さ。拳は正中線を狙う(※構えを取った澤田龍人は、いつも癖で拳を肩の延長線上に持ってきてしまっている)

足を開き、引手が胸の高さ。拳は正中線を狙う(※構えを取った澤田龍人は、いつも癖で拳を肩の延長線上に持ってきてしまっている)

この立ち方だと、怖く

この立ち方だと、怖く

弱い(※澤田龍人は、ここでも引手を肋骨の下に自然と置いてしまっている)

弱い(※澤田龍人は、ここでも引手を肋骨の下に自然と置いてしまっている)

「一般的に重心を下げると指示されると、ヒザを曲げます。ヒザが曲がって、腰が落ちても実は重心は低くなるだけで、決まっていないのです。踏ん張っているように見えますがバランスが悪く弱いです」(岩﨑)

06:剛毅會での四股立ち

突く位置は正中線でなく肩の延長線上。引手は肋骨の下。歩幅は、腰が割れない範囲。怖くなく、強い

突く位置は正中線でなく肩の延長線上。引手は肋骨の下。歩幅は、腰が割れない範囲。怖くなく、強い

「拳の位置が肩の前、引手の位置が肋骨の下。これでチンクチが掛かります。そして腰が割れない範囲……こうなると強いく、統一体になっています。この腰が割れない歩幅とは、人によって違いますが、概ねスネの長さに拳が一つ入る幅と考えてください。それ以上になって腰が割れると身体に負担が掛かるようになります。

つまり、腰が割れると統一体でなくなり身体に負担がかかりバランスが悪くなります。その結果、動き辛くなるのももう分かっているのでその状態を嫌うようになります。

普段からこの構えに慣れている澤田に、形骸化された四股立ちをさせるとバランスが悪くなるのを感じで『きつい』という感想を漏らしました。この構えを取った結果、動き辛くなるのももう分かっているからです」(岩﨑)

なぜ、空手は統一体である構えでなく、形骸化していったのかなど、次回は前屈立ちの違いを例として、掘り下げていきたい。

<この項、続く>

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