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【ACB71】モスクワで無敗のカリモフと戦う、水垣偉弥─02─「UFCとの再契約も岡見さんに続きます」

Takeya Mizugaki【写真】活字にすると不安な言葉が並ぶが、表情は実はそうでもなかった水垣(C)MMAPLANET

30日(土・現地時間)、ロシアはモスクワのクリタツコエ・スポーツパレスで開催されるAbsolute Championship Berkut71「Moscow」でルスタン・カリモフと戦う水垣偉弥インタビュー後編。

初めてのロシア、そして連敗中だからやけに弱気な発言が目立ったが、果たして……この言葉をどのように受け止めるべきか。

<水垣偉弥インタビューPart.01はコチラから>


──えっ、それはどういうことですか。

「自分の格闘技に対する能力に自信がないんです。やっぱり負けが込んでいるし。練習でもなんか不調だし。ケガも多い。まぁ、でもやるしかない」

──逆に絶好調の時よりも、そういう時の方が試合で良い動きができることもありますし。

「自信もないし、いつも通りの調子でもない気がしますけど、どうなるか……ですね。あっ、そういえば体重が落ちるのも少し遅いですね。これまでだと、もう水抜きだけになっている状態なのに、まだ500グラムぐらい落とさないといけないですね」

──何だか不安要素が増える一方じゃないですか。

「ただ、太平洋を越えるよりもユーラシア大陸を越える方が楽だと聞きますしね。5日前だとバイオリズム的には一番だとか。本当はもう少し早く現地入りも考えていたのですが、ビザの関係で無理だったので。でも、逆に良かったかもしれないです。

いや、それよりビザを取るための作業は嫌でしたね。凄くストレスになりました。もう申請したので、あとは届かなかった僕の責任じゃないので今は楽ですけど」

──届くか届かないは、ストレスにならない?

「そこはもう僕にはどうしようもできないことなので」

──その辺りの気の持ち方ができるのは、やはり水垣選手らしいです。

「今回含めてACBで3試合、これからが掛かってくる試合ですし、とにかくどんな状況だろうが、試合になれば全力で戦って結果を残す。それだけです。あまりに内容が酷いと考えないといけないだろうけど、とにかくACBとの3試合は戦い抜きます。

試合間隔が空いたから、この仕上がりの遅さになっているのか、もう年齢的に変わってきたのか。こないだ、マーク・ハントが後遺症のことを話していたじゃないですか?」

──ハイ、現時点でも自覚症状があるけど、ファイターだから戦い抜くという言葉と、薬物使用に対する苦言を改めて呈していました。

「アレ、やっぱ凄く怖かったんですよ。試合前に読むと不安になっちゃって。でも、そんなにUFCでダメージ残るような試合をしているのかなって」

──ミオシッチ戦は怖かったですけど、UFCよりK-1時代ではないのかって……いや、それにしても弱気が凄いことになっていますね。

「でも、開き直ってやるしかないです。僕自身、ケガをする状況が変わって来て。これまでは相手に何かをされてケガをしていました。足が変な具合に引っ掛かったりして。それが今は自分の動きのなかで痛めるんです。

ランニング中やテイクダウンを予定通り仕掛けたタイミングで。これが年を取るということなのかっていうのはあります。良い形で入っているのに、体のある個所が痛くなったり」

──いやぁ、しかしもう水垣選手の試合前のインタビューは、景気の良い話が聞かれなくなって久しいです(笑)。

「そんなでしたっけ? でも不安しかないです」

──本当に大丈夫ですか。

「いや、でも今言ってくれたことで、いつも通りなんだってちょっと楽になりました(笑)。いつもより不安になっていたと思っていたので。ホント、若かった頃は初めて米国で戦う時なんて楽しくてしょうがなかったのに、初めてのロシアは不安ばっかりで」

──それは結婚して、息子さんも生まれた。責任感が増したことの裏返しだと思います。

「守りに入っているのか、良くないですね。父親になって、ある面では強くはなっているとも感じています。それに……今回、このタイミングの取材で代官山から横浜に戻る道すがらということで、高島さんがこのデニーズを取材場所に指定した理由も分かるんです」

──……分かりますか(笑)。

「これが、現役最後かもっていうのがあるということですよね?」

──それは口にはできないです(笑)。

「いや、だってケージフォースのトーナメントに出ている時だから……2008年かな? もう9年も前に初めてインタビューしてもらったのが、このデニーズだし」

──2009年8月に水垣選手が長野県でレスリング合宿をしていて、中央か関越で戻ってきて第三京浜まで環八を走るというので、このデニーズで取材をさせてもらったんですよね。

「だから、そういうことを考えているんだろうなって。でも、あの時から色々あったと考えると、ここまで自分でもよく続けることができたと思います。ホント、でも岡見選手の例がある。まだ、諦めないですよ。このタイミングで、岡見さんがUFCと再契約をしてくれた。

岡見さんがやってきたことを僕は後追いで実現させてきたので、今回もそうします。岡見さんが壁を崩してくれて、僕がその後に続くことができたのだからUFCとの再契約も続きます。

とにかく、やるだけです。この気持ちは上手く言葉にできないですけど。とにかく、ロシアに行って勝ってくるだけ。この年になって、MMAを続けることができて僕は幸せ者だと思います。だから、今回は何が何でも勝ちます。これを続けるために」

■ACB71対戦カード

<ACBバンタム級選手権試合/5分5R>
[王者]ピョートル・ヤン(ロシア)
[挑戦者]マテウス・マットス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
アンドレイ・コシュキン(ロシア)
エドゥアルド・ヴァルタニャン(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
マルセロ・アルファイア(ブラジル)
アスラムベク・サイドフ(ポーランド)

<バンタム級/5分3R>
オレッグ・ボリソフ(ロシア)
ムラッド・カラモフ(ロシア)

<ミドル級/5分3R>
アレクセイ・ブトリン(ロシア)
ヨナス・ビルシュテイン(ドイツ)

<フェザー級/5分3R>
アレクサンドル・ペドゥソン(ロシア)
ムハメド・ココフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
エルジソン・バチスタ(ブラジル)
アリ・バゴフ(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
アコップ・ステパーニャン(アルメニア)
サイドカムザッド・アフカドフ(ロシア)

<ライト級/5分3R>
クリストス・ギアゴ(米国)
シャミル・ニカエフ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
ルスタン・カリモフ(ロシア)
水垣偉弥(日本)

<ライトヘビー級/5分3R>
カロル・セニンスキ(ポーランド)
マキシム・フチン(ロシア)

<フェザー級/5分3R>
ジレノ・ロピス(ブラジル)
ドゥクヴァラ・アスタミロフ(ロシア)

<バンタム級/5分3R>
ヴァレリー・カジロコフ(ロシア)
ウスラン・アビタロフ(ウクライナ)

<バンタム級/5分3R>
トゥラル・ラジモフ(アゼルバイジャン)
中島太一(日本)

<ヘビー級/5分3R>
DJ・リンダーマン(米国)
アミルハン・イサガジエフ(ロシア)

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