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【UFC117】UFC日本大会に向け、五味隆典「ファンを裏切らない試合ができれば」

Takanori Gomi【写真】東林間ラスカルジムを子供の声が響くジムにしたいという五味(C)KAORI SUGAWARA

25日(金)、神奈川県相模原市南区の東林間ラスカルジムで9月23日(土)にさいたま市中央区のさいたまスーパーアリーナで開催されるUFC Fight Night117「Shogun vs St. Preux 2」に出場する五味隆典の合同会見が行われた。

キム・ドンヒョン戦に向けた意気込みが、基礎体力をつけなおすというトレーニングに表れている五味。その会見の模様をお届けしたい(要約)。


──今回UFC日本大会に出場が決まったことについてどのように思われていますか。

「ホームで出来るというのは素直に嬉しいですよ」

──ホームと海外で試合をするのは何か違いますか。

「そうですね。色んな所で挑戦させてもらってUFCが1番試合数の多い団体になったんで、最後にホームでやりたいなというのはありますね」

──今回のUFC日本大会でUFCでの試合を区切りにしたいという発言もあるようですが。

「契約のこともありますし。いろんな可能性がなくなるわけではまだないんで、大きな試合とか良いマッチメイクがあれば今後、海外でも挑戦していきます。今年しっかり試合をしつつ、ジムも新しくなったんで、そっちもしっかりやっていかなければならない」

──ジムが久我山から東林間に移転しました。

「いつか慣れ親しんだ人たちのところでやりたいというのがありましたし、元々格闘技を始めた場所です。ここで生活したこともあって慣れ親しんだ街だからですね」

──東林間にジムを移されてから練習環境や状況を教えてください。

「一箇所で色んな事を出来るというのは身体も楽になりますね。9月の頭に全部完成しますけど、どっちにしても俺はなかなか会員さんとスパーリングをするというのはあまりないです。相模原ヨネクラ(ボクシングジム)さんもあります。

ここはですね、元々の久我山ラスカルジムのものと僕がお世話になっていた横浜八景ジムさんのマットとか、そういった二つのジムから色んなものを頂いています。それが良いエネルギーになると良いんですけどね」

──この黄色と赤のマットは八景ジムから持って来たものですか。

「ハイ」

──色々な選手との練習が蘇りますか。

「ロールマットが好きなんで自分が入れたマットは結構高かったけど、全然好きではないんですよ。バネの感じも良いんですよね。言い訳じゃないんですけど、6月の試合は集中できてなかったかなという思いはあるよね。今年はこの移転に相当エネルギーを使っているんで、最後に久我山でも1回勝てれば良かったんだけどなかなかそうも行かなかった。せっかくジムを新しくして今月末には出来上がるんで、今ある状況で勝って来ようと思っています」

──今回の試合に向けて、どのようなメンバーと練習しているのでしょうか。

「元々の会員さんも遠くから通ってくれていますし、この前は徳留選手が来てくれました。これからですね」

──ヨネクラジムでの練習がメインなのでしょうか。

「いや、そんな事はないです。ここでは基礎トレーニングが中心ですね。今まで技術練習とかスパーリングに頼りすぎているところがあったので、基礎体力をしっかり戻そうという事で1番地道な作業をしています」

──基礎体力を戻そうと思ったのは最近の試合の結果とか内容を踏まえているのでしょうか。

「そうですね」

──最近のなかなか勝てない状況をどのように感じていますか。

「うーん。分からん! 分からないから、負けてしまうんですよね。ただ、やるしかないでしょ」

──対戦相手キム・ドンヒョン選手の印象は?

「荒削りですけどパンチとヒザで前に出てくるアグレッシブな選手ですね。面白い試合になると思います」

──久しぶりの日本の試合でどのようなファイトを見せたいですか。

「お客さんに熱気が伝わるような、全部出し切ってしっかり汗のかける試合をしたいですね。もう試合では失うものもないし、やり残した事も悔いもないから、全力でやるだけです」

──7月にRIZINを観戦していました。

「日本人が盛り上げて、活躍出来ているRIZIとUFCは全然違うよね。RIZINは日本人が活躍していけるように盛り上げていますよね。UFC JAPANは割と外国からのお客さんも多いんではないですかね。どっちも盛り上がれば良いと思います。それに俺はRIZINに試合を見に行ったのではないし。友達を観ていただけです(笑)」

──地元に移転して木口道場も近くなりました。基礎体力を戻すと話していましたが、昔の仲間や先生から発破をかけられるようなことがあったのですか。

「今、ウエイトトレーニングをやっているけど、『もう無理です』と言って毎晩ジムの窓から何度も逃げ出すんだよね(笑)。今までそこまでやっていなかったなという気付きがありましたよね。

今までは技術練習とロードワークだけでした。だいぶ筋力疲労にはなりましたけど、打撃の選手の追い込みとか調整を勉強させてもらっていました。それではなかなか総合の試合では結果がついてこないし、やはりしっかりと筋力トレーニングをやって基礎体力を戻さないと、技術もね、体力がないと活かせない。以前もやっていたことなんですけど、もう1回総合の基礎体力を戻そうと思いました」

──ウエイトトレーニングを見ていただいているトレーナーの方はどのような方なのですか。

「昔からの友人です。今度セコンドに入って頂く可能性もあります。今までで1番キツイよ。木口先生のトレーニングに耐えられる体を作ってもらってるんだよね。今までやったことないくらい毎日追い込んでくれていますよ」

──木口式のようなものを取り入れているという事でしょうか。

「そうですね。今週の日曜日は木口先生が来てくれます」

──今回の試合の前日は五味選手の誕生日です。

「自分で祝えるように良い結果を出そうと思っています」

──年齢に伴って練習方法や気をつけている部分、以前と違う事などありますか。

「今から1番しんどいところをやるというのは本当にきついんですけどね、しっかり休んで栄養を摂ります。現役も長くなったんですけどやれるうちしかできないんで、今年いっぱい集中してやろうと思っています」

──今年いっぱいというのはこの次の試合も見据えているのですか。

「いえ。そんな事はないです。この試合で終わるかもしれませんし、オファーが来るうちしかできない事なんで、全力でやるだけですよね。UFCは1番最初に憧れた舞台ですし、メイウェザーとマクレガーがやるまでその場に居られたでの良かったです。もう一回色んな意味でトップの力に戻したいですね」

──調整方法を変えた事で、現時点での手応えはありますか。

「これから9月に入ってから動きながら確認をするんですけど、先週、リラックスも兼ねて行った国士舘大学レスリング部の菅平の合宿でも若い選手とぶつかり合うことができました。ウエイトトレーニングで追い込んでなかったら全くできなかったと思うんで、効果は出ていると思いますね」

──自分への最高の誕生日プレゼントというのはやはりKO勝ちですか。

「うーん。ファイターは勝った時しか良い事ないし、勝たないと何やっても面白くないよね」

──日本での試合で色んな思いを背負って戦うと思いますが、どのようなところを試合で見てもらいたいですか。

「今、本当にキツイ練習、それもスパーリングではない練習が出来ている。怪我もないし、良い方向で追い込み方が出来ています。元に戻ったというかね、自信に溢れているような、お客さんが盛り上がって熱くなるような試合を見せたいですね。

技術だけで行こうとすると試合も不安が多い。技術練習で海外の選手の技術を取り入れたり打撃の練習に偏ったりしていると、その技術がうまく嵌らなければ、簡単にやられてしまう。やはり基礎体力の上にそういうものを乗せないとダメだと思うんで、しんどいことをやり続けるしかないですね。

どうしても試合のイメージとか技術練習に行ってしまうところがあったので、この歳でやるのは基礎体力作りをするのは本当にしんどいんですけど、その分、しっかり休んで栄養を摂って休めるときに休もうと思っていますね」

──同じ大会で気になる試合はありますか。

「日本人選手はみんな楽しみです。阿部(大治)選手も強いらしいですね。(佐々木)憂流迦も前回凄く良い勝ち方をしたし、もう十分盛り上げられる選手や後を任せられる選手が出てきている。俺は俺でやりたいことをやらせてもらうだけで、若い子や伸びて来る選手の邪魔をする気もない。

俺はファンの人に最後の我儘に付き合ってもらおうと思っているんで、それを裏切らないような試合ができればそれでいいと思っています。早く俺も楽になりたいよ(笑)」

──憂流迦選手のように五味選手にずっと憧れてきた選手に下手な姿は見せられないという気持ちもあるのではないですか。

「前回見せたから大丈夫だよ(笑)。前回ね、憂流迦が変わった相手とやっていてやりづらそうだったんだよね。『うまく行かないな。これは俺に波が来るな』と思ったら逆転しやがって、その瞬間だよね。気が抜けてしまうというか、流れが掴めなかった。昔はみんな負けてしまって俺だけが勝って帰ってきていた事もある。

井上君は初参戦だし、あの2人は大したもんだよね。小さい時から総合をやっていて海外の相手のペースに対してもブレない技術力を持っている。ああいう子たちでも壁にぶつかる事はあるだろうし、逞しくやって行ってほしいね」

──今回の試合でKOボーナスを獲得したら買いたいものはありますか。

「もう物欲はそんなにないんですよね。ジムの方にお金が掛かったからね、その埋め合わせをします。色んな物をもらったとはいえ、ジムに金が掛かるんだよね。自分の試合が終われば東林間にちびっこレスリングやMMAをやったり、子供の声が響く道場にしたいんですよね。良い試合できるように1試合ずつ大事にしていきたいと思っています」

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