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【Pancrase288】ジョブリンに完勝も笑顔なし、徳留一樹─01─「9月までやれることは何でもやろう、と」

Kazuki Tokudome【写真】試合後の控室でも自嘲気味の笑み以外、徳留は笑顔を浮かべることはなかった (C)MMAPLANET

2日(日)のPancrase288で、キーラン・ジョブリンに判定勝ちを収めた徳留一樹。4月23日のアキラ戦、28秒殺から2カ月のスパンで今回の試合出場を決めた。

その背景には当然、9月のUFC日本大会出場への最後のアピール、自分でやれることを全てやり切るという意志の下での試合出場、そこをパンクラスが勝って国際戦となった。

結果、完勝にも笑顔が見られなかった徳留──、彼の胸に去来していたモノとは……。


──完勝でしたが、笑顔は見られませんでした。今の心境は?

(C)KAORI SUGAWARA

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「悔しいです。一本かKOを取りたかったので。1Rの途中から……、今日は起きた時から調子が良くないというのがずっとあったんです。脹脛がつりそうになっていて、そういう不安を抱えながら戦っていました。

それが影響しているのか、1Rの途中から急激にスタミナをロスしてしまって。本来の調子がでなかったことが悔しいです。でも、そんなのは言い訳でしかなくて、ここはKOか一本が必要でした」

──4月23日のアキラ戦から、2カ月のインターバルで試合ということが影響したのでしょうか。

「それは影響ないと思います。今日はなぜ、そうなったのか。脹脛がこんな風になったこともなかったですし、水分が足らなかったのですかね。ずっと平山(敬悟=クリスMAN)さんにマッサージをしてもらっていたのに、違和感が続いて。

1Rの途中からステップが踏み辛くて。それでも打撃でいこうと思っていたのですが……。ジョブリンが寝技勝負を仕掛けてきた時点で、別に寝技でも一本が取れる自信があったので、ここは寝技に付きあってやろうと思ったんです。最近の試合では立ち技ばかりだったので、寝技を経験するのも大切かなと」

──2Rにそこを実践するのは良いことかと思いますが、この試合はインパクトを残す必要があって戦った。ならば3Rは組みを切って寝技という選択肢もあったのではないかと。

「その通りですね。本当に疲れてしまって、大宮司(進トレーナー)さんに活を入れられ、館長(塩田歩パラエストラ八王子代表)にもたくさん水を飲まされたのですが、最後の30秒ぐらいしか頑張って動けなかったです……」

(C)KAORI SUGAWARA

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──ジョブリンは寝技が最後の砦で、立ち技は完全に委縮していました。その分、テイクダウンから寝技に賭けていたような雰囲気でした。

「自分も行かなきゃと思ってはいたのですが、ダメでした。そこが本当に悔いが残るし、自分が許せないし。勝っても全然嬉しくないです。負けないのにはこしたことはないのですが、ここは勝つ以上のことが必要だった試合なので。自分が望んでいた、イメージしていた勝ちではないです」

──イメージはやはり打撃でKOでしたか。

「ハイ、初回に左ストレートが一発入った時点で、もう相手は構えも違っていたし。もうビビッたなって思ったんですけど、そうなるとガードを固めて来て」

──FWを一人残して、10人で守るサッカーのようなものですね。そして、そのFW=寝技があるからと、心が折れ切れることなく粘りもあった。

「もう打撃を貰う覚悟ができていたからか、怖がっているのに良いところに入っても耐えてきたんです。こういう展開になると虚を突いたパンチ、相手が意識していないところで打撃を当てることができなくなってしまうんです。

右のアッパーも入ったし、ボディも当たった。フェイントにも凄く反応していたので、ここまで粘るとは予想外でした。それでも向こうのパンチは全部見てえていたし、もう少しいけたはずですね」

──この試合に臨んだ裏には、やはり9月のUFC日本大会出場へアピールをしたいということだったと思います。

「ハイ。できることは何でもやろうって。4月にKO勝ちしたけど、あの1勝でUFCに響かせることはできないし。なら、待っているだけでなく、9月までやれることはなんでもやろうという気持ちでした。

で、自分がデキることは何かと考えると、試合に出て勝つことなんですよね。それで可能性がどれだけ高くなるのか分からないけど、1パーセントでも2パーセントでも上げてUFCの網に引っ掛かるようにトライする。

そうしないと、悔いが残るので……やれることは何でも必死になってやろうと思って、短いスパンでも試合をしようと思ったんです」

<この項、続く

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