【UFC→?】田中路教に聞いた、現状と今後─01─「UFCに戻る気持ちがなくなったら、格闘技を辞める」
【写真】大きくジャンプするには、溜めが必要。今がノリにとって、その時に違いない(C)MMAPLANET
サクラメントのアルファメールで練習していると思われていた、田中路教が帰国していた。2月4日のUFN104でヒカルド・ラモスに敗れて以来、SNSなど以外で近況が伝わってこなかった田中が帰国……。
取材に快く応じてくれた田中の口からはUFCからのリリースと、厳しい現状が伝えられた。目標に向かって走り続けた来た彼だからこそ、障害は少なくない。それでも、この苦境を乗り切るべく強い意志が彼の口から語られた。
──サクラメントで出直しロードに励んでいると思われた田中選手と、こうやって東京でお会いしています。
「いやぁ、ちょっとビザで問題が起こってしまって。急遽、帰国しないといけないハメに陥ってしまいました。問題が解決すれば、すぐに向こうに戻ります」
──2月のヒカルド・ラモス戦前以来の公の場での発言となります。
「ハイ。UFCからそういう公式発表はないのですが、あの試合後にリリースされました。あの試合が契約内で最後の試合だったのですが、負けたし内容も悪かったです。その日の夜にマネージャーのマイケル・ナカガワがショーン・シェルビーと話をして、契約更新はないということは伝えられていました」
──ラモス戦はいかなる理由が田中選手にあったとしても、UFCで戦うようになってから、いやキャリア全体からも最も内容が悪かったと思いました。
「そこはもう、本当に自分が悪いです。正直、インタビューで話すべきではない事情もありましたけど、そこも踏まえてすべての原因は自分にあるので。結果、精神的に戦う感覚というモノを失ってしまっていたように思います。
これまで試合前になるとパンとスイッチが入って、集中してケージに向かっていたのが、あの試合とハニ・ヤヒーラ戦にはそれがなくて……。ギラッとしたモノを失ってしまっていました」
──う~ん、重症でないですか。ファイターとして。
「でも、もう原因は明確になっていますし、今は大丈夫です」
──負傷の代役でしか試合は組まれないという状況で、常にスタンバイをしておかないといけない。それは関係していましたか。
「まぁ、なくはなかったです(苦笑)。そこも踏まえて、練習のこと、練習環境のことを考えていると、色々と追い込まれていたのは事実です」
──それなのに恒にスタンバイ状態で練習し続けた?
「まぁ、練習は続けていました。ホント、夜も寝られないというか……疲労が重なり、集中力が落ちていたのは事実です。いや、もう情けなかったです。その状況なら抜け出せなくて……」
──常に全力で、思うところに向かって突っ走って来ても躓くことはあるかと思います。
「ストレスをなくして、しっかりと睡眠時間を取れるように瞑想とかもやってみたんですが、ダメでした(苦笑)。生き残るためにどんな体調でも、オファーにはノーなんていえないし……。だからこそ、しっかりと作らないといけないって焦りが焦りを生んでしまって。
でも、あの時があったから今、また自分をしっかりと見つめ直すことができるようになりました」
──なるほど。UFCをリリースされた時に帰国しようという気持ちにはならなかったですか。
「それは全くなかったです。強くなるには米国で練習する必要がある。なので米国で練習して、またUFCで戦えるようになる。そこは一切、迷いはなかった。自分が良い状態で試合に臨めなかったことに、悔いばかりが残っていますし。
全て自分の責任ですが、もっとちゃんとした状態で戦いたかった。技術的にも伸びていたし、力はついている。その感触があった。でも、試合でソレを出すことができなかった。UFCでもう一度、万全の状態で戦う。そのために米国で強くなるだけです」
──UFCに戻る、それ以外の選択はなかったですか?
「ないです。僕が格闘技を続けている理由は、そこだけですから。その気持ちがなくなったら、格闘技を辞めます」
──RIZINではバンタム級GPが開かれます。そこで日本の各団体のチャンピオンに勝ち、堀口選手に勝つ。一番のUFCへ戻る近道かと思うのですが。
「いや、だってPXCを選んだ時もケージでヒジ有りの経験が積みたかったからです。だから、あの時にもう日本じゃない選択をしました。なので、今さらリングであのルールで戦うのは……、僕にとってはそれはMMAじゃないんです」
「LFAからUFC再契約を目指す」
──ではもう一度UFCと契約するためには、どのようなプロセスを考えていますか。
「一番良いのはBellatorで世界バンタム級王者になることです。ただし、ベラトールとは契約することすら難しい。マイケルとも話し合ったのですが、LFAと契約してLFAでバンタム級のベルトを巻いて再契約を目指すということで、ターゲットを定めました」
──RFA時代に今はLFAの代表になっているエド・ソアレス代表が、日本から選手を招聘することはできないけど、米国在住の日本人選手に出てもらうことは大歓迎だと言っていました。
「そこも踏まえて、ビザの取得なんです。前のワーキングビザはズッファが取ったビザなので、他のプロモーションでは試合ができない可能性があるので」
──なかなか、難しいことが次から次へと続きますね。
「ホントに色んなことがあります。ここ数年で、本当に色々な経験をしていますた。もう、そろそろ落ち着きたいですね(笑)。
でも、ハワイに行ってマックス・ホロウェイと練習したんですけど、話をすると彼も凄まじい人生を送っているんですよね。それでも屈しなかったから、今の彼がある。だから、僕もこんなところでへこたれない。ここを乗り越えることができれば、それだけ強くなれると信じています」
<この項、続く>