【ADWP2017】ワールドプロ柔術、激熱=レジェンド対決。ソネッカ×メガトン&ソッカ×バレット!!
4月18日(現地時間・火)から22日(同・土)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・スポーツシティ内のIPICアリーナ行われたアブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術チャンピオンシップ2017。
今大会ではブラジリアン柔術界におけるレジェンド達による戦いも多く組まれた。レビュー5回目は、レジェンドマッチの軽量級2試合の模様をお送りしたい。
<65キロ以下級王座決定戦/6分1R>
エリオ・ソネッカ・モレイラ(ブラジル)
Def. by 2-0
ウェリントン・メガトン・ディアス(米国)
96年に行われた、記念すべき第一回ムンジアルのライトフェザー(当時はプルーマ)級決勝の再現。立ち技を得意とするメガトンが低く構えて前に出ると、ソネッカはすぐに引き込み。この動きでメガトンにアドバンテージが与えられた。ソネッカが左ヒザでニーシールドを作ると、メガトンはそれを押しのけて自らの額をソネッカのアゴに押し付けてプレッシャーをかける。対するソネッカは素早く左でオモプラッタの仕掛け。するとメガトンもすぐに反応して腕を抜く。
さらに熾烈なグリップの攻防を繰り広げる2人。ソネッカはメガトンの左手首を右で握ってコントロールしようとするが、メガトンはそれをヒザで潰しにかかる。メガトンがソネッカの上半身を抑えて胸を合わせようとするたびに、すぐに動いて左ヒザを入れて戻してゆくソネッカ。まるで2人の心の中では21年前の世界大会決勝の続きが展開されているかのような、ガチンコの攻防が続く。
メガトンはやがてソネッカの左ヒザに外側から自らの右ヒザを入れ、上半身で体重をかけて潰しに行く。しかしソネッカはメガトンの左手首を右手で上に引いて、その重心を前に崩しておいてから、跳ね起きるように左足を抱えて後ろに倒す見事なスイープで2点を先制する。
残り1分半でハーフの上となったソネッカは、メガトンの両足を横に畳んで潰しにかかる。ソネッカに低く体重をかけられて動きを封じられ、焦りの表情を見せるメガトンがクローズドガードに持ち込む。一旦上体の力を抜いて仕切り直しをしたメガトンに──マットサイドからは娘のマッケンジー・ダーンの「オモプラッタよ!」という声が響く。
メガトンはガードを開くと素早くスパイダーで揺さぶってから三角絞めの仕掛けを見せるが、ソネッカは低く守る。残り30秒、亀のように頭を下げたソネッカに対して、メガトンは最後のスイープ狙いを仕掛けるも、ソネッカは重心を下げて防御。残り数秒でメガトンは諦めて上半身の力を抜いてしまい、ソネッカの勝利が決定した。
6分間という試合タイムもあるだろうが、レジェンドマッチという言葉の響きからは程遠いほど、ノンストップで激しく競い合った両者。終盤ソネッカの守りに苛立ったメガトンの表情や、最後に逆転は無理と悟った時の仕草からは、年齢を重ねてなお負けず嫌いで勝利を希求する、生涯競技者ならではのリアルな感情が伝わってきた。
<73キロ以下級タイトルマッチ/6分1R>
アレッシャンドリ・ソッカ・フレイタス(米国)
Def. by 2-0
バレット・ヨシダ(米国)
開始と同時に前に出てきたバレットに対して、ステップバックして距離をとったソッカは、タイミングを見て引き込み。と、次の瞬間シッティングからバレットの足首を持って体を引きつけるや、立ち上がって後ろに倒してアッという間に2点を先制する。バレットも倒された勢いでバタブライで跳ね上げてのスイープを狙うが、ソッカは重心を落として耐える。
ならばとバレットは下からソッカの帯を背中越しに取ると、それを用いてシットアップ。ソッカの頭を下げさせ、シッティングのままがぶる体勢に入る。これはバレットが近年磨き上げてきたクルスフィックスからのチョーク(=門脇チョーク)のセットアップだ。果敢にソッカの腕を足で絡めようと試みるバレットと、腕を締めてそれを許さないソッカの攻防が続いた。
やがてレフェリーから警告を受けたバレットは、強引に横に付いてソッカの片腕を腕でロックして、仰向けにさせようとする。しかし、腕を足で捕獲しきれていないため、ソッカはすかさず反転して上に!!
ここからソッカは噛み付きの体勢を作って激しくパスを狙い、アドバンテージを獲得。足を効かせて守ったバレットは、ラッソーからの仕掛けやアームドラッグを狙うが、ソッカは重心を低くして凌ぐ。結局、低くプレッシャーをかけ続けたソッカが時間切れまでリードを守りきり、王座防衛に成功した。
今も第一線で戦い続けるバレットが、近年磨いてきた必殺パターンをしっかり防いでのソッカの勝利。現役を続けるバレットと、現役を退いてなお世界レベルの実力を保っていることを証明したソッカ、見る者全てに勇気を与えるとしかいいようがない戦いだった。