【UFC212】ベウフォート×マーコート決定の裏で、アンデウソン・シウバが「やめる、疲れた」連呼
【写真】『やめる、疲れた』が、もっと分かってくれという風にも聞き取れるアンデウソンだった (C)MMAPLANET
1日(月・現地時間)、UFCより6月3日(土・同)にブラジル・リオデジャネイロのジュネス・アリーナで開催されるUFC212「Aldo vs Holloway」でヴィトー・ベウフォート×ネイト・マーコートの一戦が組まれることが発表された。
3月にケルヴィン・ガステラムにTKO負けを喫したレジェンドの復帰戦は、同じベテランの域に達している元Strikefore世界ウェルター級王者マーコートに決まった。そのガステラムと同大会で対戦予定だったアンデウソン・シウバは、ガステラムの出場停止に従い、UFCが対戦相手を物色中のはずだったが、事態は思わぬ方向に転がっているようだ。
MMAトップジャーナリストのアリエル・ヘルワニがホストと務めるTHE MMA HOURで電話取材を受けたアンデウソンが、同大会への出場を巡り、UFCとの交渉がこじれたことで、ついには引退を口にした。
アンデウソンが同番組で以下のように怒りをぶつけた(要約)。
「すっとリオにいて試合に備えてきた。でも、僕のリオでの試合は『あるから、あるから』と言われ続けてきたのにまだ何も事態が動かない。ヨエル・ロメロと戦うのだって構わない。でも、彼が相手なら暫定のベルトを掛けてほしい。UFCと契約を更新した時、ダナ・ホワイトとロレンツォは『GSPが復帰した時は、スーパーファイトで戦う』と言っていたのにそれも実現しなかった。GSPは戻ってきて、すぐにベルトを賭けて戦うことになった。
おかし過ぎる。僕はこのファッキンなビジネスを理解している。このスポーツをずっと戦い、UFCにも尽くしてきた。ダナは色んなことを喋っているけど、僕にとってブラジルのファイトはとても重要なんだ。
ロメロと戦うよ。暫定王座を争うなら。これはビジネスだからね。ビジネスにはちゃんとしたストーリー──彼とベルトを賭けて戦うということが必要だ。彼はベスト・ファイターだ。そして、ダナ・ホワイトは『UFCにはベストファイトがある』と言っているじゃないか。なぜ、その試合がブラジルで実現しない? 僕にはわからないよ。
とにかく残念だ。マネージャーと話した時、『UFCは君のファイトをブラジルで組まないと言っている』と聞かされた。なんてことだよ。僕はファイトを失い、マネーを失う。全てを失う。僕はずっとUFCには落胆してきた。
申し訳ないけど、練習してファイトがない。母国のファンの前で戦えない。こんな状況に疲れた。マネージャーと話すのも疲れた。
ヨエル・ロメロ戦も実現しない。彼らも暫定王座を賭けて僕と戦うつもりだった。ダナの言っていることは全て意味がない。真実はファンがこの暫定王座が掛かった、この試合が見たいということ。だから意味がある。でも色んな理由をつけて、実現しない。なんでもUFCの要求を呑むことには疲れた。もう疲れ切ってしまったんだ。
UFCは僕を尊敬していない。ファンの気持ちを蔑ろにして、僕は金を失った。僕の人生にとって、リオでの試合が一番大切なんだ。リオのファンの前で戦うことが。でも、彼の言うような意味のない相手と試合をする必要はない。
ダナ・ホワイトが僕にした約束は実現しない。GSPとのスーパーファイトも実現しなかった。ベルトなんて気にしていない。でも、ずっと戦っていなかったGSPがタイトルを賭けて戦う……What the fuXck is going on? もうダナ・ホワイトとUFCに対して、OKと返答することに疲れ果てた。
ジャカレの身に何が起こった? 彼はベルトを賭けて戦う機会がなく、負けてしまった。もうタイトルの話なんてできない。僕はずっとチャンピオンだった。ダナの言うことは信じられないよ。
今日、マナージャーや友人と話した。ブラジルでの試合がない。もう終わりだ。ダナの話は信じない。僕はUFCとはチームのつもりだった。ナイキと契約していたけど、ダナとロレンツォがやってきて助けてほしい、自分たちも君を助けると言ってきたから、僕はリーボックのカラーを纏うようになった。
僕はもう疲れた。ブラジルで試合ができないのは2度目だ。ロンドンでも戦ったのに、リオで戦えない。彼らは僕のレガシーをリスペクトしていない。もう終わりだ。UFCが変わったかどうかは分からない。でも、僕は全力で戦ってきた。
GSPがいきなりタイトルに挑戦することは、ミドル級の全ての選手をバカにしている。ダナ・ホワイトの話には本当にガッカリさせられた。暫定王座を賭けて戦えない。僕はもう辞める。僕はアンデウソン・シウバというカンパニーを代表して戦っている。前の試合でも勝った。でも、次に意味のない試合……ルーク・ロックホールドのように前回の試合で負けている相手と戦う必要があるだろうか。
もう試合はしない。終わりだ。UFCと話すのに疲れた。少しでも良い状況になってくれることを望んでいるけど、この試合が実現しないなら僕はやめる。本当にUFCにはガッカリした。彼らと話すのは疲れた」
慣れない英語を駆使し、かなり感情的に話していたアンデウソン。ただ、残念だ──を連呼、終わりとは言い続けるが、核心を語るのではなく不満をぶちまけた様子だった。
ニュアンス的には、辞めると言って──辞めないでほしいというUFCの反応を待っているようにも感じられるアンデウソンだが、今のUFCにはトップファイターがここまで感情的になり、それを公の場で口にするような歪が生じていることは間違いないだろう。