【ADWP2017】ワールドプロ柔術56キロ以下級はホドネイ・バルボーザ、62キロ級はムスメシが貫禄のV
18日(現地時間・火)から22日(同・土)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・スポーツシティ内のIPICアリーナにて、アブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術チャンピオンシップ2017が開催された。
高額の賞金を狙って各階級にて世界のトップクラスが競い合うこの大会。今年からはトーナメント・システムが変更されて、同階級に出場できる同国人は2人まで、しかもその2人は勝ち上がっても準決勝でぶつかる組み合わせとされた(決勝トーナメント参加人数が少ない場合は、総当たりのリーグ戦となる)。これにより、これまでブラジル人同士の組み合わせが圧倒的に多かった決勝戦においては、必ず二つの異なる国の代表同士の戦いが実現することとなった。
さらにこのスポーツで輝かしい活躍を残しているレジェンド達による試合も数多く組まれたこの豪華イベント。まずは男子黒帯軽量2階級の模様をレビューしたい。
【56キロ以下級】
今年から新設された最軽量級。出場人数が少ないために、日本代表の戸所誠哲、ブラジル1位代表のホドネイ・バルボーザ、大会中に行われたブラジル予選を勝ち抜いたウェリントン・リマの3人によるリーグ戦となった。
前日にリマに2-0で敗れた戸所だが、そのリマをアキレス腱固めで破ったブラジル1位代表のホドネイ・バルボーザと、リーグ戦最終戦の国際戦を最終日に行うこととなった。
<56キロ以下級決勝リーグ/6分1R>
ホドネイ・バルボーザ(ブラジル)
Def. by 送り襟絞め
戸所誠哲(日本)
他の階級の決勝戦と同様、照明が落ちスモークが焚かれるなか音楽付きで入場してきた両者。最終日専用の大きなマットで注目が集まる中での試合となった。バルボーザは試合開始早々タックルからすぐに引き込んでクローズドガードを取る。戸所は右手でバルボーザの左手首を掴むが、バルボーザは右手を使ってそのグリップを引き剥がす。
次の瞬間、バルボーザは戸所の右手を対角線に流しながらのアームドラッグ。同時に腰をずらして横に着いたバルボーザは、左手で戸所のギの背中をキャッチ。やがてさらに角度をつけて戸所の左の脇の下に手を届かせたバルボーザは、さらに戸所のラペルを掴みながらバックに登る。そのまま四の字フックを決めたバルボーザは、送り襟絞めに入ってタップを奪って見せた。
自分から仕掛けて試合を作り、戸所に反撃の隙を与えずに極めきったバルボーザの完勝だった。
【62キロ以下級】
出場人数が多くないため、やはり決勝はリーグ戦となったこの階級。米国代表の優勝候補マイキー・ムスメシは、ブラジル予選を勝ち抜いた新鋭クレベル・ソウザに2-0で勝利。微妙なレフェリー判定で敗れたパン大会の雪辱を果たしてみせた。さらにムスメシは、前回優勝の強豪、イアゴ・ジョルジ・シウバと対戦した。
<62キロ以下級決勝リーグ/6分1R>
マイキー・ムスメシ(米国)
Def. by 4-0
イアゴ・ジョルジ・シウバ(ブラジル)
ダブルガードの攻防からのブレイクが繰り返されたこの試合。ムスメシがアキレス腱固めを仕掛けてアドバンテージを稼げば、イアゴもズボンを掴んでのテイクダウン狙いでムスメシを場外まで追い詰めて取り返す。
やがて50/50の体勢から立ち上がったイアゴがアドバンテージを1つリードするが、ムスメシは逆に上になって2-0でポイントリードする。その後ムスメシはブレイクを勝ち取ることに成功。これでポイントゲーム上優位に立ったムスメシは、試合がスタンドに戻るとすかさず引き込む。シウバも同じように引き込んでまたしてもダブルガードになるが、劣性のイアゴは仕方なく上を選択。アドバンテージこそたまるものの、ポイントでは負けたままだ。
ムスメシは下からまたしてもアキレス腱固めを狙う。やがて両者はもつれて、互いに腹と腹を合わせながら胴絞めを仕掛け合うような体勢に。ここで上になってヒザ立ちを取ったのはムスメシの方。別に有利というわけでもないが形としてスイープ成立ということでムスメシに2点が追加される。
残り時間がわずかとなったところで、この両者胴絞めを解除して上になったムスメシが、畳み掛けるようにパス狙いを仕掛けたところで試合終了。最後のほんの数秒のみ、昔ながらの柔術らしい攻防が見られたこの試合は、ポイントゲームの達人ムスメシが、そのスキルをまざまざと見せつけて優勝。世界初制覇に向けて弾みをつけることとなった。
ちなみにシウバはリーグ戦の他の試合において、前述のクレベル・ソウザには勝ったものの、メキシコの新鋭アレクシス・アルドゥンシンに敗北。今大会はソウザに次いで3位となった。
■リザルト
【56キロ以下級】
優勝 ホドネイ・バルボーザ(ブラジル)
準優勝 ウェリントン・リマ(ブラジル)
3位 戸所誠哲(日本)
【62キロ以下級】
優勝 マイキー・ムスメシ(米国)
準優勝 クレベル・ソウザ(ブラジル)
3位 イアゴ・ジョルジ・シウバ(ブラジル)