【TUF24】レビュー10 扇久保がアントリンの左ミドルを完封、完全コントロールで準決勝へ
3日(土・現地時間)、ネバダ州ラスベガスのパームス・カジノリゾート内ザ・パールで開催されるTUFシーズン24「Tournament of Champions」。世界各国のプロモーションから集まった16名のフライ級王者が生き残り合戦を戦い、優勝者が今大会でUFC世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソンへ挑む。
TUF24レビュー、第10回はエピソード09で組まれたトーナメント準々決勝=扇久保博正×アダム・アントリンの模様をお伝えしたい。初戦でダマッシオ・ペイジを破った左ミドルを扇久保がどのように封じ込むか。あるいは、その餌食となってしまうのか。
「家族に会いたいけど、家族のためにここに来ている」という扇久保。英語が聞き取れないエピソードのなかにもチームメイトとコミュニケーションを取ろうとする姿勢は、相当好感をもたれているはずだ。ベナビデスは「言葉の壁はあっても、スマートだしファイトに関しては会話ができる」と扇久保について語る。そして、アントリンの打撃に対してテイクダウンを取ってグラウンドで試合を支配できると試合展開を予想していた。
扇久保自身は「打撃でも強いところを見せて、テイクダウンする」と宣言した。
<TUF24フライ級T準々決勝/5分2R>
扇久保博正(日本)
Def.3-0
アダム・アントリン(米国)
予想に反し、オーソで構えてきたアントリンに対し、扇久保は左ミドルハイを見せ右アッパーから左ハイ、続くローをキャッチされたがすぐに腰をコントロールしてテイクダウンに成功する。左腕を差し腰をずらして起き上がろうとするアントリンを枕で潰した扇久保はハーフでしっかりと抑えて左のパンチ、右ヒジを顔面に押し付ける。
アントリンンを立ち上がらせない扇久保は残り2分でパスに成功する。さらに足を戻してきたところでマウントを奪取。パンチを2発落とした扇久保に対し、アントリンは腰を押して足を戻す。扇久保はワキ差しパスから2度目のマウント奪取、後方からパンチを入れる。殴られながら腰を押してハーフに戻したアントリンだが、扇久保は3度目のマウント奪取から、バックマウントへ。パンチを連打してRNC。乗り過ぎた扇久保は腕十字に移行するが、ここでアントリンがトップに。扇久保はヒジやパンチを受けたが、シングルで立ち上がり初回を取った。
最後以外は、狙い通りの戦いをした扇久保に対し、アントリンがサウスポーに構える。こなると逆に扇久保の前蹴りが有効になり、右ミドルから組んでテイクダウンに成功する。アントリンはバタフライガードが立ち上がると、扇久保は離れて右ミドルハイ。アントリンも左ミドルを当てるようになり、左に構えた扇久保はベナビデスの指示通り、続くアントリンの蹴りに組みついてバックを取る。
胸を合わせてきたアントリンに右フックを入れ、瞬時にダブルレッグでテイクダウンした扇久保が試合を完全にコントロールする。ようやく離れたアントリンは疲れが目立っているが、残り2分を切った時点で逆にテイクダウンに成功する。扇久保はスクランブルゲームでも遅れを取らず、両足を引き寄せてアントリンの背中をマットに着かせようとする。
立ち上がったアントリンのバックを取った扇久保は、胸を合わされてもしっかりとダブルに成功。アントリンも最後まで諦めず、組みついていったが扇久保がアームロックで切り返したところでタイムアップに。
問題なく扇久保が判定勝ちを収め、準決勝進出を決めた。「自分の中ではすぐにフィニッシュしようと思ったのですが、アダムが気持ち強くてディフェンスも良くて……。2Rは疲れてしまいましたが、勝てて良かったです」とヒロは試合を振り返った。