【HEAT38】HEATバンタム級王座奪取、赤尾セイジ 「また先を目指して良いんや」
【写真】DEEPのMMAのベルトはシルバー。赤尾への祝福の声は次の試合中も会場内に鳴り響くほど大きかった(C)MMAPLANET
25日(日)、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開催されたHEAT38で祖根寿麻を破り、HEAT総合ルール・バンタム級チャンピオンとなった赤尾セイジ。
旧友との――長らく生活した名古屋の地での戦いを制した赤尾のベルトを巻けた気持ち、そして今後について尋ねた。
――ベルト奪取おめでとうございます。
「ありがとうございます。ホッとしています。今回は自分のことだけを考えて、仕事を減らして練習中心にやってきました。これで負けたらこの先やっていく意味があるのかと賭けてきた部分があったので勝ててホッとしていきます」
――凄い応援団の声援でした。
「ハイ。大阪からも来てくれましたし、ほんと名古屋の方がたくさん来てくれて。ここまで僕のことを想ってくれている人がいる。そんな皆の気持ちに応えることができて嬉しいです」
――DEEPからHEATに出てきた。ホントに負けられない戦いでした。
「ハイ。3月に柴田(モンキー有哉)選手に負けた。そして環境を変えた。自分のことに専念している。この状況で負けたら、ホンマにこの先はなかったと思うので。ここで生き残ることができて、また先を目指して良いんやなって」
――赤尾選手のポテンシャルの高さは誰もが認めるところでした。ただし、戦績的には不安定でもありました。
「ハイ(苦笑)。だから環境を変えたというのはあります。もちろん、周囲のせいにするつもりもなかったし……したこともないです。でも、より逃げ道がなくなったのが今回の試合でした。もし、ここで不出来な試合、内容的にも納得できない戦いをしてしまったら、続ける意味はない――と思っていました」
――試合は手が合う、手が合わないというのはあると思います。しかし、今日のスクランブルとケージレスリングの強さは赤尾選手の持ち味が十分に発揮された試合でした。
「パラエストラ東大阪では、徹底して壁レスとスクランブルの練習をしてきました。練習しているメンバーも中村優作選手、山下君(※獅庵)、竹中(大地)選手とか大阪のトップどころが集まって練習しているので。あの部分は特に徹底していたし自信をもって試合に臨みました。
東大阪の練習会、パラエストラ大阪にはフルサイズのケージがある。そこに皆が集まってくれる環境なので出稽古の必要がないんですよね。十分にMMAのスパーリングをやってきました。この練習環境がある――という部分でも逃げ道はなかったです」
――結果、これが赤尾セイジだという試合でした。
「ほんと、自分でも歯がゆかったです。選手なら皆思っていることでしょうけど、『俺、もっと強いのに』っていう思いはあって。言い方は悪いんですけど、普通にやればできると思っていたので、今日の試合内容に関して『やっと出せた』という気持ちです」
――HEATバンタム級チャンピオンになりました。今後については、どこを目指していますか。
「まずHEATのベルトを防衛していくことがあります。同時に最初に目指していたDEEPのベルトも目指したいです。また、お話をいただければDEEPにも出たいと思っています」
――フライ級で戦うことは?
「もうバンタム級でいきます。フライ級は2度と戦いたくないです(苦笑)」
――ベルトを取った直後のマイクで春日井健士選手へのエールがありました。
「昔のことを思い出してしまって。よく一緒に練習していたので。あいつはホンマに弱かったんです(笑)。でも、努力し続けて、ここまで来た。アイツと同じ日にベルトが巻けて嬉しかったです。なんか、一緒に山とか走っていたのとか思い出してしまって。感慨深いものがありました。
今回、僕も対戦相手が祖根君だったことはホントに複雑でした。でも、僕らが生きている世界はそういう潰し合いの世界なんで」
――そうして巻いたベルトですが、春日井選手は常にUFCと口にしています。
「本気でやっている選手はみな、そうやと思います。でも、僕も現実が見えていないわけではないので、ここでUFCのチャンピオンに目指すなんて……僕がいうのは……。でも、このベルトを取ったことでONEとかROAD FCなりチャンスができれば出てみたいと思っています」