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【Special】月刊、青木真也のこの一番:1月─その参─祖根寿麻✖石原夜叉坊「堕落に任せている」

【写真】勢いでなく、覚悟を決めて戦った祖根 (C)MMAPLANET

過去1カ月に行われたMMAの試合から青木真也が気になった試合をピックアップして語る当企画。

2021年1月の一番、第三弾は31日に行われたShooto2021#01から祖根寿麻✖石原夜叉坊戦について語らおう。


────青木真也が選ぶ2021年1月の一番、3試合目をお願いします。

「祖根✖夜叉坊です。あの試合、正直どう見ていましたか?」

──試合前に、どちらが勝つと思っていたということですか。

「ハイ」

──それは正直、夜叉坊です。と同時、個人的には祖根選手に何か見せてほしいと思っていました。意地のようなモノを。

「夜叉坊ですよね。僕もそう思っていました。やっぱ、そうですよね。なんか、そう考えると2年間試合をしていないというのは大きいですね」

──そこでいえるのは2年間試合をしていないという部分とともに、2年間の過ごし方はどうだったのかということかと。

「そうっスね。試合勘と別に、日々の練習でどれだけ創ってきたのか。そこの部分は関係してくるでしょうね。夜叉坊は打撃の選手なので、打撃の切り返しとかそういうことはしていたと思うんです。でも組んだり、鎬を削る練習をどこまで日常に採り入れてきたのかとは感じました」

──結果論で突っ込むのは反則かもしれないですが、最後の局面にテイクダウンへ行った。夜叉坊という選手は本当に気持ちがストレートに表れる。だから、負ける時はやってはいけないことがそのまま出ることが多いです。今回も最後に祖根選手の跳びヒザに対して、テイクダウンへ行った。いやポイントメイクでなく、倒す意志が必要な場面でしょうと。

「その前にもテイクダウンを狙って、がぶられて押し込まれる途中で崩れてバックに取られました。

テイクダウンに行った時のギロチンの取られ方も……良くなかった。ああいう組みの脆さを見ると、日々が出るのかなとは感じましたね」

──と同時に祖根選手が昨年4月に後藤丈治選手と戦った時と比較すると、コンディションが体も気持ちも違っているように感じました。

「祖根選手は去年の4月は動けていなかったけど、今回は気合が入っていました。要は不利なマッチアップで、皆が夜叉坊の勝利を願っている──祖根陣営以外は。

そういう試合で1Rが終わってから、祖根選手がガードを固めてゆっくり、ゆっくりと距離を詰めていきました。バッと行くんじゃなくて。あの試合をするってことは、頑張っている証拠です。

アレはなかなかできることじゃないし、今回の祖根選手は格闘家が評価する格闘家のソレだったと思います」

──最高の誉め言葉ですね。

「ほんと竹中大地選手とか、祖根さんとはタイプは違いますけど、アベレージが高くて格闘家が評価する格闘家だと思うんです。そういうのが、祖根選手にありました」

──対して夜叉坊は……個人的に夜叉坊と安藤達也選手は才能の塊だと思うんです。

「……あのう、それ……その2人で括るの止めてくださいよ(笑)。それ言っちゃいけない2人ですよ。肉体的にも精神的にもピークにいられる年齢です。でも肉体的に落ちていたり、気持ちで対戦相手に負けるって」

──練習していない、という結論を用いてしまいそうです。

「いや、でも練習しないほうが本来は体は消耗しないんですよ。ケガもしないし。だから、なんでなんだろうって。堕落に任せているのかなって。

でも、それでも通用しちゃうところがあるので。それが問題なんですよね。ヤバイと思います。この間の修斗は、色々とレベル的には感じ入るモノはありました。西川大和選手が絶賛されていたけど、それはヤバイですよ。18歳、北海道っていうバイアスをかけていると」

──ケージにそのようなバックグラウンドは関係ないですしね。我々、メディアはそこで盛り上げていきますけど。

「それはそこで、分かってやっていることだし。だからこそ団体やジム関係者はしっかりと見極めないといけない。そういう点においても、今回は祖根選手が頑張って、堕落せずに逆風のなかで戦って結果を残した。気持ちというモノは難しいですけど……そこをどう評価するのかは。ただし祖根選手は確かに気合が入っていました」

──気持ちは一定でないから難しいですね……確かに。次の祖根選手が、青木選手のいう格闘家が評価する格闘家でいられるのか……。

「今回はSNSでの賑やかしもなかったですよね。そこまで入っていたし、これが正念場だったのでしょうね。だからこそ、次にチャンスが回ってくると同じことができるとは思わない。と同時に祖根選手は世界一になるとか、そういうことでやっているわけではなくて、気持ちの良い格闘技を見せてくれていますよね」

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