【AJJC2016】フェザー級出場、チャールズ・ガスパー<02>「団体戦はIMPACTO JAPAN B.J.Jに注目して」
【写真】ガスパーの上位進出がINPACTOの上位進出に直結する(C)MMAPLANET
10&11日(土・日)に東京都足立区の東京武道館で国際ブラジリアン柔術連盟=IBJJF主催のアジア柔術選手権2016(Asian Jiu-Jitsu Championship 2016)が開催される。
フェザー級にエントリーしているチャールズ・ガスパーはブラジルで柔術を学び始め、日本で続けたタイプの柔術家だ。ブラジルの柔術を知るだけに日本の弱点と、日本の柔術の良さを知る彼は妻・松子さんの内助の功、IMPACTO JAPAN B.J.Jの熱い絆を胸にガスパーは個人戦だけでなく、団体戦の成功を期してアジアに挑む。
<チャールズ・ガスパー インタビューPart.01はコチラから>
――アジア選手権が目前に迫っています。ガスパー選手がエントリーしているフェザー級で、最も注意しているのは誰でしょう。
「やっぱりイザッキ・パイヴァだね。彼が一番強いと思う。それとアマゾン(杉江大輔)さんかな。フェザー級は強い選手ばかりだ」
――そんなメンバーがエントリーしているフェザー級で、勝ち上がらなければいけません。
「うん。上位に入りたいし、1位になれたら嬉しいよ」
――ガスパー選手の目標は、ムンジアルで優勝することですか。
「……アジア選手権もそうだけど、パンやヨーロッパ、ムンジアルなど国際大会で優勝するのは本当に難しいことだと思う。でもムンジアルで、アダルトで表彰台に上がることが目標だね」
――アジア選手権のフェザー級で最も注意しているという、イザッキ・パイヴァの強さはどんな点だと思いますか。
「技術的な部分はもちろん、やっぱりブラジルで練習していることは強みじゃないかな。ブラジル国内はレベルが高いからね」
――ガスパー選手も日本に来てから、ブラジルに戻って柔術の練習を行いたいと思ったことはないのでしょうか。
「そう思ったことはあるよ。ブラジルでキャンプに参加し、また日本に帰ってこられるなら、ぜひ行きたい。でも日本とブラジルを往復するには、お金がたくさん必要だから難しいね」
――そのままブラジルにまた住むということは?
「今は日本に住んでいて、こちらに家族もいるからね……。それに日本はとても良いところだから。ブラジルで生まれ育った場所は、貧しい地域だった。そこから日本に来て良かったと思っているよ。日本に住み、家族がいて、柔術の練習もできている。僕にとってはもう一番の国になっているんだ」
今回のインタビューでポルトガル語の通訳を務めてくれたのは、妻の宮里松子さん。南米ペルーで生まれ、生後5カ月で両親とともに日本へ移り住んでいる。
ペルーの公用語はスペイン語だ。松子さんも両親とはスペイン語で、日本の学校では日本語を使っており、当然のことながら、ガスパーが使うポルトガル語は、もともと喋ることはできななかったという。
「チャールズとは日本で知り合い、結婚してもう3年になります。出会った頃は、私もポルトガル語は全く話せませんでした。彼は仕事で使う日本語ぐらいしか分からなかったし、最初は話すのにも苦労しました。私が携帯電話でポルトガル語を調べたりして……。スペイン語とポルトガル語は似ているとよく言われるけど、やっぱり違う言語なので、最初はまったく分からなかったですね(苦笑)。そこでポルトガル語はチャールズと話しながら学びました」
松子さんはチャールズを通じて、ポルトガル語だけでなく柔術のことも知った。
「彼と知り合うまで、柔術のことはまったく知りませんでした。でも当時は私も太っていて、体を動かさないといけないと思っていたんです。そこで柔術を始めたら、ハマってしまいましたね(笑)」
――今はガスパー選手にとって仕事も、家族も、柔術も日本にあります。この10年間、日本での生活を通じて得られたものは何でしょうか。
「日本の価値観かな。さっきも言ったけど、僕が生まれ育った場所では、柔術の道場もそれほど金銭的に豊かじゃないんだ。でも日本では道場も、使っているキモノもすごく綺麗だし、何より日本の人たちは、お互いに尊敬し合って練習や試合に取り組んでいると思う」
――ブラジルは異なるのですか。
「すべての道場がそうだとは言わないよ。でもブラジルでは、練習が終わって道場を出るとすぐに遊びに行ったり、お酒を飲んだり、悪い方向へ走ってしまうような環境もあるんだ」
――……。
「もしブラジルへ練習に行くとしたら、僕も日本で学んだ価値観をブラジルの柔術家に教えてあげたい。日本で汗をかきながら働き、柔術の練習をしている僕がね」
――分かりました。もうひとつ、現在ガスパー選手が所属しているIMPACTO BJJについて、印象に残っているシーンがあります。それはアジア選手権で、初日に戦っている黒帯や茶帯の選手より、2日目の色帯やマスターに出場している選手への応援のほうが大きいことです。
「それは僕たちの住んでいる場所が、東京から遠いことも影響していると思うんだ」
――ガスパー選手が住んでいる豊田市や道場がある安城市から、東京へは車で片道4、5時間かかります。
「そう。すごく時間がかかる。アジア選手権でも初日に東京へ来ているのは、黒帯をはじめ試合に出る人たちが多い。2日目になると、応援に来てくれる人も増えるんだ」
――だから初日と比較して2日目に、あれだけ大きな歓声と応援が、試合をしているチームメイトに送られるのですね。
「チームのみんなは仕事もあるし、家族のこともお金のこともあるから、なかなか東京で試合に出る機会は少なくなってしまう。そうした会員さんのなかには、アジア選手権だけに出ている人もいるんだよ。大きな大会だからね」
――なるほど。
「アジア選手権を目標にし、大会が近付いてきたら道場にも人が増えてくる。さらに、白・青・紫、そしてマスターの部に出ている会員さんたちの勝利が、チームポイント――団体戦での優勝に大きく関わってくるんだよ」
――IMPACTO JAPAN B.J.Jはアジア選手権の団体戦において、2013年は男子2位、2014年は男子1位、2015年は女子1位と、必ず優勝戦線に絡んできます。
「アジア選手権はIMPACTO JAPAN B.J.Jにとってすごく大切な大会だと思っている。みんな同じTシャツを着たりして、一致団結して挑む。それがチームにとって大事なことなんだ。アジア選手権は僕だけじゃなく、団体戦でIMPACTO JAPAN B.J.Jのことも注目してほしいです」