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【戦極】ニック・デニスが語る、カナダMMAワールドの現状

Denis5月2日(土)に国立代々木競技場第二体育館で行われるワールドビクトリーロード主催「戦極~第八陣~」。そのフェザー級GP準々決勝で、ブラジルの強豪マルロン・サンドロと対戦するニック・デニス。初戦で川原誠をパウンドで下した彼に、まだまだ日本では知られていないカナダのMMAワールドの現状について尋ねてみた。

【写真】日本とカナダ格闘技界の新しい掛け橋となれるか。ニック・デニスは、カナダ軽量級界の期待を背負って戦極のリングに立つ (C) GONG KAKUTOGI

ゴング格闘技プレゼンツ・MMAPLANETスペシャル・インタビュー/ニック・デニス編をお楽しみください。

――戦極フェザー級GP初戦突破、おめでとうございます。デニス選手はカナダ人ファイターですが、出身はどちらになるのでしょうか。

「オンタリオ州のオタワです。トロントから4時間程北に行ったところにあります」

──確かオンタリオ州は、まだMMAの開催が認められていない地域だと思いますが、どのようにMMAと出会ってプロになるまでトレーニングを行ってきたのですか。

「子どもの頃にテコンドーと空手をやっていて、オタワ大学入学後、体を少し鍛えるためにはじめたのが柔術でした。その時に入ったのが今所属しているローニン・アカデミーです。次第に目標がファイターとして試合に出ることに変わっていき、MMAのファイターになりました。柔術を始めたのは5年ほど前で、カーウソン・グレイシー、ムリーロ・ブスタマンチ、ファビオ・ホランダを師に持つベン・モラレスに教わりました」

──同じオンタリオ州のトロントで、モニ・アイザックやジョエル・ギャルソン、カーロス・ニュートン、オマー・サルボサがいたカナディアン柔術の大会などに出場経験はありますか。


「私自身はカナディアン柔術と関係はありません。ただ、モラレスはトロントにあるサムライクラブでトレーニングをしたことがあると思います」

──現在、ギのトレーニングは?

「ギを着てトレーニングすることは重要だと思うので、私も周りの選手もトレーニングでは必ずギを着ます。もちろんギを着るのと、着ていないのとでは違ったスポーツかもしれないですが、MMAを戦うにあたってギを着てトレーニングをすると、テクニックやスキルがシャープになります。動きも良くなるし、両方のテクニックを向上できると思います」

──過去に柔術の大会にも出られたことはありますか。

「オンタリオ州ではだいたい年に4、5回は柔術のトーナメントが開かれ、ジェス・ジョスリンが開催している『ジョスリンズ』や、ノース・アメリカン・グラップリング・アソシエーション――、NAGAの大会に出たこともあります」

──今、カナダという国単位で考えると、MMAの大会はどれくらいの頻度で開催されているのでしょうか。

「キング・オブ・ザ・ケージだと3、4週間おきに1回は開催されています。もっと小さな大会がモントリオールだけでなく、エドモントンの方でも開催されているので、そういうものを含めると相当の数になると思います」

──カナダは大きな国ですが、地元から離れた場所で開催される大会に無名の選手が出場する際、プロモーターが提示する出場条件はどのようなものになりますか。

「もしプロモーター側から招聘されるということであれば、旅費程度は出るはずです。ただ、そこまで余裕のあるイベントは少なくて、出場選手は開催地の出身者というケースがまだ多いです。

私の場合は、最初の3試合が州境を越えてすぐの場所で開催された大会だったので、自分たちでドライブをしましたし、キング・オブ・ザ・ケージの場合はアコモデーションも含め、全て面倒をみてもらいました。つまり、地元や近くの都市でイベントが開催されている選手のほうが経験を積みやすく、その逆でチャンスがないまま埋もれてしまう選手も多いと思います」

──カナダではMMAの認知度はどれくらいあるのでしょうか?

「徐々に知名度は上がっています。UFCのPPVは地元のスポーツバーでも放送されますし、大都市でなくても、1000人から3000人のファンを集めることもあり、かなりの集客率ではないでしょうか」

Denis win【写真】日本では無名の存在だったが、パンクラス期待の川原を破ったことで注目度は高まった (C) GONG KAKUTOGI

──米国では、MMAはすごく野蛮なものと捉えられましたが、カナダでは多くの人が肯定的に見てくれているのでしょうか。

「もともと反対派が多かった状況から、人気が上がってきてはいますが、州によって法律や政府が違うので、認知度や人気が上がっているのと同時に、州ごとに合法にしよう、非合法にしようという論争は、まだまだ続いています。一度は合法になったブリティッシュコロンビア州も、また非合法になるそうです」

──日本のようにMMAを理解してくれる状況をどのように感じましたか。

「もちろん素晴らしいです。PRIDEを見て日本の状況は分かっているつもりだったので、驚きはなかったけど、すごく嬉しかったです」

──カナダ人がMMAファイターとして有名になる方法ではUFCが挙げられます。しかし、あなたのように軽量級で、しかも日本に来て活躍するというのは、カナダ人にとって新たな機会を作っていることだと思いますが、プレッシャーはありますか。

「そんなことは考えてもみませんでした。でも、カナダの選手たちの新しい道を開くキッカケになっていれば嬉しいと思います」

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