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【UFC202】ガーブラント戦が決まった水垣偉弥<03> 「一度、正面衝突する必要があります」

Takezo【写真】父親になったことで格闘技に対する姿勢は変わらないといっていた水垣だが、赤ちゃんの話題になるとこの笑顔に(C)MMAPLANET

8月20日(土・現地時間)にネバダ州ラスベガスのTモバイル・アリーナで開催されるUFC202「Diaz vs McGregor2」でコディー・ガーブラントと戦うことが、ほぼ決定している水垣偉弥インタビュー最終回。

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非常に評価が高いガープランド戦が決まってなお、水垣は特にUFC期待の新鋭を強く意識することはない。それだけの戦いをこなしてきた──それでいて、現実問題として負けた時、勝った時の両面をイメージしている。そんなインテリジェンス・スナイパーだが、この一戦は今後のキャリアの再構築を考えると乾坤一擲、正念場であることは十分に理解している。

──軽い……(笑)。いずれにせよ、ガーブラント戦は水垣選手にとってはキャリア再構築の一発逆転というか、ステップボードとなる試合なのですね。あくまでもトップを狙うという姿勢を持ち続け、息の長い現役生活を送るという考えはない?

「僕はあんまり格闘技を長く続けるつもりはないです。体の不調も増えてきましたし、早く勝負をしてチャンピオンになるか、もう諦めるか決着をつけたいです。そういう時期に入ったと思います。

だから嫌な相手はチャンスだと捉えています。それにアルジャメイン・ステーリングと比較すると、ずっと戦いやすいですし。あれだけ注目を集めていて、評価が高い相手を一発、倒す。僕にはもうタイトルマッチに辿り着くにはそういう方法論しか残されていないので」

──水垣選手が戦っていないトップはTJ・ディラショー、ハファエル・アスンソン辺りだけになりました。

「一通りトップ10と戦ってきて、二巡目は避けたいというのがUFCの考えのようです。一応ランカーなので、わけの分からない選手と当てることもできない。そこがなかなか試合が組まれない原因になっているみたいで。だからガーブラント戦は当たり、引きの良い試合です。

この試合は僕にとってはオイシイとしか思えない試合になります。それに結局のところ、デビュー戦から今まで怖くないと思った試合なんて一つもないんです。どの試合前でも相手が強く見えて、怖いですから。なので勝って得るモノが大きい試合はオイシイです」

──殴り合い上等ファイトになるのか、MMAとしてトータルで勝負するのか。

「殴り合いではないですが、打撃ですね。そこで負けると僕のレスリングは通用しないと思います。打撃がキーポイントになります。

グラップラーをテイクダウンして、トップコントロールで勝った試合もありますが、それは打撃でプレッシャーを与えているからこそ、あの展開に持ち込むことができたので。逆にストライカーを相手に打撃を避けてテイクダウンを狙うような展開になると、僕は通用しなくなります。

打撃でカチっといって、そこで打ち勝ってから次の局面に移ることができる。だから一度、正面衝突する必要があります。そうじゃないと、道は開かない」

──この試合で負けると最後という状況もありえますか。

「ここで負けると、僕の場合はリリースされる可能性が少なくないですから。自分のやってきたことに拘りもあるので、UFCで戦い続けたいですね。

選手には色々な選択がありますが、僕は最終目標をUFCの世界チャンピオンに置いています。他で戦うことを最終目標にはできない。それこそが僕が戦う理由なので」

──幸せになるため、チームの皆で強くなるというようなモチベーションは?

「それ、日沖(発)さんじゃないですか(笑)。僕にそういう感性を求めないでください。僕にはそういう感性はないです。負けて、リリースされた場合、またUFCで戦うために、あるいはベラトールのような北米のビッグプロモーションで戦うために一からやり直すというモチベーションがないと、国内の大会で戦うことはないと思います」

──『出る前に負ける事を考えるバカいるかよ。出ていけ、コラァ』ってビンタされますよ(笑)。

(アントニオ猪木ネタはスルーして)「いや、でも僕は常にリリースされた後のことを考えて、いつも試合に向き合っていますよ。そういうなかで、日本でまた一からという選択をする可能性は低いと思います。

もちろん、勝った後のことも考えていますよ(笑)。1年間近く、仕事をしていなかったから貯金しないとダメですし。トーマス・アルメイダをKOしたことは凄いです。でも、どれだけ凄いのかは本当のところをいうと分からない。メチャクチャ凄い場合も、戦うと意外と普通ってこともあります。とにかく未知数ですけど、特別、ガーブラントだからビビるということはないですし」

──そんな軟なMMAファイター人生は送ってこなかったと。

「でも岡見選手と並んだとは思っていないです。僕はWECが5試合あって通算戦績でも10勝7敗、岡見さんは13勝5敗ですから。しかもミドル級で、タイトル挑戦まで経験しているし」

──数字上は並びました。

「別にそこを目標にしていたわけではないですから(笑)」

──子供の頃から笑われて、その悔しさでやってきましたか?

「プロ格闘家になるって言って笑われ、UFCのチャンピオンになるって言って笑われ(笑)。まぁ、何度も言っているようにガープランド戦はタイトル挑戦を再び引き寄せる大切な試合です。だから第3者の厳しい目で精査して頂きたいです(笑)」

──お後が宜しいようで。


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