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【ADWP】アブダビ・ワールドプロ2016展望<01>もう一つの柔術界の頂点、階級を越えた戦いに注目

Satoshi vs Lepri【写真】77キロ以下級も当然のように層が厚い。サトシがブロックを突破するためには鬼パスのレプリを倒す必要がある©MMAPLANET

19日(現地時間・火)から23日(同・土)にかけて、アラブ首長国連邦アブダビのザイード・スポーツシティ内のIPICアリーナにて、アブダビ・ワールド・プロフェッショナル柔術チャンピオンシップ2016が開催されている。

アブダビ王族から出資を受け、09年より毎年開催されているこの大会。特筆すべきは各帯各階級の入賞者に賞金が出されることだ。今年は男子アダルト黒帯各階級の優勝者には8000ドル、無差別級の優勝者には30000ドルが授与される(青帯各階級の優勝者には2000ドル、紫帯には4000ドル、茶帯には6000ドル)。

それを狙って世界の強豪達が参加し、予選トーナメントを勝ち抜いた柔術家と激突する──IBJJF主催の世界柔術選手権に次ぐメジャー大会となっている。そしてIBJJF主催大会とは異なった階級分けが採用されているため、トーナメント戦ではこの地の他ではなかなか見られない組み合わせが実現するのもこの大会の特徴だ。そんなワールドプロ、まずは黒帯・軽・中量4階級の見所を紹介したい。

【62キロ以下級】
Joaoこの最軽量級の大本命はジョアオ・ミヤオ(PSLPBシセロ・コスタ)。昨年は初戦でジルソン・ヌネスに不覚をとったジョアオ。しかし先日のパン大会では大ベテランのガブリエル・モラエスを、また今月のニューヨーク・オープンではやはり大ベテランの日本人黒帯タダシ・タカシマを下して優勝し、復調をアピールしている。今回、悲願の世界柔術初制覇に向けて弾みを付けたいところだろう。

この階級には、昨年の茶帯ライトフェザー級世界王者の橋本知之(カルペディエム)も予選を勝ち上がっていたが、なんと渡航の手続きに不備が生じて欠場となってしまっている。

【69キロ級以下級】
Paulo2つのブロックに分かれたこの階級、Aブロックの本命はジョアオの兄、パウロ・ミヤオ(PSLPBシセロ・コスタ)。先日のパン大会ではミヤオ兄弟キラーとして名を馳せるオズワルド・モイジーニョとの接戦を制して優勝している。このブロックでパウロの対抗馬は、以前ブラジレイロで接戦を繰り広げたイサッキ・パイヴァ(サイキョー)か。
GrippoBブロックの方は、今年のヨーロピアン決勝でパウロを下したマーシオ・アンドレ(UAEJJ)と、昨年の本大会65キロ以下級と、パン大会フェザー級大会を制しているジャンニ・グリッポ(アリアンシ)の二人がエントリー。パウロとの決勝戦進出をかけて、昨年のヨーロピアン決勝で大接戦を繰り広げた(その時はアンドレが辛勝)モダン柔術ライバル対決が再び実現する可能性は高そうだ。

【77キロ以下級】
4ブロックに分かれたこの階級。Bブロックには、13、14年と連覇したホドリゴ・サトシ・ソウザ(ボンサイ)がエントリー。王座返り咲きを期待したいところだが、同ブロックに最大の敵がいる。圧倒的威力のニースライドパスを駆使して世界柔術を2連覇中のルーカス・レプリ(アリアンシ)だ。一昨年の世界柔術にて、レプリに何度もパスガードを許し大量得点差で敗れたサトシは、昨年のワールド・プロ大会の準決勝でレプリと対決。パスガードこそ許さなかったもののテイクダウンを取られて2連敗、大会3連覇を逃すこととなった。

この大会3度目の優勝、そして悲願の世界柔術初制覇を目指すサトシが、何としても超えなくてはならないのがレプリ。このあまりにも高い壁にいかに立ち向かうか、注目したい。

RamosそしてこのBブロックを勝ち上がった者は昨年のADCC大会で秒殺一本勝ちを量産したダヴィ・ハモス(チーム・ノゲイラ・ドゥバイ)等がいるAブロックの勝者と戦い、それに勝ってはじめて決勝進出となる。

逆側のCブロックには、先週のジャパニーズ・ナショナルズのライト級を制した日本の細川顕(カルペディエム)がエントリー。1回戦のカイオ・シウバ戦を突破すると、強烈な極めをもって先日のパン大会初優勝を果たした黒帯エドウィン・ナジミ(グレイシー・バッハ)との試合が実現しそうだ。

【85キロ以下級】
Claudio2ブロックで構成されるこの階級。Aブロックには昨年世界柔術とADCC無差別級を制し、ギとノーギの両方で世界の頂点に立ったクラウジオ・カラザンス(アトス)と、今年のヨーロピアンで圧倒的な強さを見せたベテランのホムロ・バハウ(グレイシー・バッハ)がエントリー。IBJJFではミドル級のカラザンスと、ミディアムヘビー級のバハウによる夢の対決は実現なるか。

Loそしてもう一方のBブロックに控えるのは、怪物レアンドロ・ロ(N’sブラザーフッド)。昨年の本大会と世界大会の階級別を制したロは、先日のパン大会のミディアムヘビー級決勝でもバハウからテイクダウンを取ると、必殺のスパイダーガードを抜群のボディバランスで凌ぎ切って完勝。その実力は揺るぎない。ちなみにロは、以前コパ・ポジオのノーギスーパーファイトにおいてカラザンスに完勝しており、Aブロックでバハウとカラザンスのどちらが出て来ても、ロに雪辱戦を挑む形となる。

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