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【Pancrase270】ナム・ファンに挑戦、アンディ・メイン「知識は力だ」

Andy Main【写真】MMAへの見識の高さを披露してくれたアンディ・メイン。きっと柔術だけでなく、ボクシングやムエタイでも柔術に通じる研究を続けているのだろう(C)MMAPLANET

4日(日)に東京都江東区ディファ有明で開催されるPancrase 270。メインでナム・ファンの持つKOPフェザー級のベルトに挑む、アンディ・メイン。

一昨日の調印式のあと、ナム・ファンに続き彼にインタビューした。ナム戦への想い、東海岸の現状、そして話が横道にそれたような足関節論から、メインの格闘哲学が窺え、俄然ナム・ファンとの戦いが楽しみになってきた。

──調印式が終わったばかりですが、今の心境を教えてください。

「素晴らしいね。今回の大会でタイトルを掛けて試合をすることに興奮しているよ。UFC Fight Passで初めてパンクラスの試合が流れる。そして5分5Rのタイトルファイト、そこでパンクラスの王座を賭けてナムと戦う。色々な要素が詰まった試合だ。ナムは友人だし、TUFには一緒に出演していた。そして、彼はUFCベテランだしね」

──今、言われたようにナムとアンディはTUFシーズン12に出演していた仲です。あのシリーズ、ナムといえばシャワールームにこもりマスターベーションをしているのではないかという話題がありました(笑)。もちろん、彼は否定していましたが。

「あったねぇ(笑)。コトの真相?  分からないよ。何人かがナムに『いったい、一人で籠って何をやっているんだ』って詰め寄っていたけどね。ホント、実際のことは分からない。でも、ナムだって男だ。マスターベーションをしたって、構わないだろう(笑)」

──その通りですね。その模様がTVで流れたわけではないですし。ところでTUFを経て、ナムとアンディの格闘技キャリアには明確な差がついてしまいました。

「カミング・フル・サークル。ナムはショーのあと、UFCで戦うチャンスを手にした。素晴らしい試合をUFCでやってのけた後、敗北が続いてUFCをリリースされた。そしてパンクラスでチャンピオンになった。その間、僕は僕自身を磨いてきた。TUF移行、1試合を除き勝ち続けた。そして日本で戦うチャンスを得て、3試合でフィニッシュできた。今、ナムと戦う。全てが一回りした感じだよ。

僕の方が彼よりも優秀なファイターだと証明し、UFCへ行く時が来たんだ。世界のベストファイターと競い合う、5年前に手にできなかった機会を、この試合によって手に入れることができると思っている」

──そのために必要なのはナムに勝つことですか、それともパンクラスのチャンピオンになることでしょうか。

「う~ん、2つとも大切だよ。ナムを倒すことはとても重要だ。同時にパンクラスはUFC Fight Passと契約しているし、バス・ルッテンやシャムロックが戦っていた時のような輝きをこのところのパンクラスは放つようになった。僕はこの世界にいて、常に欲しいベルトは2つと言ってきたんだ。それがパンクラスとUFCのベルトなんだ。

個人的に格闘技を始めた時から、パンクラスのファンだったからパンクラスのベルトっていうのは、本当に大切に想っている」

──この試合に向けて、どのような準備をしてきましたか。

「複数の場所で、複数のトレーニングパートナーと練習をしてきた。ナムの戦い方を研究してね。僕はウェルラウンダーだから、一人のパートナーがいれば対策はできる。でも、敢えて3つのジムでたくさんの相手と練習をしたんだ。ナムはそのボディショットに代表されるように、ボクシングが巧い。

彼のようなパートナーを見つけ、同じ動きをしてもらった。ナムはスタミナが抜群で常に前に出てくる。そんなトレーニングパートナーともスパーをしてきた。この試合は初めての5Rマッチだ。7Rでも9Rでも戦うことができるスタミナが必要になる。そんな風に一つ一つのピースを集めて、全体像を組み立ててきたよ」

──複数の場所というのは?

「僕は自分自身のピュアMMAというジムを持っている。弟を始め、優秀な柔術家がいる。そしてジムとダンのミラー兄弟のジムも30分しか離れていないから、一緒にトレーニングしてきたよ」

──ミラー兄弟はAMAというジム所属で、チャーリー・ブレネマンらと一緒に練習していたのではないのですか。

「あぁ、AMAは2年前に解散した。僕も一緒にやっていたけど、その時に自分のジムを開き、ミラー兄弟も自らのジムをオープンさせた。今回は彼ら以外にも、タイガーシュルマンでライモン・グッド、ジミー・リベラ、ニック・ペース、ルイス・ゴーディノー達とも練習してきたよ」

──なるほど、日本ではカリフォルニアの情報はよく入ってくるのですが、東海岸のMMA事情はまだまだ分からないことが多いです。

「確かにカリフォルニアは全米でもっともMMAや柔術が盛んな州であることは間違いないよ。でもニュージャージーは西海岸のよりもロシアからやってきたサンビストが多いと思う。だから、僕もコーチと一緒に足関節をよく研究している。もちろん、MMAは何でもやらないといけないけど、その一環として僕らは足関節も細かく研究しているんだ」

──今日のオープンワークアウトの囲み取材の間も、コーチのブライアン・マクローリンさんと弟のマイキー・メインが、後ろでストレート・ヒールフックの練習をしていたので、実は非常に気になっていました(笑)。

「ハハハハ。MMAは常に進化している。特に柔術的な動き、そしてサンボもそう。これまであった技もちょっとした違いを見つけ出し、新たな可能性を切り開くことができる。誰でも知っているベーシックなフットロックも、違った仕掛け方が存在する。その仕掛け方を知らない選手には、ベーシックな足関節がいとも簡単にはまる。柔術とサンボだけでなく、僕らは西海岸のゲームもちゃんと研究しているよ」

──西海岸のゲームとは?

「エディ・ブラボーの10th Planetシステムだね。ラバーガードは懸命に習得したよ。僕自身、パンクラスでアキラと戦った時、ラバーガードに助けられた(笑)。ベーシックな柔術、サンボ、10th Planet──知識は力だ。知識があれば、チャンスも広がる。特にディフェンス面では、しっかりと技術的な知識は必要だ」

──エディ・カミングスの足関節、ノーポイントのグラップリングマッチに特化したような技でも、知識として必要ですか。

「知っておくことが必要だ。確かに、そのままでは顔面にパンチを受けることになる。柔術のように2人が座って戦うなんて状況はMMAにはまず起こりえない。あんな風に時間を掛けて足を取ることはできないよね。でも、その仕掛けの防ぎ方を知っていないと、パンチを入れている時にヒールフックをセットアップされてしまう可能性がある。防ぎ方を知っていれば、パンチを続けることができる」

──ハイ。

「トキーニョの足関節、彼の人間性は本当にどうだかと思うけど、あのレッグロックは凄い。足関節が今でも有効だと彼は試合で証明している。

つまりはレッグロックだけ知っていてもMMAでは使うことはできないということ。でも、僕らは何でも練習している。レギュラー柔術からも、MMAで効果的なガードワーク、下になってもパンチを受けないポジションを学んだ。パンチを被弾しないポジション、そこでレッグロックに必要な空間を見つける。殴ろうと意識している間に、足関節を極めることができるんだ」

──なるほど。少し、タイトル戦から話題はそれてしまったのですが、アンディのMMAに対する姿勢がうかがえる足関節論でした。今日はありがとうございました。日曜の試合、期待しています。

「こちらこそ、ありがとう。今の話、日曜日のタイトル戦にも当てはまることだからね(笑)」

■PANCRASE270対戦カード

<フェザー級/3分3R>
渡慶次幸平(日本)
林大陽(日本)

<バンタム級/3分3R>
小宮稔大(日本)
清水悠生(日本)

<バンタム級/3分3R>
村田康大(日本)
大橋悠一(日本)

<バンタム級/3分3R>
田中千久(日本)
論田愛空隆(日本)

<フライ級/3分3R>
上嶋佑紀(日本)
中村龍之(日本)

<フライ級/3分3R>
小林優(日本)
渋谷和樹(日本)

<ストロー級/3分3R>
田丸慶介(日本)
児玉勇也(日本)

<KOPフェザー級選手権試合/5分5R>
[王者] ナム・ファン(米国)
[挑戦者] アンディ・メイン(米国)

<KOPウェルター級選手権試合/5分5R>
レッツ豪太(日本)
鈴木槙吾(日本)

<フェザー級/5分3R>
ガイ・デルモ(米国)
牛久絢太郎(日本)

<ライト級/5分3R>
アキラ(日本)
ジョシュ・スミス(米国)

<ライト級/5分3R>
石川英司(日本)
ドミニク・ロビンソン(米国)

<バンタム級/5分3R>
ビクター・ヘンリー(米国)
福島秀和(日本)

<女子バンタム級/3分3R>
コリーン・シュナイダー(米国)
ブリアナ・フィソリ(米国)

<フライ級/5分3R>
古賀靖隆(日本)
神酒龍一(日本)

<ウェルター級/5分3R>
村山暁洋(日本)
窪田幸生(日本)

<フライ級/5分3R>
荻窪祐輔(日本)
清水俊一(日本)

<バンタム級/3分3R>
CORO(日本)
瀧澤謙太(日本)

<バンタム級/3分3R>
なおKING(日本)
神田T800周一(日本)

<ストロー級/3分3R>
北方大地(日本)
リトル(日本)

<ライト級/3分3R>
太田駿平(日本)
林源平(日本)

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