【UFC】UFC世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソン 「キョージの蹴りが効かなかったのは……」
【写真】非常にきれいな眼をしているUFC世界フライ級王者デメトリウス・ジョンソン(C)MMAPLANET
4月25日、カナダはモントリオールで行われたUFC186で堀口恭司を破り、UFC世界フライ級王座6度目の王座防衛を果たしたデメトリウス・ジョンソンが来日し、18日(日)にKRAZYBEEでその堀口と共同記者会見に出席した。
両者会見後に行われたDJ単独インタビュー。フィリピン大会、ファイトスタイル、堀口戦など持前の早口トークで答えてくれた。
――マニラで行われたUFC FIGHT NIGHT66を観戦し、日本にやってきたDJです。初のマニラでのUFCはいかがでしたか。
「凄い大会だったよ。カードも凄かったし、何よりもファンが素晴らしかった。暑かったけど街も綺麗だったしね――」
――スイマセン、マニラの街が綺麗?
「日本人の君からすればそうは感じないかもね(笑)。まぁ、移動の車のなかから街を眺めた程度だけど、ホテルは綺麗だったよ(笑)。とにかく良い時間を過ごせた」
――フィリピンはアジアのなかでラテンを感じさせてくれる国ですよね。
「ファンもね。ただ寝技の攻防になってもブーイングが起こらないんだ。あれは素晴らしかったね。しっかりと攻防を見ている。ステーツだったら、絶対にブーイングだよ」
――確かに(笑)。しっかりと戦いを見ていたような印象を受けました。その一方で、メインのフランキー・エドガーとユライア・フェイバーの試合ではブーイングが起こっています。高度な間合いの取り方と、フェイクを織り交ぜたレンジ争い。そこからテイクダウンにもっていく見事な試合だったのですが。
「あれはきっと時間も経験していたと思うよ。もう午前1時半とかだったからね。早く家に帰らないといけないって考える時間だ(笑)。メインカードが始まったのが午後10時だからね。そしてメインイベントが午前1時に始まり、レスラー同士の試合が行われた。メインカードが午後7時に始まり、彼らの試合が午後10時に行われていれば、ファンの反応も違っていたかもね。
でも、世界中どこの国だろうがファイティング・ショーが全てのファンを満足させるということはないんだ。だからといって、試合内容に何かをいうつもりはない。素晴らしい一戦だったからね」
――ドミニク・クルーズやフランキー・エドガー、そしてデメトリウス・ジョンソンの素晴らしい動きには今もブーイングが起こります。そしてプロモーターサイドもファンの意向に沿った試合を提供する向きが強くなっています。
「なるほどねっ。僕も確かにファンからすれば、フランキー・エドガーのようなスタイルだろう。キョージ・ホリグチもそうだ。そして僕らはカナダでブーイングを送られた。ファンは何が行われているか、分からないところでも僕らは戦っている。試合だから、そういうこともあるんだ。プロモーターも、あるいは分かっていないかもしれない。それがプロのファイトだよ。バーで見られる小競り合いじゃない。ファイターは格闘技を理解して、格闘技の鍛錬を積んで戦っている。チェスのような試合を体を使って行っているんだよ」
――コーチのマット・ヒュームはDJの戦い方について、どのように思っているのでしょうか。彼は指導者としてはDJを育てあげた一方で、ONEというプロモーションではファンが喜ぶ試合を提供する副社長の立場にあります。そして、ファンの意向には耳を傾けないといけないということも、以前から言っていました。ファンあってのMMAだからと。
「マットは僕に決してエキサイティングな試合をしろとは言わないよ。でも、ハードな試合を心がけろとは言われている。だから、僕は絶対にフィニッシュを狙っている。試合をフィニッシュすることがファンを納得させることだとも思うし、そういう風に戦うことでUFCも盛り上がると考えている。だからキョージとの試合でも、最後の1秒で極めることができたんだ。エイターテイメント性を求められることは理解している。ファンが喜んでくれると僕も嬉しい。と同時に、僕が最終的に求めているのは勝利、勝つことなんだよ」
――堀口選手との試合ですが、レスリング+柔術&ボクシングが軸となっている現代MMAにおいて堀口選手の空手ベースというスタイルは非常にユニークです。その彼の左中段蹴りを1Rの中盤過ぎに受けたのですが、まるで効いた素振りを見せませんでした。
「だって効いていなかったからね(笑)。普段からマット・ヒュームとスパーをしていて、僕より全然大きなマットが首相撲からヒザをガツガツとボディに入れてくるんだ。しっかり捕まえられてヒザを突き上げられるんだよ(笑)。僕のボディはとても頑丈になっている。キョージの一発はハードなものだったけど、そういう理由で僕の体は鍛え上げられているから問題なかったんだ。ほんと、全くダメージはなかったよ」
――なるほど堀口選手の蹴りが効かないとなるとお手上げですね……。それでも最初の2Rはなかなか簡単にテイクダウンを奪えませんでしたが、3Rから一変しました。あそこで間合いやスピードを完全に見切れるようになったということですか。
「確かに僕はキョージの重心が上になるのを待っていた。ただ、それは1Rも2Rも変わりない。でも、やっぱり最初の5分や10分っていうのは体もフレッシュだし、動きも良い。それに集中力も高いからね。2Rもまだ動ける。だけど3Rになると、大抵の選手は動きが落ち、判断力も鈍ってくるんだ。こうなるともう、決して僕を止めることはできなくなるよ」