【on this day in】5月21日──2005年
【写真】シンゾーさんも今と違うが、リョートはさらに違う。ちょっと(笑)と入れたくなるぐらい違う。でも痩せたら恰好良くなる典型だったんだと驚き (C)MARTINS DENIS
Jungle Fight04
@ブラジル・アマゾナス州マナウス、トロピカルホテル
「シンゾー・マチダ、弟はリョート・マチダ。日本語の名前をポルトガル語の発音に合わせてアルファベット表記をすると、シンゾーさんはCHINZOになり、リョートはLYOTOと書く。UFCのコールや中継陣がリョートのことをリオトと呼ぶことは、MMAファンの皆さんなら先刻ご承知だろう。リョートがリオトなの別に構わないけど、シンゾーさんはその綴りのせいで米国ではチンゾーと呼ばれてしまう。これはちょっと気の毒だ。そのシンゾーさん、10年前の今日、自身初のMMAを戦い、クリスチアーノ・ホザなるムエタイファイターを相手に100秒でKO勝ちを飾っている。いきなり、相手の左ミドルに右の突きを合わせダウンを奪うと、サッカーボールキックの反則でイエローカード。甘いマスクで危ないシンゾーさんは、再度ダウンを奪うと今後は亀の相手のボディを蹴り上げ、パウンドで勝利を収めた。シンゾーさんは、この翌年に豪州に開催された船越義珍杯に出場し準優勝を遂げていること。何よりも凄いのが空手でもMMAと同じ構えで戦い、同じように右の突きでポイントを獲得していること。部外者の僕が空手に何やこれをいうのはフェアじゃないかもしれないけど、ポイント制空手は当てることを目標としすぎて、足より肩・頭・拳が前に出て体が伸び切ったり、当てたあとは『オリャー』と叫び、防御が取れていないことが多いと感じている。もちろん、そういう競技だからそれで良いのだけど、シンゾーさんはやっぱりそんなことない。軸は残っているし、『待て』の後でも無防備な姿勢にならない。足と腹、胸、頭が揃い、突きは練られてチンクチやムチミを連想させる。競技会でファンタジーを感じさせるシンゾーさんがブラックハウスで行う打撃クラス、また見たくなった」
on this day in──記者生活20年を終えた当サイト主管・髙島学がいわゆる、今日、何が起こったのか的に過去を振り返るコラム。自ら足を運んだ取材、アンカーとして執筆したレポートから思い出のワンシーンを抜粋してお届けします。