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【ASIA OPEN】世界への切符を賭けた生き残り真剣勝負──アジアオープン今週末に開幕!!

Asia open【写真】国内勢が世界へのチケットを受け取るため、そして海外からも例年以上にビッグネームが出場する今年のアジア・オープン新章(C)MMAPLANET

国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)主催の「アジアオープン柔術選手権」が、今週末8~9日(土~日)の2日間、愛知県名古屋市港区の愛知県武道館で開催される。
Text by Hiroyuki Kato

同大会初となる中部地区での開催、アジアオープンは今年から日本国内だけではなく、世界中の柔術家にとっても重要な位置づけの大会になっている。その理由は来年度からの「世界柔術選手権の黒帯カテゴリー出場資格」にある。世界柔術には過去の優勝者、またはIBJJFが定めたポイント指定大会(世界柔術、ヨーロッパ選手権、パン選手権、ブラジル選手権、アジアオープン、アメリカ選手権、南米選手権、その他の国際オープン)で、合計50ポイント以上の競技者のみが出場できることになったからだ。

アジアオープンで階級別優勝すれば、54ポイントを得ることができるため、今大会にも欧州大会で表彰台常連なクラウジオ・カラザンスや、エジ・ハモスら強豪がエントリー。もちろん国内勢を含め、世界を目指す黒帯にとっては第一関門。今回はそんな日本人選手の声を交えて、日本勢の動向をお伝えしたい。

まず紫帯部門では、最軽量ルースター級に先日のNO-GI世界選手権で優勝した澤田伸大(トライフォース柔術アカデミー)が本命。紫帯にはMMAを離れ、柔術のトレーニングを積んでいる選手の出場も目立つ。ライトフェザー級ではこの1年で柔術大会の常連になっている中村アイアン浩士(CARPE DIEM)、ミドル級に第2代HEATウェルター級王座の新美吉太郎も出場する。
澤田伸大
「世界一を目指すからには、アジアオープンは当然取らなければいけないタイトルです。自分の全てを出しきりたいと思います」

茶帯部門では、注目したいのはライトフェザー級に全日本柔術選手権王者である宮地一裕(修斗ジムroots)だ。宮地の回転系ガードワークが、国際戦で何処まで通じるのか。そして茶帯各階級には、イ・ジュンウ率いるデラヒーバ・コリアが“DeLarivaJJ“として今年も大挙としてエントリーしている。フィジカルの強い韓国勢との日韓戦は注目の一つだ。
宮地一裕
「アジア選手権は自分の中でも大きな目標の一つなので押さえておきたい大会です。今の自分の技術がどこまでアジア選手権で通用するか楽しみです」
イ・ジョンウ
「今年も韓国から20名近い選手でアジア選手権に参加できることに喜びを感じています。我々の道場にも茶帯勢が非常に充実してきているので、活躍を是非期待して欲しいです」

Shibamotoそして黒帯部門。ルースター級では日本人で唯一IBJJFランキングに入る芝本幸司(トライフォース柔術アカデミー)がアジア3連覇に挑む。同階級では昨年のアブダビ日本代表など世界経験豊富な吉岡崇人(徳島柔術)が階級を落としてエントリー。他、沢田真琴、北出拓也などベテランの技巧派がどう絡んでいくかが見ものだ。
芝本幸司
「国内で参加できるIBJJF大会としてアジアオープンは重要視しております。また今回は開催地が名古屋ということで、普段の国内試合とは移動など含め変わってきます。コンディショニングをしっかり整え、当日を迎えたいと思います」

Kakoライトフェザー級は世界トップクラスの選手は不在のため、日本勢の誰もが優勝を狙える階級だ。中でも頭一つ出ているのは、地元開催で気合が入るのは日本代表するベリンボラー加古拓渡(GSB)と、ヨーロッパ選手権3位の山田秀之(デラヒーバジャパン)か。そんな若手黒帯2人に立ちはだかるのは、世界柔術選手権一本に絞り柔術生活を送っていた吉岡大(東京イエローマンズ)に他ならない。久々の国内大会出場の吉岡を越えてこそ、若手達は世界が見える。
加古拓渡
「この階級は全ての選手が強豪ですが、海外の本当のトップ選手は入っていないので、ワールド出場を賭けたリアルかつシビアな凌ぎ合いになると思います。ワールドに出場することで、世界標準を肌で感じることが出来る。逆に出場出来ないと、更に世界の柔術から取り残される。なんとしても優勝して来年に繋げたいです。いつも通り減量がキツいですが、頑張ります」

Tsukadaフェザー級は世界トップクラスの選手が集まった非常に厳しい階級になった。まず世界最強軍団ATOS所属で、欧州大会の表彰台常連なエジ・ハモス。そして2年前のアジアで国内最強を誇った中村大輔をあっさり三角絞めで破り優勝したイザッキ・パイヴァも参戦する。国内組では全日本2連覇中で昨年のアジア王者=塚田市太郎(ダムファイトジャパン)、岩崎正寛(CARPE DIEM)が何処まで食い込めるか。
塚田市太郎
「アジア大会は去年も出て優勝することができたのですが、今年はムンジアルのポイントの影響かイザッキやエジ・ハモスといった世界の強豪も参加しているので、自分がどこまで通用するか楽しみです。日本人も岩崎君などたくさんの強豪が出場しているので、負けないように自分の力を出し切りたいと思います」

Hosokawa黒帯ライト級はワールドプロ優勝&世界柔術3位のホベルト・サトシ・ソウザ(ブルテリア・ボンサイ)が本命だ。サトシにサンボ&グラップリング、柔術と各種組技大会で優勝常連の高本裕和(ポゴナ・クラブジム東大和)、そして須藤元気プロデュースの柔術大会『一騎討』を制した名古屋格闘技道場ALIVE所属の細川顕などが続く。
細川顕
「『アジアの一枠』を争うシビアなトーナメントだと思っています。世界選手権に出るなら勝たなきゃいけない試合です。名古屋で開催するので普段東京でしか会えない選手がたくさん来てくれるので楽しみです。吉岡大選手とかクラウディオ・カラザンス選手が名古屋で見られるなんてあり得なかったことですから。アライブからも応援に来てくれると思うので良いところを見せたいですし、ホームでの試合を楽しみたいと思います」

この他、重量級ではアブダビ・ワールドプロを4度制覇し、世界柔術準優勝のクラウディオ・カラザンス。日系ブラジリアンの中でトップを走る存在であるマルコス・ソウザなどがエントリー。本来の主戦場とは違う、対戦相手の少ない重い階級を選び確実にポイントを稼ぎにきている。アジア最強の称号を手に、世界大会へのチケットを獲得するのは誰になるのか、例年以上に注目度の高いアジアオープンだ。

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