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【Titan FC31】吉田はノンタイトル、キャッチ戦を拒否。非は体重を落とせなかったリッチにあり

10月31日(金・現地間)にフロリダ州タンパのUSFサンドームで開催されるTitan FC 31「Ricci vs Yoshida」。既報の通り、メインで吉田善行の挑戦を受ける予定だったライト級王者マイク・リッチが体重オーバーとなり、157パウンドの契約体重、ノンタイトル戦に変更されたと当サイトでは報じた。

主催発表を受けての記事だったが、吉田のセコンドを務める長倉立尚のブログにより、ノンタイトル戦で戦うことを吉田が拒否し、プロモーターサイドとのやり取りが続いているという事実が明らかに。その後、長倉のブログで吉田が正式に断ったことが知らされたが、この時点で主催者からは、何も正式発表はないままだった。

そこでMMAPLANETでは吉田のマネージメントサイドと連絡をとり、事実確認を行った。そして、長倉の説明が事実にあることが確認できた。以下、ブログと重なる部分が多々あるものの、マネージメントサイドの説明を要約してお伝えしたい。

まずリッチが2ポンド・オーバーしたことで、ノンタイトルのキャッチウェイト戦を戦うことを、リッチのファイトマネーの20パーセントを支払うという形で、吉田にが持ち掛けられた。しかし、吉田としてはタイトルマッチでないこと、相手が計量をパスしていないことで、これを固辞。40歳になり、UFCを諦めていない吉田にとって、これは『お金の問題ではない』ということ。1回でも負ければ現役引退を視野にいれ、今後を賭けてこの一戦に挑んでいた。そしてマネージメントサイドとしても、この吉田の意向を酌み、「納得出来ない状況でケージに入ってほしくない」と同意。

タイタンFCとしては「勝てば次は必ずタイトル、負けてもリマッチを組む」という提案をしたが、吉田は受け入れらないと拒否し、キャンセルが決まった。現時点でもプロモーションからはマネージメントに『試合が成立できないか』という要求が届いているが、吉田が断り続けている──という状況だ。

当サイトでも、リッチの計量失敗を非難しつつも、吉田が対戦を飲まないという想像はできず、戦うことを前提に記事を作成していた。2ポンド・オーバーでメインをキャンセルという事態は予想もできなかったということになる。この一件により吉田に対し、「なぜ、戦わない」、あるいは「チキンだ」という反応も起こるだろう。ただし、体重を落としてないファイターに非があって然り。

ただし、この決断が吉田の将来にも良い方向に作用しない可能性もある。それでも命を懸けて、人生を賭して試合に臨むファイターの判断として、吉田の選択を非難することはできない。大会を開くプロモーターがいて、選手は試合ができるというのであれば、試合に出る選手がいてプロモーターもイベントを開くことができる──そしてTV中継があるという考え方が存在することを、今一度理解すべきだろう。

現実問題として、タイトルに拘る吉田に対し、リッチに関してはタイトル返上、5R戦を戦い吉田が勝った時のみベルトが彼のモノになるという──ベラトールが暫定世界バンタム級選手権試合で採った選択はなかったのか。いずれにせよ、体重を落としてないファイターが優位な状態で試合に臨むことを拒否した吉田。その場の雰囲気に流されない、あるいは空気を読まない判断をしたことになるだろう。ただし、それこそが吉田のMMAへの取り組み方の表れである。戦うのは彼自身だ。太平洋のこちら側でキーボードを叩いている人間として、善悪でも是非でもなく、彼の判断を全面的に支持したい。

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