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【UFC179】王者アルドのローの結界を破るために、チャド・メンデスに必要な3つの要素

Aldo vs Mendes 01【写真】TKO勝ちまでの1分間、バックを取られていたアルド。自分のペースで戦えなかった印象を残しているが、その実メンデスもらしいステップインを見せることができていない前回の対戦だった (C)PVT

25日(土・現地時間)、UFC 179「Aldo vs Mendes 2」がブラジルはリオデジャネイロのジナーシオ・ジウベウト・カルドッソで開催される。

マラカジーニョの愛称で親しまれる同会場は先のブラジル・ワールドカップ決勝が行われた7万人以上収容できるマラカナン(正式名称はエスタージオ・ジョナリスタ・マリオ・フィリョ)に隣接しており、バレーボールやバスケットボールで使用されるある意味、リオの名所的な体育館だ。

1983年11月にはヒクソン・グレイシー×ズール02、翌84年11月に柔術×ムエタイの4×4対抗戦(ヘナン・ピタンギ×エウジェニオ・タデウ、イナーシオ・アラガォン×ブルーノ・ルッシオ、フェルナンド・ビンドゥーカ×マルコ・フアス、マルセロ・ベーリンギ×フラービオ・モリーナ。結果は柔術の2勝1敗1分という結果だったが、ルッシオが代替出場で柔術サイドが用意したカンフー選手だったため、実際はイーブンであった)と、古のバーリトゥードが開かれたマラカナジーニョ。

そんなMMAのルーツを知る会場で、世界最高峰UFC世界フェザー級選手権試合ジョゼ・アルド×チャド・メンデス戦が組まれるのは何とも感慨深いモノがある。ご存じのように両者は8月にUFC176で対戦予定だったが、王者アルドの首の負傷で延期、大会自体が中止されたという経緯がある。そして、この2人は2012年1月のリオデジャネイロ、HSBCアリーナで戦っており、その時はアルドが1R残り1秒というところでヒザ蹴りを決めTKO勝ちを収めている。

スタンドでバックを取られていたアルドは、メンデスの腕をはがして正対すると同時に左ヒザを打ち込み、追撃のパウンドでTKO勝ちを決めた。まさに人間離れした獣のような反応に、メンデスがついていけなかった。衝撃的な決着から2年1カ月の間にアルドはフランキー・エドガー、ジョン・チャンソン、リカルド・ラマスを相手に防衛を続け、現時点で6度の王座防衛(WEC時代から通算すると8度)に成功している。

一方、メンデスは王座奪取失敗から1年11カ月の間に5連勝、インフルエンザで戦ったニック・レンツ戦以外は4試合でKO勝ちとその強さを改めて見せ続けてきた。恐ろしいばかりのフィジカル&ストレングス、テイクダウン能力の強さに裏打ちされた前に出る力にパンチ力が付随しているメンデスは、強さを増すばかりに感じられる。とはいっても、やはりアルドが相手になった時とその他の相手ではメンデスの戦い方も自然と変わってくる。

鋭い踏み込みの源である左足をアルドは左右、内側と外側からローキックで削ってくるため、前回の試合でもメンデスは、ダブルレッグとシングルを1度ずつ失敗している。ボディロックからバックに回り込んだのはアルドがヒザ蹴りを狙った時のカウンターで、能動的に組み付けたわけではない。つまり、パンチのプレッシャーが掛けられなければ、メンデスといえども自分のタイミングで組にいけないということになる。

組めない要因がローキックであるなら、メンデスは思い切って足を上げてカットするのも良いだろう。MMAは基本、テイクダウンを奪われたくないという心理が働き、ローやミドルに対してヒザを挙げてスネで受けるというカットを見せるファイターは少ない。一本足になることは、すなわち組まれてバランスを崩しやすくなるからだ。ただ、メンデスと戦う時に王者アルドといえども、一本足になったからといって組みついてくるだろうか。その可能性は限りなく低い。よしんば組んできたとしても、それはレスリングの展開に持ち込む機会をアルドが許したことになる。

よってメンデスとすれば、組み合い上等という気持ちで、どんどん片足状態になってダメージを少しでも受けないで戦うという選択肢もある。もちろん、カットは防御であり、受け身の姿勢だ。そしてダメージだって蓄積するだろう。それでもメンデスがローのカットという術を身につけているなら、少しでも防御能力を上げ、踏み込みを大切にすべきだ。

メンデスがいくら小刻みに左右、そして前後に足を動かそうが、アルドの動体視力、反応の良さを考えると、ステップで攻略できるとは考え辛い。メンデスにはテイクダウン後の優れたライディング能力があるだけに、ここはベン・アスクレン流1発や2発、ヒザを被弾しようが倒す。その気構えがメンデスの突進力をより強固にさせ、拳にも力が宿るはず。ローはカット、ステップよりも怒涛のドライブ、それを5R続けるスタミナ。この3要素でローの結界を破るというような、思い切った手段が挑戦者メンデスには必要となってくる世界戦フェザー級ではないだろうか。

■ UFC179対戦カード

<UFC世界フェザー級選手権試合/5分5R>
[王者] ジョゼ・アルド(ブラジル)
[挑戦者] チャド・メンデス(米国/1位)

<ライトヘビー級/5分3R>
グローバー・テイシェイラ(ブラジル/4位)
フィル・デイビス(米国/6位)

<ライトヘビー級/5分3R>
ファビオ・マルドナード(ブラジル/15位)
ハンス・ストリンガー(オランダ)

<フェザー級/5分3R>
ダレン・エルキンス(米国/13位)
ルカス・マルチンス(ブラジル)

<ライト級/5分3R>
カルロス・ディエゴ・フェレイラ(ブラジル)
ベニール・ダリューシュ(米国)

<ウェルター級/5分3R>
ヴィリアム・パトリーノ(ブラジル)
ニール・マグニ―(米国)

<ライト級/5分3R>
ヤン・カブラル(ブラジル)
小谷直之(日本)

<フライ級/5分3R>
スコット・ヨルゲンセン(米国/15位)
ウィルソン・ヘイス(ブラジル)

<フェザー級/5分3R>
フィリッピ・アランテス(ブラジル)
アンドレ・フィーリ(米国)

<ライト級/5分3R>
ジルベウト・ドゥリーニョ(ブラジル)
クリストス・ギアゴ(米国)

<ライト級/5分3R>
ファブリシオ・モランゴ(ブラジル)
トニー・マーチン(米国)

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