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【Interview】川尻達也 「僕と同じ手術をして、現役を続けている人はたくさんいる」

Tatsuya Kawajiri【写真】非常に穏やかな表情で手術、術後に関して語ってくれた川尻達也。まずはファンもホッとできる結果報告を聞くことができた(C)MMAPLANET

6月25日(月・現地時間)、米国のMMAサイトが川尻達也が網膜剥離の手術を行うことで、9月20日(土)のUFC日本大会の出場がなくなったと報じた。関係者の間では、伝わっていた川尻の左目の問題だが、改めてコトが公になるとファンも含め業界全体にショックを与えた。

川尻自身、引退を覚悟した3度目の網膜剥離発症。しかし、新たな施術方法と出会い、川尻は現役続行を賭け、この3度目の手術に挑むことを決意した。

手術から24日を経て、ひかりTV・UFC中継でUFC FOX12の解説を行うために収録スタジオに姿を見せた川尻。術後の経過と、今後を尋ねた。

──ひかりTVのUFC中継、その解説を終えたばかりの川尻選手に今日は左目・網膜剥離、3度目の手術の経過をファンに伝えて欲しく、インタビューさせていただきます。

「ハイ。手術は7月28日に終え、経過は順調です。一応、先生にも現役を続けて大丈夫とは言われています。僕と同じ手術をして、現役を続けている人はたくさんいると、手術した後に言ってもらえました」

──いきなりホッとできる言葉が聞かれ、本当に良かったです。ブログで術後の過ごし方などを書かれていましたが、かなり大変な様子が伺われました。

「眼球にガスを入れる硝子体手術(※眼内は硝子体と呼ばれるゼリー状の物質で満たされており、網膜剥離や裂孔など疾患に関係している硝子体を切除する。必要に応じて眼内染色液の使用、薬物注入、網膜上の膜除去、レーザー凝固などを施術する。手術終了後は状況に応じてガス、シリコンオイルを眼内に入れることもあり、ガスは2週間程度に眼内の水に置き換わる。シリコンオイルはより重症例に使用され、術後落ち着いてから再手術によって除去する――参照・医療法人財団神戸海星病院、硝子体手術の説明)なので、ガスが抜けるまでは下を向いているしかないんです。

2週間は下向きの生活でした。寝ているだけだと苦痛でしょうがなくて……。ベッドの端から頭だけを出して、下にi-padをおいて、テレビや動画を見たり、本を読んだり、ラジオを聞いていました」

──整骨院などで見られる、あの頭がすっぽりとハマるようなベッドで生活をしていたわけではないのですね。

「そういうのも借りたんですけど、もう苦痛で全然使わなかったです。頭がハマるところにうつ伏せになって、ずっとジッとはしていられなかったので」

──色々とMMAのことを考えてしまったのではないですか。

「格闘技のことは考えなかったです。こんなに格闘技のことを考えなかったのは、プロデビュー後は初めてですね。格闘技の映像もほとんど見ていなかったので、今日の解説も頭が格闘技脳になっていないので、映像を見ていてもイメージが浮かんでこないというか……、全然だめでしたね」

──そんなことはなかったですよ(笑)。

「いや、全然まだ格闘技脳になっていなかったです」

──格闘技のことを考えなかったのは意識してのことだったのですか。

「意識して……う~ん、見るのも悔しいというか、見ていられないというのもあったし。考え出すと、色々と止まらなくなってしまうので、だったら考えないでいいかと」

──2週間、ずっと病院のベッドで格闘技のことを考えずに過ごす……。

「いえ、入院自体は2泊3日だったんです。退院後は病院の近くのビジネスホテルに泊まっていました。何かあれば、すぐに診てもらえるので。診察に行くにしても振動が良くないので、電車とか使うのは何かと大変で」

──それでもガスが抜けるまで、入院はできないのですね。

「全国から人が集まってくるので、長い間入院とか難しいんだと思います。僕が手術をした日も30人ぐらい手術をする人がいましたからね。網膜剥離ではなく、ほとんどが白内障の手術を受ける人たちですけどね」

──ホント、下らない質問なのですが、手術はやはり相当な痛みを伴うのですか。

「いえ、痛くはないです。以前の手術方法だと局部麻酔で、意識はあり、そのなかで光りとか感じているなかで目をカチャカチャいじくられている不快感で、本当にきつかったんです。でも、今回の手術は全然、不快感もなくて意識はあるんですけど、ふわふわしている状態で気が付いたら終わっていたという感じです。凄くキツいという人が多いんですけど、腕が良いので全く問題なかったです」

<この項、続く>

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