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【2014WJJC】惜敗で涙のパウロ・ミヤオ、ギィは貫録の辛勝

Paulo Miyao

【写真】副審1人はミヤオのアキレスにアドバンテージを入れるよう立ち上がって左手を水平に挙げたが、他の2人はアクションなし。これを見届けると、パウロはこのような表情を浮かべ、表彰式まで涙を流し続けた (C)MMAPLANET

5月29日(木・現地時間)から1日(日・同)にかけて、カリフォルニア州立大学ロングビーチ校のピラミッドにて開催されたワールド柔術チャンピオンシップ。黒帯階級別レポート第2弾はライトフェザー級。日本から国内実力者が集結した階級の決勝は今や新鋭から柔術界の重鎮として活躍する若き帝王=メンデス兄弟の兄ギィにパウロ・ミヤオが挑むこととなった。

Yoshioka vs Paulo Miyao【写真】狙いはワールド一点の吉岡大、ポイントを譲らない強さを今年も見せてくれた(C)MMAPLANET

弟ジョアオの惜敗を確認し、マットに上がったパウロ・ミヤオ。準々決勝で吉岡大(東京イエローマンズ)との注目の一戦が実現。ミヤオはダブルガード状態からエスティマロック(足を絡めないアキレス腱固め:新ルール=ダブルガードによる警告/減点への対策としてパウロは今大会この技を多用していた)をしきりに仕掛けて、決まらないとみるやベリンボロへ。何度もバックに付きかけるが吉岡もポイントは許さない。その後も座った状態から前進するミヤオはエスティマロックとベリンボロを延々と繰り出し続け、淡々とそれを防ぐ吉岡から4Aを稼いで勝利した。

Gui vs Kaneko【写真】かつての表彰台メンバー、ノヴァウニオンのベウナウド・ピタウを初戦で破った金古一朗、2回戦では小山貴之(福住柔術)をヒザ十字で破り、ベスト8入りを決めた。そんな金古をギィは寄せ付けなく、一方的に下した。ちなみに小山はヒザの負傷をおし、月曜日にはコンデ・シマらとジャンジャック・マチャドでの出稽古を敢行している(C)MMAPLANET

準決勝ではガブリエル・モラエスを8分53秒、送り襟絞めで仕留めたミヤオは、モダン柔術の開祖というべきメンデス兄弟の兄ギィ・メンデスとの決勝戦に駒を進める。ギィは準々決勝で日本の金古一朗(ポゴナ・クラブ)を4分55秒・送り襟絞め、準決勝ではすっかりベテランの顔つきになったカーロス・エスキジートを7-2で下し、余裕で決勝進出を決めていた。

01<ライトフェザー級決勝/10分1R>
ギィ・メンデス(アトス)
Def. P2-2 アドバンテージ2-1
パウロ・ミヤオ(シセロ・コスタ)

試合開始後すぐに引き込んでは、ラッソーガードから揺さぶりをかけるミヤオ。メンデスは得意の低く重いプレッシャーをかけようとするが、ミヤオは常に回転しながら仕掛け続けてそれを許さない。やがてミヤオが回転してベリンボロから上を奪って2P獲得。同時に両者の足は50/50で絡み合っていた。ここからミヤオは瞬時に腕十字(50/50アームバー)へ。腕が伸びかけたかに見えたが、メンデスは表情を変えずに引き抜いて上を取って同点とした。

するとミヤオは50/50をキープしたままメンデスの裾を引き出して、そこからベリンボロという新展開へ。それを防いだメンデスもミヤオの裾を取って、ミヤオの足に巻き付けて膝十字のように足を狙う。50/50状態での足関節合戦というのは見慣れた形、両者が裾を取り合っている点が2014年ならではの風景だった。

02【写真】ミヤオのアンクルに表情一つ変えないギィだったが、表彰式後は足を引きずる姿も目撃されている(C)MMAPLANET

ミヤオが強烈なアンクルを返すと、メンデスもアキレス腱固めで絞り上げる。50/50のままお互い回転していい状態になったところで思い切り絞りあげる両者。見ているこちらの足が痛くなりそうな攻防だが、どちらも当然のようにタップしないまま時間が過ぎて行く。残り30秒のところでポイントは4-4、アドバンテージもマイナスポイントもどちらも1-1というまったくイーブンの中、アキレスを仕掛け合う二人。やがてメンデスにアドバンテージが入り、試合終了。終了後に副審の一人がパウロのアキレスにもアドバンテージを認める仕草をして観客がどっと沸いたが、残り2人は認めず。メンデス兄が2年ぶりに王座に返り咲いた。

03【写真】最後のアキレス腱合戦、ギィだけにアドバンテージがつくのは解せない……か(C)MMAPLANET

弟ジョアオに続いて兄のパウロも世界制覇ならず。涙にくれたミヤオ兄弟だが、世界最強に限りなく近いところにいることは十分に証明して見せた。そして、最後の足関節はギィにだけ入るというのは、やはり解せない判断であったといえる。いずれにせよ、ルースター&ライトフェザー級の決勝戦のように、もつれた試合になると50/50によるポイント稼ぎ合いとなってしまうのは、見る側としては残念だが、これはルールに則って全力で勝ちを目指しているミヤオ兄弟ではなく、主催者側のルール設計の問題だろう。

Podium【ライトフェザー級】
優勝   ギリャルメ・メンデス(アトス)
準優勝 ジョアオ・ミヤオ(シセロ・コスタ)
3位   カーロス・エスキジート・ヴィエイラ(チェッキマット)
     ガブリエル・モラエス(チェッキマット)

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