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【WJJC2019】ライトフェザー級。ジョアオ・ミヤオが初戴冠。シセロ・コスタ勢表彰台独占の立役者はバホス

Light Feather【写真】シセロ・コスタ勢の表彰台独占。バホスのソドレ戦の逆転の瞬間、この勝利に沸く声と準決勝から先が見られない落胆の空気がピラミッド内には混在していた (C)MMAPLANET

5月30日(木・現地時間)から2日(日・現地時間)にかけて、米国カリフォルニア州ロングビーチのカリフォルニア大ロングビーチ校内ピラミッドにて、IBJJF主催のブラジリアン柔術世界選手権が行われた。競技柔術世界一を決定するムンジアル・レビュー第8回はライトフェザー級で成し遂げられた史上初の快挙──シセロ・コスタ4人衆による全メダル独占劇において、最大の功労者となったチアゴ・バホスの戦いをレポートしたい。


<ライトフェザー級2回戦/10分1R>
チアゴ・バホス(ブラジル)
Def. by 9-7
ガブリエル・ソウザ(ブラジル)

同門4人による全メダル独占という大目標に挑むシセロ・コスタ勢の最年長、33歳のバホスは初戦でいきなり難敵を迎えることとなった。今年のワールドプロでジョアオ・ミヤオにモダン柔術戦で競り勝った22歳の新星、ガブリエル・ソウザだ。

両者引き込みから、先に上を選択したのはソウザの方。しかしその両袖口を掴んだバホスは、横に崩してあっさり上になり2点を先制。バホスはすぐ立つとソウザの足をさばいてトレアナパス。ソウザが反応しても左右に動き、レッグドラッグに続けるパスの猛攻を見せたバホスは、サイドに回りかけてニアパスのアドバンテージを奪ってみせた。

体勢を戻したソウザは、デラヒーバガードを作って仕掛けにかかる。しかしバホスはバランスを保つとニースライスで逆襲。そのままソウザのガードを貫通してパスに成功し、5-0と差を広げてみせた。

場外ブレイクを経た再開後、ソウザはバホスの引き込みに合わせてのテイクダウンを決め、2点を返す。さらに大きく側転するように動いたソウザは、そのままサイドを奪ってあっという間に5-5の同点に追いついてみせた。下からの技術の発達が凄まじい軽量級の世界最高峰の戦いで、両者がパスを決め合うのは非常に珍しく、また新鮮な光景だ。

サイドを取られたバホスがすぐに動いて起き上がると、ソウザはすかさず引き込みに。するとバホスは再びニースライスへ。ヒザを抜いてサイドに付いたと思いきや、ソウザも動いて立つ。この動きでバホスがアドバンテージを得て、リードを得た。

その後しばらく息を飲む攻防が続いた後、ソウザがダブルガードから上を選択。ここで再び側転を繰り出してサイドに回ったソウザは、立ち上がろうとしたバホスの片足を抱えて倒しきることに成功。が、もともとソウザは上にいたためにアドバンテージ止まり。逆にバホスはシッティングを取ると、それを大きく跨ごうとしたソウザの股間に潜り込み、リフトして上を奪取。7-5と再逆転に成功した。

下になったソウザがラッソーに。しかし、バホスはその足をさばいてレッグドラッグからサイドに回りかける。ソウザに戻されたものの、アドバンテージを獲得した。膠着戦や同じ状態でのシーソーゲームが目立つ軽量級にあって、両者は上になっても下になってもノンストップで攻撃を仕掛け合っている。

再び試合がスタンドに戻り、ソウザが前にスライティングをするように座り込むと、バホスはそれをなぎ倒してのテイクダウンで9-5とリードを広げる。さらに低く噛みついたバホスは、そこからレッグドラッグにつなぐ波状攻撃。が、ソウザはそれを防ぐとスパイダーガードから逆に煽る。それを見事なボディバランスで防ぐバホスだが、ソウザはバホスの左かかとを掴んで倒すと、その足を掴んで立ち上がって上を取ることに成功。9-7と迫ったところで両者は再び場外へ。

残り時間わずかのところでスタンド再開。最後の望みをかけて前に出たソウザは、引き込むと同時にスイープでバホスを舞わす。下になりかけたバホスだが、ここで執念のスクランブルで立ち上がって上に。見事に失点を回避して試合終了した。

10歳以上年下のソウザを相手に、終始ノンストップの攻防を展開したバホス。終盤の両者死力を尽くしたスクランブルの攻防も制し、準々決勝進出を決めた。

01<ライトフェザー級準々決勝/10分1R>
チアゴ・バホス(ブラジル)
Def. by 4-4 アドバンテージ2-1
アレクサンドロ・ソドレ(ブラジル)

同門4人によるクローズアウトの必要条件である準決勝進出にあと一勝と迫ったバホス。最後に立ちはだかったのは、今年のブラジレイロで準優勝のアレクサンドロ・ソドレ。準々決勝では嶋田裕太から4度スイープを決めて完勝したおそるべき22歳だ。

02引き込んだソドレは、ラッソーからバホスのラペルを取りにゆくと、さらに50/50に移行。そこからのシットアップで2点を先制した。その後背中を付けてダブルガードに戻るソドレ。対するバホスも上を取り返しにゆくが、ソドレは腕十字のカウンター。バホスが逃れようしたところで、ソドレは足の絡みを解いて上のポジションに戻ってみせた。

03下からバホスはスパイダーガードを作って煽るが、ソドレはバランス保つ。ならばとばかりにバホスは、立ち上がったソドレの股間に自らの体を折りたたむように腰を入れ、内側から崩してのスイープ。崩されたソドレは背を向けて場外に逃れようとするが、バホスは背後から組みついて阻止。なおも強引に場外に出ようとするソドレだが、決して譲らないバホスはソドレを引っこ抜くように投げて強引に場内に戻す。

04それでも再び立ち上がったソドレは場外にダイブ。この露骨な逃げ方により、ソドレにはペナルティが、バホスには2点が与えられた。準々決勝で嶋田裕太相手に何度も決めたソドレの場外逃げを、バホスは力と執念で防いでみせた。

05残り5分。両者引き込みから、上を選択したバホスがアドバンテージを得る。が、ソドレはすぐにシットアップで上を取り、4-2と逆転する。バホスはソドレのラペルを取ると、それをソドレの右足に絡めてく崩しにかかる。が、ここで立ち上がったソドレは一瞬で体を右に翻してのパス。

06サイドにつきかけたソドレだが、ラペルグリップを離さないバホスはスクランブルからソドレの右足をリフトし、逆にテイクダウンに成功した。再逆転と思われたが、これはスイープとは認められず。一瞬サイドに付かれた状態からの上奪取なので、単なるリバーサルとみなされたようだ。

この裁定によりスコアは4-2のまま下になったソドレは残りの2分の間、下を保てば勝利できることとなった。下の者の方が有利になりがちな軽量級だけに、史上初の同門4人によるメダル独占は非常に厳しい状況となった。

07下から得意のラッソーを作るソドレ。サイドにパスを仕掛けるバホスと、それを防ぐソドレの攻防。ここでバホスは勢い余って場外に。意図的かどうかは分からないが、このスタンド再開によりバホスは残り1分で最後のチャンスを掴んだことになった。スコアは4-2、アドバンテージは1-1と同点だが、 ソドレはペナルティを1つ受けているので、バホスは下を取って2点取れば逆転勝ちとなるのだ。

08再開後引き込むバホス。ここで意外にもソドレ一緒に坐りこまずに上を選択。シッティングを取ったバホスは、残り25秒でソドレの左袖を引きつけると、腰をソドレの股間にすべりこませて後転しながら跳ね上げてのスイープ。そのままソドレの体勢を崩して上を取り、大逆転の4点目を獲得に成功する!!

09そのままサイドを取ったバホスは、暴れるソドレを強引に抑え込みながらマウントへ。ソドレはバホスを抱えながら強引に立ち上がって上になるが、これも(先ほどのバホスと同様)スイープとは見なされずポイントは付かず。逆にバホスにニアマウントのアドバンテージが与えられた。

10そのままバホスは、残りの5秒間ソドレをクローズドガードに入れたままタイムアップに。土壇場で神懸かり的ともいえるスイープを決めたバホスが、大逆転勝利で準決勝進出を決めた。

ソドレ得意のラッソーからのスイープをもらわず逆に何度も上から攻め込んでみせ、場外逃げもきっちり防いだバホスは、嶋田裕太ができなかったことをことごとくソドレ相手に遂行したこととなる。その上で、初戦のソウザ戦でも発揮した、終盤の勝負所で相手を制しきるスクランブルの強さと執念──33歳のバホスの戦いは、世界を目指す全ての柔術家が見倣うべき要素が詰まっていた。

11この階級のその他のブラケットでは、パウロとジョアオのミヤオ兄弟、イアゴ・ジョルジの3人が順当に勝ち上がった。その結果、バホスを含めたシセロ・コスタ4人衆による、全メダル独占クローズアウトが実現。ジョアオ・ミヤオがついにムンジアルの頂点に立つと同時に、史上初の快挙を成し遂げた。この表彰台独占の立役者、MVPは間違いなく──鬼気迫る戦いでソウザとソドレというブラジル新世代の最強戦士二人を連破した33歳の闘将、チアゴ・バホスだった。

■ ライトフェザー級リザルト
優勝 ジョアオ・ミヤオ(ブラジル)
準優勝 パウロ・ミヤオ(ブラジル)
3位 イアゴ・ジョルジ(ブラジル)、チアゴ・バホス(ブラジル)

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