【ADCC2019】健闘で終わるせるなっ!! 日本グラップリング界、無頼の身=岩本健汰のパウロ・ミヤオ戦
【写真】トライフォースを脱退、フリーとしてADCCに挑んだ岩本は、10月1日にIGLOOの所属となった(C)SATOSHI NARITA
9月28日(土・現地時間)と29日(日・同)の2日間、米国カリフォルニア州アナハイムにあるアナハイム・コンヴェンション・センターでアブダビコンバットクラブ(ADCC)主催の世界サブミッション・ファイティング選手権が行われた。2年に1度、ノーギグラップリング世界最高峰となるこの大会のプレビュー2回目は、ついに男子としては日本勢1人の参加となった岩本健汰とパウロ・ミヤオの一戦をレポートしたい。
Text by Isamu Horiuchi
<66キロ以下級一回戦/10分1R・延長5分>
パウロ・ミヤオ (ブラジル)
Def. by 5-0
岩本健汰(日本)
いきなり超大物ミヤオとの対戦を迎えた岩本は、引き込むとミヤオの右足にデラヒーバで絡み、カイオ・テハ・ストレートフットロックへ。
横向きの体勢になり強烈に入っているように見えるが、ミヤオは表情を変えず。ならばと岩本は向きを変えて腹ばいになって締め上げるが、それでもミヤオは動じない。やがて立ち上がったミヤオは、岩本のフックを手で押し下げて右足を引き抜いた。
再び下から仕掛ける岩本は、内回りからミヤオの左足を取りにいくが、ミヤオも足を引きながら回転して上を取ると、逆に岩本の左足にサドルで絡んで内ヒールに。しかし岩本もその狙いを察知して、ミヤオの絡んでくる足を押して隙間を作って足を引き抜いた。ユニティ柔術で新足関節王エディ・カミングスと練習をするミヤオに対し、日本で足関節の研究を重ねた岩本はここまで堂々渡り合っている。
その後もシッティングから絡もうとする岩本と、それに上から対処するミヤオの攻防が続く。途中ミヤオは前方に大きくダイブして首を取りにゆく動きを見せたが、岩本が首を抜いて難を逃れた。
やがて加点時間帯となる5分が近づくと、ミヤオは左右に動いて本格的にパス狙いへ。岩本の両足を重ねるようにして体重をかけてボディロックを取ったミヤオは、そのまま岩本の動きに合わせて背後にまわる。ここで5分が過ぎて加点時間帯に入ると、ミヤオはシングルフックから四の字フックに移行して、3点を先制した。
なんとか体をずらそうと動く岩本だが、ミヤオは巧みにポジションをキープされて時間が過ぎてゆく。残り2分を切ったところで岩本がうまく体をずらすと、ミヤオは宮本岩本の右腕をとっての腕十字へ。岩本は腕を伸ばされつつも回転すると、ミヤオは無理に極めに行かずにあっさり距離を取ってオープンガードに。
残り1分半でパスを狙いにゆく岩本だが、ミヤオはその左足を跳ね上げてのスイープで上を取って2点を追加する。岩本は下になりながらもミヤオの左足にデラヒーバで絡みにゆくが、ミヤオは絡んでくる右足首を上から掴んでコントロールする。
岩本はそれでも回転してミヤオの足を取りにゆくが、ミヤオは体重を掛けて絡みを緩めてから、その足を引き抜いて試合終了となった。
初めての世界の舞台にて、序盤から果敢に攻撃を仕掛けていった岩本だがミヤオの牙城を脅かすには至らず。対するミヤオは前半は岩本の仕掛けに付き合いつつも確実にさばき、加点時間開始に合わせてしっかりポイントを奪取。最高峰の地力と巧妙さを見せつけた。とはいえ、日本人選手でここまでパウロと渡り合えた選手は、過去にいただろうか。グラップラー岩本の今後を見守りたい。