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【DEEP FC2026#03】名古屋に拠点を移した濱口奏琉。おにぎり君戦へ「ファイターやから、ファイトの中で」

【写真】シン・濱口奏琉、寒天ファイトスピリットにて(C)SHOJIRO KAMEIKE

30日(金)、東京都目黒区の恵比寿ガーデンルームで開催されるDEEP FIGHT CHALLENGE2026#03のメインで、濱口奏琉がおにぎり君と対戦する。
Text by Shojiro Kameike

今年3月、DEEP大阪大会で松井優磨にTKO勝ちした濱口。試合後には「大阪を離れ、名古屋で寒天先生の下で毎日練習している」と語り、春日井”寒天”健士トレーナーと共に写真に収まった。続いて5月にはRIZIN神戸大会のオープニングファイトで砂田華杜をTKOで下している。その試合内容には、大きな変化と成長が感じられた。

さらに濱口は9月のDEEP大阪大会で本田良介と対戦する予定であったが、「練習中の怪我により欠場」と発表された。しかしその怪我は、実は選手生命を脅かすほどのものであった……。改めて今年3戦目に臨む濱口が、名古屋に拠点を移した理由、その効果、本田戦を欠場した要因と、今後を見据えたおにぎり君との対戦について語る。


寒天さんが引き出してくれました。自分の武器も、やるべきことも全部明確になって

――今年3月、DEEP大阪大会の松井優磨戦でセコンドに春日井”寒天”健士さんがセコンドに就いていた時は驚きました。名古屋に拠点を移したのは、いつのことだったのですか。

所属は「フリー」となっている濱口だが、現在の練習拠点は寒天ファイトスピリットジムに(C)SHOJIRO KAMEIKE

「去年の10月ですね。9月の力也戦で負けるまでは1年半ぐらい、ずっとプーケットのタイガームエタイと日本を行き来していたんです。自分で考えて、向こうに懸ける想いでやっていました。でも力也戦で打ちのめされた気がして……。

それで、どうしようかと人に相談していた時に、東京に行く案も出たんですよ。でも僕は東京とか、そういうシティを好む人間ではなくて(苦笑)。東京はしんどいなぁと思っていたら『名古屋はどうか』と。『一度、寒天さんのところに行ってみれば?』と言われて、一回来てみた時に『コレやな』と思って、すぐ移り住みました」

――なるほど。拠点を移すキッカケとなった力也戦では、何が自分に足りないと思ったのでしょうか。

「う~ん……タイガームエタイでは、メッチャ良い練習ができていたし、メッチャ良い技術も習得できていたんですよ。でも日本で試合をする時に、ジムで見てもらっていたコーチがセコンドに就いてくれるわけじゃない。僕が求めていたのは、試合に向けて一緒に創り込んできたものを、試合で出すことやったので。そうなるとやっぱり日本のジムのほうが良いかな、とは思いました。

もちろん刺激を入れるために海外へ行って、新しいものを摂り入れたり、リフレッシュしながらトレーニングするのは良いことだと思うんです。でも試合に向けて創り込んでいくという時に一緒にできる人が良いなぁと考えていたら、『寒天さんのところが良いんじゃないか』と言われて」

――東京に行くとフライ級の選手が多く、一緒に練習していれば対戦しづらくなるケースもありますね。

「そういうことも考えたんです。ただ、名古屋にはDEEPフライ級王者の村元友太郎さんがいるじゃないですか。でも今はそういうことを気にしている立ち位置じゃない。強い先輩らと練習することで日々、自分の実力も分かるし。いざ対戦する日が来たら、その時に考えたらエェんかなと思って」

――では寒天さんの指導について、どのような点で『コレやな』と思ったのですか。

「全部、ですね。今までやってこうへんかったこと、考えてこうへんかったことを毎日学べているというか。毎日2人で『ああでもない、こうでもない』と喋って、創り込んでいけることが一番大きいです。

今年に入ってからの変化を見ると、どれだけ試合に向けて寒天トレーナーと2人で創り込んでいるかが分かる(C)SHOJIRO KAMEIKE

あとはメンタル――よく寒天さんも、いろんなところで言っていますよね。今までは仲間も先生もおったけど、独りで戦っている気がする時もあって。そうなると戦う時の恐怖とかもありました。でも今は『こういう人が近くにいてくれている』というメンタル面も大きいですね」

――活動の拠点を名古屋に移した効果は早速、3月の松井戦で表れていたように思います。ハッキリとした形でファイトスタイルも変わっていて。

「はい。DEEPで戦っていて、よく天才だとかエリートだと言われていました。でも自分はそうだとは思っていなくて。自分で言うのもアレやけど、自分なりにメッチャ努力してきて――その自信を試合で出せるようになってきたんです。いつも試合だと思いながら練習して、試合でも練習通りの動きを出す。そういう点が松井戦から変わってきましたね」

――よくスポーツで、アマチュアで活躍した選手がプロになると「アマチュアエリート」という表現をされます。

「あぁ、そうですね」

――濱口選手の場合、空手とレスリングの実績があるために「アマチュアエリート」のような言い方をされることがあったかもしれません。実際、プロデビュー以降もそのベースを生かして試合に臨んできた。ただ、その個々の要素をMMAに落とし込むことができていなかったのではないか、と。持っている道具を持て余していた、と言いますか。

「そう、そうなんです。ホンマにそれを寒天さんが引き出してくれました。自分の武器も、やるべきことも全部明確になって」

他のプランもあるけど、まずは自分のやりたいことを相手に押しつける

――松井戦、さらに5月の砂田戦も、分かりやすく言えば「倒してブン殴る」。相手のタイプによって戦略も変わってくるとは思いますが、何より勝利するための最適解を試合で表現できていました。

松井戦ではダウンを喫しても、腕や足を狙われても、とにかくポジションを許さず殴り続けてTKO勝利。表情からも集中力の高さが分かる(C)SHOJIRO KAMEIKE

「2試合とも、いろんなプランがありました。でも試合に集中しきって――まさに寒天さんが言う『全集中』ですよね。MMAって生ものやから、何が起こるか分からないじゃないですか。だから、その場その場でしっかり反応して戦う。他のプランもあるけど、まずは自分のやりたいことを相手に押しつける。相手がこう動くから自分はこう動くとか、ではなく」

――はい。

「自分がやりたいことを全部、どんどん出していく。だから2試合とも、しっかりとフィニッシュすることができたし、次の試合でも絶対にそうなると思っています」

――きっと濱口選手は器用なのだと思います。だから試合中に「あれもできる。これもできる」と考えてしまい、結果的にうまくいかない。ざっくりと言えば、器用貧乏だったのではないか、と。

「アハハハ、ホンマにそうですね。でもそれって、要は器用じゃなくて不器用なんですよ。寒天さんのところに来てからも、いろんな引き出しを増やしてきました。ただ自分がやっていることを、自分でも理解できるようになったのは良かったです」

――結果、3月と5月で連勝し、ここからどんどん試合をしていくのかと思っていましたが……網膜剥離を発症したと聞きました。

「そうなんです。本田さんとの試合が決まってから1週間ぐらいして、網膜剥離だということが分かりました。5月のRIZINの試合が終わったあとも、いつ次のオファーが来ても良いように、ずっと練習していたんですよ。でもちょっと追い込みすぎているかなと思ったから、本田戦が決まった直後は大阪に戻り、コンタクトのある練習は控えていて。それで名古屋に戻る日、朝起きたら視界が半分ぐらいになっていたんですよね」

――……。

「名古屋に着いてから病院に行ったら、網膜剥離ですぐ手術になりました。とにかくショックで、病院の先生も『競技復帰はどうか……』みたいな感じで。でも自分はファイターやし、ここで諦めたくない。だからしっかり休んで、治療して。そうしたら1カ月半ぐらいで回復してきて、病院からもOKが出たんです。それで今回の試合を決めました」

――OKが出て、すぐに。

「はい。今年は4戦ぐらいやりたくて、できれば早く試合がしたい。DEEPで10月末に大会があるというので、急きょ『やります』と伝えました」

――とはいえ網膜剥離の発症から、これだけ短い期間で復帰できるのは驚きです。

「医療の発達って凄いですよね。ホンマに凄いです。自分でも……引退まではいけへんでも、長期離脱になるかなと思っていて。それが意外と回復も早くて、もちろん怖さもあったけど今はバンバン練習できているし」

今年は大晦日を目標にやってきて、諦めたくなったから10月30日に試合することを決めました

――こうお話を聞いていて、ようやく理解できました。「DEEP FIGHT CHALLENGE」は若いファイターやキャリアの浅い選手を対象とした大会です。なぜ濱口選手が出場するのか、と。

「とにかく試合がしたかったんです。だからずっと練習して、体重も調整していましたし。試合が発表されてから『ここでこのカード!?』と言う意見もありました。でも僕の仕事は、しっかりフィニッシュして勝つことで次に繋げる。今は相手のこととかは意識せず、自分の思い通りの試合をして、どんどんアピールしていくことが大切なのかな、と思っています。そうしたら、上に行くマッチメイクを組まざるを得ない存在になっていくはずで。自分は別にトラッシュトークもできないから、実力でアピールしていくしかないです」

――その対戦相手、おにぎり君選手の印象を教えてください。

「いやぁ……前はなんか騒いでいた子、って感じでしたね。大晦日のMMA甲子園決勝に出たり、前田吉朗さんと試合したりとか。最近は大人しい感じがあって――ホンモノの強さを見せつけたいです」

――今年4戦したいということは、おにぎり君戦で勝利してもう1試合……。

濱口の練習後にインタビューを行っている間、寒天氏もトレーニングし続けていた(C)SHOJIRO KAMEIKE

「次の試合も1Rでフィニッシュすると、今年は3連勝すべて1Rフィニッシュで。相手はどうあれ誰も文句のない成績やと思うし、どんなチャンスが来るか分からへんけど、しっかりとアピールはしておきたいですよね」

――となれば名古屋を拠点としているだけに、大晦日を目標としているのでしょうか。

「そうですね。今年はそこを目標にやってきて、諦めたくなったから10月30日に試合することを決めました。さっき言った通り試合前のトラッシュトークじゃなく、入場から試合が終わるまでの間に魅せたいです。ファイターやから、ファイトの中で」

■DEEP FIGHT CHALLENGE2026#03

<58キロ契約/5分3R>
濱口奏琉(日本)
おにぎり君(日本)

<バンタム級/5分2R>
井上セナ(日本)
ルシア山内(日本)

<フェザー級/5分2R>
菊川イサム(日本)
佐々木琢磨(日本)

<59キロ契約/5分2R>
MAHIRO(日本)
左京(日本)

<アマチュア バンタム級/3分2R>
矢代光(日本)
田中悠翔(日本)

<アマチュア ストロー級/3分2R>
ショーン・ホマレー(日本)
古屋優羽(日本)

<アマチュア フェザー級/3分2R>
齋藤大成(日本)
岩谷将平(日本)

<アマチュア フライ級/3分2R>
中山にんにく(日本)
キングフィッシャー(日本)

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