【DEEP JEWELS54】1年4カ月振りの復帰戦。重田ホノカ、対戦相手ののかは「過去の自分を見ているようで」
【写真】笑顔に辿り着くまでに、様々な葛藤があった。だからこそ今、重田ホノカはここにいる(C)SHOJIRO KAMEIKE
6日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるDEEP JEWELS54で重田ホノカが、ののかと対戦する。
Text by Shojiro Kameike
2023年4月にストロー級でプロデビューした重田は、4連勝で2024年3月には端貴代を下し、フライ級QOPの座に就いた。しかし同年7月の初防衛戦で杉山しずかにベルトを奪われてしまう。その10カ月後、重田が選択したのはDEEPジュエルスでの戦いだった。
ところが49キロ契約で組まれたHIME戦で計量オーバー。試合でも腕ひしぎ腕固めを極められ、キャリア2連敗を喫する。あれから1年4カ月、重田がDEEPジュエルスのケージに戻ってくることとなった。自身の精神のこと、肉体のことを向き合いながら、彼女が再び戦うことを選んだ理由とは何か。重田が2025年と2026年9月までの全て――そして「過去の自分を見ているよう」と、ののか戦について語る。
試合も負けて、怪我もあったので――手術して治してから復帰しよう、と
――重田選手にとって2025年は、様々なことが起こったと思います。まずはHIME戦について……あの試合は初のDEEPジュエルス参戦で、試合前のインタビューでもかなり気合いの入ったコメントもありました。その一戦が計量オーバーで、敗戦に終わった件について教えてもらえますか。
「あの試合は49キロ契約で、筋量的に無理だったという感じですね。減量で体も薄くなりきって、水抜きの時も全く汗が出ない状態になっていました。それで焦って、焦ると余計に汗も出ないし、眠気も出て来たし。でも寝ても体重は落ちない。最初は(浅倉)カンナさんに付いてもらっていたけど、落ちないから鶴屋(浩)先生にも連絡して。最後まで最後まで粘っても落ちませんでした。あの時は『終わった……』と思いましたね」
――デビュー当時はストロー級で戦っていた重田選手です。それが49キロまで落とせなかった要因の一つに、しばらくの間フライ級で戦うために体をつくっていた影響はありますか。
「ウェイトトレーニングもしていたし、一度体を大きくしていた分、減量がキツくなっていたところはあると思います。もともとジュエルス側にも『ストロー級で戦いたい』と提案していたけど、なかなか相手がいなくて。去年は最初、3月に50キロ契約でHIME選手と試合をする予定でした。でも私の負傷(※練習中に左ヒザを負傷していた)で試合が流れてしまって、5月に49キロ契約ならできるという話になったんですね。自分としても試合がしたいし、RIZINの女子は49キロ(女子スーパーアトム級)なので、RIZINのことも想定して落としてみようという挑戦だったんですよね。でも落とせずに、私に49キロは無理だなと思いました」
――……。
「試合も負けて、怪我もあったので――手術して治してから復帰しよう、と」
――SNSにはHIME戦後にタイのバンタオが練習している姿が投稿され、「そろそろ復帰」という旨のポストがあったあと、肩の手術のために入院しているとの写真をアップしていました。まさに山あり谷ありの2025年で。
「まず私は皮膚が悪くて、今も症状が出ているんです(※昨年、『多形滲出性紅斑』という皮膚疾患を持っていることを公表している)。どうしても激しい練習をすると、症状が出てきてしまって……。去年の11月に試合をする予定だったけど、症状もひどくて完全に治したほうが良いと思ったんですね。
それと一緒に肩も治そう、と。肩は2~3年前ぐらいから状態は悪かったんです。オーバーフックの時に下から煽られるだけで亜脱臼したりとか、もともと手術しないと治らないような爆弾を抱えていたんですよ。プロデビューからずっと勝っていて流れも良かったから、そのままにしちゃっていて。でも去年の末に仕切り直しの意味もあって、ちゃんと手術することにしました」
――なるほど。まずHIME戦のあと、どれくらいの期間バンタオに行っていたのでしょうか。
「1カ月ぐらい行っていましたね。計量もクリアできず、試合も負けて……どうしたら良いのかな、と思ったんですよ。それで今までは自分のジム(THE BLACKBELT JAPAN)でしか練習したことがなかったから、違う場所に行ったら何か違う刺激があるかな、と。実際、良い刺激にはなりました。いろんな国の人がいて、いろんなタイプの人がいて(笑)」
――いろんなタイプの人、とは?
「練習が終わってもずっとジムに居座って自分だけ練習している人、練習の強度がおかしい人とか。暑いからか女性もスポーツブラだけでウロウロしていたり、信じられないぐらいムキムキの人がいて――世界には凄い人がいるんだな、って刺激をもらいました」
ストロー級で戦ったら一番パフォーマンスが出せる。体も軽いし、調子が良いという自信があります
――刺激をもらって帰国し、再起への道を歩み始めるわけですね。
「DEEPジュエルスさんからオファーを頂いて、試合に出るって返事しました。でも練習しているうちにまた症状が出始めて、いろいろあったしDEEPジュエルスさんにも『ご迷惑をおかけして申し訳ないですけど一度、長期休ませてください』とお願いしたんです。グダグダな感じのまま続けていたから、この流れを一度切らないといけないなと思って。まずは肩が治るまで休もう、と。
その間にも、いろいろと考えて。日本の女子MMAの流れがイマイチ分からず、今後はどうしていったら良いのかなと思っていました」
――日本の女子MMAの流れといいますか、それは女子ストロー級という階級の課題でもあるかもしれません。日本ではスーパーアトム級=49キロが主流となっており、海外でもストロー級で試合ができる機会はない。それこそ「女子ストロー級はUFC以外、なかなか試合をする場がない」という人もいます。かといって今すぐUFCで戦えるわけもなく。
「……はい。そこでいきなり、もしUFCと契約したとしても絶対に勝てない。日本でもバンタオでもUFC、PFL、LFAに出ている選手と練習したことがあるんです。グラップリングはまだある程度できたとしても、打撃の発想が全く違っていて。試合を視ても、『なんて私はレベルが低いんだ』って絶望しか感じないですもん。悲しくなるし、自分のレベルを考えたら『海外で戦いたい』なんて言えないです」
――だからこそ、もどかしい気持ちはなかったですか。グラップリングを鍛える。打撃の発想を変えるという方法論はあったとしても、自分のコンディションという壁が存在していて。
「そういう気持ちはありました。ハードワークできる心はあっても、体がついてこないんですよね。『若いからできるでしょ』と言われることもあるけど、生まれ持った耐久性ってあるじゃないですか。ハードワークを続けると壊れるから。やりたくない、というわけじゃない。でも壊れちゃうから……と、次の一歩を踏み込むことができなくて」
――「やりたくない」ではなく「やりたいのに、できない」のほうが、心にはキツイですよね。上を目指していれば、目指すほど。
「それがキツイです。体の調子もおかしいし、不安障害にもなっちゃって……。そこから生活や練習の時間とかも変えてきたら、気持ちの面は良くなってきました」
――であれば、個人的にはストロー級の重田選手をもう一度見たいと思っています。次の試合は54キロ契約で、フライ級や49キロよりもベストウェイトに近いのではないか、と。
「ストロー級で戦ったら一番パフォーマンスが出せる。体も軽いし、調子が良いという自信があります。だから……いろいろ考えたけど、もう一度ストロー級で試合してみたいっていう気持ちがあって。実は今回も、私のことを心配してくれて54キロ契約にしてくれたんですよ。久々の減量だし、54キロ契約のほうがありがたいと思って受けました」
相手が過去の自分に似ているからこそ『今の私はできるんだぞ』っていうところを見せたい
――ではここまで、勝つために最も気をつけてきたものは何ですか。
「……健康(笑)。怪我しないこと、そんなに落ち込まないこと――やれることはやってきたので、良いパフォーマンスは出せるんじゃないかと思っています。辛いこともあるけど、そんなに先のことは考えず、次の試合のことに集中していたら1日1日、出し切ることができる。それだけストレスも少なくなって、気持ちも晴れてきましたね」
――それは良かったです! 次の試合で対戦する、ののか選手の印象を教えてください。
「フィジカルが強いですよね。なんだか……過去の自分を見ているようで」
――というと?
「私はもともと打撃ができなくて、とにかく組みに行く。切られても組みに行く、というファイトスタイルでした。(ののかは)まさに過去の自分を見ているようなんですね。今はテイクダウンが取れて、スクランブルでも勝てて、柔道出身だから押さえ込みが強くてトップキープはできる。でも、それだけじゃ通用しなくなってくるんですよ。なんとか組みでしがみついて、腕がパンパンになっても根性で戦い続ける――そのスタイルでは、どこかで壁にぶつかってしまう。
私は先にそういう経験をしてきたし、だから私は打撃の練習をしてきたし、いろんなところを変えてきました。次の試合は、過去の自分と戦うような感じですね。相手が過去の自分に似ているからこそ『今の私はできるんだぞ』っていうところを見せたいですね」
■視聴方法(予定)
9月6日(日)
午後5時10分~U-NEXT、DEEP/DEEP JEWELS YouTubeチャンネル メンバーシップ
■DEEP JEWELS54対戦カード
<49キロ契約/5分3R>
彩綺(日本)
竹林エル(日本)
<54キロ契約/5分3R>
ののか(日本)
重田ほのか(日本)
<49キロ契約/5分2R>
海咲イルカ(日本)
古瀬美月(日本)
<ストロー級/5分2R>
桐生祐子(日本)
横瀬友愛(日本)
<ミクロ級/5分2R>
大井すず(日本)
知名眞陽菜(日本)
<49キロ契約/5分2R>
サラ(日本)
渡邊花美(日本)
<ストロー級/5分2R>
アラミ(日本)
堀内美沙紀(日本)
<50キロ契約/5分2R>
横瀬美久(日本)
Marin(日本)
<ストロー級/5分2R>
堀井かりん(日本)
JUICY(日本)
<アマチュア54キロ契約 /3分2R>
あきぴ(日本)
セアリ(日本)
<アマチュア・ストロー級/3分2R>
あきぴ(日本)
村松美直(日本)
<アマチュア50キロ契約/3分2R>
横江明日香(日本)
谷山心優(日本)
<アマチュア50キロ契約/3分2R>
和智美音(日本)
山内梨緒(日本)



















