この星の格闘技を追いかける

【SUPER RIZIN05】大一番へ、ダウトベック。笑顔を見せない理由と平本蓮との一戦「彼は何も特別ではない」

【写真】インタビュー後半で「笑顔」が話題となり、極上の笑みを見せた時の1/10でも良いのでスクショでも笑顔を見せて欲しいというリクエストの際に浮かべた――微笑。試合、勝利に向けて戦う精密機械と化していくなかで、カルシャガが少し見せてくれた人間味だった (C)MMAPLANET

10日(木)、大阪市西区の京セラドーム大阪で開催される超RIZIN05で平本蓮とカルシャガ・ダウトベックが対戦する。
Text by Manabu Takashima

2024年6月に5年9カ月振りのRIZINに再来日を果たして以来、短期間でのハードファイトで2度欠場を経験しながら5連勝(1NC)、フェザー級戦線で結果を残し続けている。ラジャブアリ・シェイドゥラエフ、イルホム・ノジモフと共に中央アジア旋風を巻き起こしたダウトベックは、インタビューで発せられる言葉は、拳と同様に質実剛健そのものだ。

インタビュー終盤前までのダウトベックの表情

取材中はおろか、試合後も笑顔を浮かべることすら少ないダウトベックと触れる機会が多い関係者が、度肝を抜かれるほどの笑顔を見せた瞬間について尋ねた。

そしてポーカーフェイスと淡々とした発言の裏には、勝利に向かい一点のズレすら許さない意志の強さが存在することが分かった。


平本のMMAレコードは少ないけど、レコードがリングやケージの中で武器になることはない

――約2週間後に平本蓮選手と戦います。今の調子はいかがでしょうか。

「今は自分の街で調整をしていて、凄く良い感じだよ。きっと良い試合ができるだろう」

――今日は日曜日なのですが、多くの選手と同様にカルシャガも休息日としているのでしょうか。

「そうだね。日曜日はリカバリーに当てている。練習は休みで、サウナに行って体の回復に努めていた」

(C)RIZIN FF

――7月に萩原京平選手をKOで破りましたが、あの試合のパフォーマンスについて自身ではどのように捉えていますか。

「思った通りの試合に持ち込めたから、満足はしている。ただし、ファイターは常に成長しないといけない。そういう面でも、あの試合でもミスはあった。そういうミスを無くしていかないといけない。でも全体的にパフォーマンスは悪くなかったと思っている」

――そのミスとは、どういうところだったのでしょうか。

「大きなミステイクはなかったとは思っている。勝負に大きな影響を及ぼすことはなかった。ただ減量に関しては、見直すべき点がある。その準備からして、考える必要があるとは思っている。でも些細なことだよ」

――かなり前足をカーフで蹴られていました。試合中は表情に見せていなかったと思いますが、ダメージはなかったでしょうか。

「少しダメージはあった。帰国した時も、その痛みは残っていたけど今は全く問題ない。あの程度だと少し時間をおけば問題ないし、今回の試合には全く影響はなかったよ」

――押忍。そして萩原戦のあと、2日後には平本選手との対戦が発表されました。当初から萩原戦に勝てば、平本選手と戦うという話はあったのでしょうか。

「ヒラモトと戦う可能性があるという話は、ハギワラとの試合の前に聞かされていた。勝った方がヒラモトと戦うことになるだろうという感じで。でも試合でケガをするかもしれないし、それなりのパフォーマンスが必要なことも分かっていた。あの勝ち方ができたから、ヒラモトと戦うことになると確信したよ。

そしてRIZINが帰国便のチケットを変更して、記者会見に出席することになった。会見があることは、ハギワラに勝つ前は知らなかった」

――相当な規模の記者会見で、ファンも大いに盛り上がっていました。

「RIZINでは、ああいうプレスカンファレンスに出たのは初めてだけど別の団体で、あの規模の会見は経験している。いずれにしても、RIZINの会見はハイレベルだった」

――今回は京セラドームというインドア・ベースボール・スタジアムでのビッグショーです。そこに関して、何か想うところはありますか。多くのファイターが出場を希望しても、あの場で戦うことができるのは一握りで、その1人がカルシャガです。

「RIZINが自分に、それだけの大きなイベントで戦う機会を与えてくれたことはとても感謝している。自分のキャリアでも、非常に重要な試合になるだろう。でも、今はそういうことは考えないようにしている。この大会で戦うことが自分にとって、どれだけ大切なのか。そこを考えるのは、ファイトが終わってからにするよ」

――では、その京セラドームで対戦する平本選手ですが。MMAでは戦績4勝3敗ですが、その知名度の高さは抜群です。

(C)RIZIN FF

「対戦相手に関しては、常に尊敬している。ヒラモトも例外ではない。でも、尊敬していると同時に対戦相手の戦績を気にしたこともないんだ。確かにヒラモトのMMAレコードは少ないけど、レコードがリングやケージの中で武器になることはない。ファイターは数字で戦うモノではないから。そんなことに関係なく、どの相手も強い。そしてヒラモトに関しても、過去最強の状態でリングに上がって欲しいと思っている。そうなれば、彼は過去イチのタフな相手になるに違いない。

何より、過去最強の相手と戦うつもりでこの試合に向けて準備をしてきた。それが自分のファイトに対する向かい合い方なんだ。絶対的にシビアに考えてきた。彼がそれだけの能力を持っていると想定して準備をしてきたよ」

明確な意図をもって、平本を倒すことができる

――平本選手は過去2年間、試合をしていないです。仮にカルシャガが2年間試合をしていないとすれば、試合勘が戻るかなど不安を感じることはないでしょうか。

「つまりはヒラモトも、そうかもしれないと言いたいわけだよね」

――ハイ。

「そこに関していえば、ヒラモトがこの試合に向けてどのような気持ちでいるかは全く関係ない。全く自分には関係のないことだ。彼がケガをして、2年間試合をしてこなかった。そこに自分が関与しようがない。その影響があるかどうかも、考える必要はない。自分がこの試合に向けてやるべきことは、ベストの状態に仕上げることだからね。

仮にヒラモトが長期欠場やケガの影響で、何か精神的に問題があるようなら、それはリングで分かることだ。今は彼の状態を考える必要は一切ない」

――全くその通りですね。愚問でした。では純粋にMMAファイターとして、平本選手の打撃のスキルをどのように評価していますか。

「彼はK-1で活躍してきたキックボクサーだ。ただしボクシングもキックボクシングも、MMAとは違う。当然、求められる打撃スキルも別ものだ。そこを踏まえて、平本の打撃はMMAにおいても既に質が高い。MMA打撃として、どの局面でも高レベルにある。

ただし、特別ではない。これまでの対戦相手と比較して、特別に秀でているわけではない。彼は何も特別ではない――と、言わせてもらうよ。僕の打撃に自信を持っている。彼とはMMAの経験値も違う。明確な意図をもって、ヒラモトを倒すことができる。そうできる自信があるんだ。

彼がそれ以上に成長しているかどうかも、実際のファイトで確認することになる。それでもMMAにおける打撃という部分において、自分の方が上だということを戦いの中で示す。それがこの試合で、自分のやるべきことだ」

取材も勝利に向かう道程だ。いやファイトの一環、ファイトの一部だ。だから笑顔になったり、温和な一面を出すことはない。もう戦いは始まっている

――もし良ければ、全然シビアに考えなくて欲しくないのですが、一つ、カルシャガに尋ねたいことがあります。少し試合から離れる話題になっても良いでしょうか。

「構わないよ」

――カルシャガは試合中も取材中も表情が変わることがないです。きっと、勝利を手にするためにそこを重要視しているのだと思います。ただRIZINで戦うようになった当初、今よりも我々のなかでは微笑と表現する程度で、笑みを浮かべることがありました。そして会場で顔を合わせた時も、静かに笑みをたたえていることもあります。

(※ ここで少し、笑みを浮かべる)

柏木信吾氏を唖然とあせたダウトベックの笑顔(C)RIZIN FF

――それが最近では取材中に微笑を見せることもなくなっていました。個性だと捉えていますが、広島大会でRIZIN広報の横島加奈さんに向けたカルシャガの笑顔と言ったら……。カルシャガの人間性をどうすればインタビューで伝えることができるのかと、いつも相談に乗ってくれている柏木(信吾)さんから『なんですか、この笑みは』と写真が送られてきて……唖然としました(笑)。

(この時点で通訳をしてくれたダウトベックのマネージャー=サヤット・アブラクマノフ氏――常に沈着冷静な彼が声に出して笑う。そして、ダウトベックに伝える)

横島広報の話題になった時のZOOMの向こうで見せた満面の笑み

「アハハハハ。自分も女性とデートした時には、温和でジョークを言ったり、笑ったりする普通の男だよ。ただし、試合が決まるとフルタイムでファイターになる。試合に向けたインタビューは、精神的にもファイトに通じている。取材も勝利に向かう道程だ。いやファイトの一環、ファイトの一部だ。だから笑顔になったり、温和な一面を出すことはない。もう戦いは始まっているからね。

おまけで――こんな笑顔の持ち主なわけです(C)RIZIN FF

『勝利を手にするためにそこを重要視している』と言ってくれたように、これは本当に大切なことなんだ。試合に向けて、感情に揺さぶりが出ないようにすること。常に落ち着いていないと、リングでも感情がブレてしまう。冷静に戦い続けることは、絶対的に自分の武器でもあって。感情的にならないことで、勝利に近づけると思っている。

でも、そこまでダイレクトに言ってくれるなら、君と彼女には笑顔を見せるようにするよ(微笑)」

――ハハハハ。そこは横島さんだけにしてください。自分に笑みをくれるよりも、ベストパフォーマンスをしてほしいですから。では今回の平本選手とのビッグファイト、改めて意気込みを聞かせてください。

「これもいつも通りだけど、会場やPPVで少しでも多くのファンに試合を見て欲しい。凄く順調に調整ができていて、その成果を全力で皆に見てもらいたい。ファンが楽しめる試合をして、絶対に勝利を手にするつもりだ」

――可能でしたら、最後にラジャブアリ・シェイドゥラエフとAJ・マッキーのWタイトル戦の予想をしてもらえないでしょうか。

「ラジャブアリに勝ってほしい。でも簡単ではなく、物凄くタフで接戦になるだろう」

■視聴方法(予定)
9月10日(木)
午後3時~ ABEMA、RIZIN LIVE、RIZIN100CLUB、スカパー!

■SUPER RIZIN05対戦カード

<RIZIN&PFLフェザー級選手権試合/5分3R>
[RIZIN王者]ラジャブアリ・シェイドゥラエフ(キルギス)
AJ・マッキーJr(米国)

<ライト級/5分3R>
朝倉未来(日本)
青木真也(日本)

<ライト級/5分3R>
ホベルト・サトシ・ソウザ(ブラジル)
野村駿太(日本)

<フェザー級/5分3R>
カルシャガ・ダウトベック(カザフスタン)
平本蓮(日本)

<フェザー級/5分3R>
斎藤裕(日本)
YA-MAN(日本)

<フェザー級/5分3R>
ヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)
高木凌(日本)

<女子スーパーアトム級/5分3R>
RENA(日本)
ナターシャ・クジュティナ(ロシア)

<キック71キロ契約/3分3R>
ブラックパンサー・ベイノア(米国)
宇佐美秀メイソン(日本)

PR
PR

関連記事

Movie