この星の格闘技を追いかける

【HEAT59】アビラルとISKA世界王座決定戦、マッサン・コイナード「ケージはMMAで戦ったことがある」

【写真】ショートノーティスで来日、体を動かしている中でこの笑顔を向けてくれるナイスガイ(C)ISKA JAPAN

5日(土)、愛知県刈谷市の刈谷市産業振興センターあいおいホールで開催されるHEAT59で、フランスのマッサン・コイナードがアビラル・ヒマラヤン・チーターとISKA世界スーパーウェルター級(※70キロ)王座決定戦を戦う。
Text by Manabu Takashima

本来は中国のリ・ボリンが、アビラルと対戦予定だったが欠場となり、急遽コイナードの出場が決まった。1週間のショートノーティス、20時間の飛行機の旅を経て名古屋にやってきたコイナードは、到着と同時にジョグで汗を流しに出た。

そしてMMAPLANETのインタビューに応じてくれた。キャリア41戦、31勝9敗1分け――17のKO勝ちを誇る元レスラーで、MMAでもチャンピオン、キックの元ISKA世界ライトウェルター級王者からは、「日本で成功を収める」という鉄の意志が感じられた。


この1週間でやるべきことは『創る』ではなく『選ぶ』ことだったよ

――5日に開催されるHEAT59に急遽出場することとなりました。今日、来日したと聞いていますが、今の体調はいかがですか。

「良い感じだよ。僕の体は、この移動にもちゃんと耐えてくれた(笑)。ここからは時差の調整をするだけで、土曜日までにそこも解決できるだろう。それこそ、この試合が決まってから体を動かし始めたわけじゃない。ずっとトレーニングをしている時に、オファーが来ただけで。ゼロから体を創るのではなく、もともとあった状態に調整を少し加えるだけだったからね」

――マッサンが所属するTeam GimenezはAlesという街にあると聞いていますが、どのような経由で名古屋までやってきたのでしょうか。

「1日にマルセイユの空港を出て、パリ、羽田、そして名古屋というルートでやってきた。ドア・トゥ・ドアで20時間ぐらいか。コーナーに就いてくれるトム・ベルタンと一緒に行動をしていたし、2人でいると時間の過ぎ方も1人とは違うからね」

――今回、ISKA世界スーパーウェルター級王座を賭けて、アビラルと対戦することとなりましたが、オファーがあったのはいつ頃だったのでしょうか。

「先週の土曜日だよ。ちょうど、ファイトの1週間前だ」

――そして月曜日にフランスを離れたと!!

「そうだね。元は違う選手がアビラルと戦う予定だったけど、欠場になって僕に話が回ってきた。もちろん、『戦う』と即答したよ。日本でISKAの世界タイトルに挑戦できるチャンスだし、3日も4日も考えている場合じゃなかったよ(笑)」

――とはいえショートノーティスで、長旅も含まれていて躊躇することはなかったですか。

「まさか。『ここだ』って思っただけさ。そのために毎日、ハードなトレーニングをこなしてきてきたんだ。オファーを受けて、『準備はできているか?』なんて考える必要もない。自分の体のことは、自分が一番分かっている。周囲の人間も『無茶だろう』なんて思っていたみたいだけどね。1週間後に相手のホーム、地球の反対側にまで移動して戦うわけだから。でも僕のなかでは『ここしかない』と思ったよ。これこそ、なぜ僕がファイターなのかの真価が問われる。ファイターが試されるのは、居心地の良い状態にある時ではないからね」

――素晴らしい意気込みです。とはいえこの短期間で、対策を講じる時間も限られてはいたと思います。

「さっきも言ったように、日々トレーニングをしてきた。だから、この1週間でやるべきことは『創る』ではなく『選ぶ』ことだったよ。やるべきことをシンプルにして、距離感を養う。と同時にアビラルの試合はしっかりとチェックした。彼のことを研究するというより、穴を探すことに努めてきたよ」

決まったパターンがない。何が、どこから、いつ来るのか分からない。それが僕の戦い方だ

――ところでマッサンのことをほとんど知りません。キックボクシングを始めたのは、いつ頃なのでしょうか。

「2019年だよ。それまでレスリングをやっていたけど、打撃をやりたかったからキックボクシングに転向したんだ」

――もとはレスラーだったのですか。

「そうだよ。レスリングで学んだことは、足の使い方や組みの強さ、プレッシャーの掛け方、そのなかで動き続けるスタミナと凄く生きている。でも打撃をやり始めると、もうレスリングに戻ることなかったね」

――フランスはムエタイ・ルールも盛んだというイメージがありましたが、ムエタイとキックボクシング、どちらを得意としているのでしょうか。

(C)ISKA JAPAN

「僕のスタイルはK-1だよ。そう日本で生まれたスタイルだ。スピーディーで、ダイレクトにKOを狙うファイトが僕には合っている。僕はマサアキ・ノイリ(野杁正明)とか、大好きなファイターなんだ。彼のようなスタイルを自分のモノにしたいと思ってキックをやってきた。だから日本で、このルールで戦えることになったのは、何も偶然じゃないと思っている。日本こそ、僕の居場所のはずだから」

――それだけ日本のキックに思い入れがあるマッサンですが、持ち味をアピールしてもらえないでしょうか。

「僕は待って戦うタイプのキックボクサーじゃない。パワフルなサウスポーで、打たれ強い。17のKO勝ちのうち、9試合は初回で勝っている。ただ本当の武器は、相手が予測できない戦いをすることだと思っている。決まったパターンがない。何が、どこから、いつ来るのか分からない。それが僕の戦い方だ。対戦相手は対策を立てることも、困難だと思うよ」

――今回、ケージで戦うことになります。

「ケージはMMAで戦ったことがあるから問題ないよ」

――えっ、MMAの経験もあるのですか。

「MMAはプロで5試合戦っている。3勝2敗。2試合は一本勝ちし、負けは一本とKO負けだ。Nuit Des Gladiateursではチャンピオンになっているよ」

――もう驚くばかりです。元々レスリングをしていたわけですが、キックで元ISKA 世界ライトウェルター級王者で、MMAでもベルトを巻いていると!! HEATもキックだけでなく、MMAの王座も認定していますし、同じ大会でライト級のチャンピオンをも試合をします。

「HEATからオファーがあれば、もちろんMMAだって戦うよ。ただMMAだと僕は70キロでなく、66キロのファザー級で戦っているんだ。とにかく、MMAで戦うこともオープンなので話を持ってきてほしいよ(笑)」

――押忍。もちろん、その前に今はキックの世界戦に集中しないといけないですが、リングとケージで戦い方はアジャストが必要ではないでしょうか。

「違いは特にないよ。リングもケージも、戦う場所だ。関係ない。目の前に1人の男が立っていた。そいつを倒すこと。リングやケージ、周囲の環境よりも、ずっと大切なことがある」

僕は逃げも隠れもしない。日本にベルトを取るために、戦いに来た

――では、その対戦相手アビラルの印象を教えてください。

「リアルディールだ。本物のチャンピオンだよ。これは本当に心の底から思っている。日本で10年戦っていて、HEATの王座は4度防衛。ISKAインターコンチネンタルのベルトも持っているし、オダ・ジンク(小田尋久)をKOしているからね。KO勝ちが多いのが特徴で、同時に早いラウンドから倒しにいく選手は、それだけリスクを抱えている。

だからKO負けも、まましているよね。つまり、突破口はあるということだよ」

――同じフランス人キックボクサーのアントニー・マルコニを倒して、ISKAインターコンチSウェルター級王座を獲得しています。

「あの試合は何度も見たよ。初回でKO勝ちしている。さっきも言ったように最初から一気に自分のペースに持ち込んで、アントニーに様子を見る時間を与えなかった。だから、土曜日の試合も1Rが凄く大切になってくる。ただし、アントニーはオーソドックスで、僕はサウスポーだから。

アントニーに通じた攻撃が僕に通じることはない。オーソの選手にとって、サウスポーはレンジやアングルが狂う。そこをアジャストするのに1R、2Rかかる時もある。僕はその時間を与えない。彼は僕の動きは予測できない。何が来るか、分からない。きっとパニックに陥るよ。

何より彼はタイトル、ホーム・クラウド、自分の立場を背負っている。守るものばかりだ。対して僕はチケット1枚を手に、日本にやってきた。何も失うモノはない。このメンタルの違いは大きいよ」

――土曜日はファンに、どのような試合を見せたいと思っていますか。

(C)ISKA JAPAN

「日本でISKAの世界タイトルが懸かった試合を戦う。この試合に人生を賭けている。僕の夢だった。だから、最初から全てを出して戦う。時間を掛けて戦うために日本にやってきたわけじゃないからね。

会場にいる僕のことを知らないファンの人たちが家に帰る時に、マッサン・コイナードという名前が忘れられないようになっている。そんなファイトをしたいと思う。

そしてこの試合をきっかけにまた日本で戦えるようになりたい。タイトルを取って、防衛戦を戦うために日本に戻ってくる。日本でキャリアを積んでいきたい」

――では最後に日本のファンに一言お願いします。

「まず、僕を日本に迎えてくれるHEATとそのファンに感謝している。僕のことを知らない人ばかりで、皆がアビラルを応援するだろう。

でも彼のホームだし、当然だと思っている。チャンピオンはホームで応援されるべきだしね。だから、僕が皆に伝えたいことは一つだけ。『とにかく試合を見て欲しい』。僕は逃げも隠れもしない。日本にベルトを取るために、戦いに来た。そして、今回のチャンスを生かす。この試合が最初で最後にならないように全力で戦う」

■HEAT59 対戦カード

<ISKA Kルール世界スーパーウェルター級王座決定戦/3分5R>
アビラル・ヒマラヤンチーター(ネパール)
マッサン・コイナード(フランス)

<HEATキックルール ミドル級王座決定戦/3分5R>
平山迅(日本)
シム・ヨンス(韓国)

<HEATキックルール ライト級選手権試合/3分5R>
[王者] 安川侑己(日本)
[挑戦者] 藤井重綺(日本)

<ライト級/5分3R>
岡野裕城(日本)
今井舜也(日本)

<ムエタイ(※ヒジなし) 女子49キロ契/3分3R>
小桐冬華(日本)
チョン・アヨン(韓国)

<フライ級/5分3R>
永井宏人(日本)
萩島answerたくみ(日本)

<キック 56.5キロ契約/3分3R>
後藤力(日本)
タルジョン(日本)

<バンタム級/5分3R>
萩原和飛(日本)
宮島暖斗(日本)

PR
PR

関連記事

Movie