【KNOCK OUT63】カーライルとUNLIMITED戦、木村ミノル「MMAすぎる動きをしても自分の良さが出ない」
【写真】UNLIMITEDルールと木村ミノル、どんな化学反応を起こすか(C)TAKUMI NAKAMURA
18日(土)沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開催されるKNOCK OUT63「KNOCK OUT SPRING FES in OKINAWA」で、木村“フィリップ”ミノルがUNLIMITEDルールでスパイク・カーライルと対戦する。
Text by Takumi Nakamura
KNOCK OUTとして初開催となる沖縄大会。メインイベントには地元沖縄の漁鬼とシッティチャイ・シッソンピーノンによるKNOCK OUT-BLACKスーパーウェルター級選手権試合が組まれているが、最大のサプライズは木村とカーライルのUNLIMITED戦だろう。
木村は2016年にRIZINでチャールズ・”クレイジー・ホース”・ベネットとMMAルールで対戦し、2022年にINOKI BOM-BA-YE×巌流島で矢地祐介とミックスルールを戦っているが、ベネット戦はファーストコンタクトで試合が終わり、矢地戦も1R=キックルールでの決着で終わっている。組み技・寝技への対応は未知数ではあるが、UNLIMITEDルールにおいては必要最小限のディフェンスがあれば、木村のスタンドの打撃が存分に活かされるに違いない。注目の一戦を控える木村に話を訊いた。
――木村選手、今日は久しぶりのインタビューよろしくお願いします。今回はKNOCK OUTに初参戦し、UNLIMITEDルールでスパイク・カーライルと対戦することになりました。
「自分としてはカーライルと対戦することが刺さったというか、カーライルとやれるんだったらルールは何でも大丈夫という感じでしたね」
――UNLIMITEDルールに向けた準備という意味でも、今の練習状況についても聞かせてください。木村選手にとっては昨年9月のK-1 WORLD MAX 2025 -70kg世界最強決定トーナメント1回戦でメイソン・ストロッドマンにKO勝利して以来の試合となります。ストロッドマン戦で右拳を負傷してトーナメント2回戦を欠場することとなりましたが、この間はどんな練習をしていたのですか。
「あの試合で右の拳が折れてしまったので、基本的に打撃の練習はあまりやらないようにしていて、筋トレとランニングをメインに、柔術とレスリングを軽くやる感じでしたね。試合が決まってからはサンドバックやミット打ちを再開して準備しています」
――組み技の練習はBattle-Boxでやっているのですか。
「そうですね。ここは教えてくれる人たちがめちゃくちゃすごいんで、早めに成長できているのかなと思います。僕の悪いところはちゃんと指摘してもらえるし、マンツーマンでやってもらうこともあるので。(組み技は)すごく奥深いものですが、打撃をやってきた体の強さや身体能力はアドバンテージというか、組み技でもちゃんと活きてくる感じもあるので、動き自体は悪くないかなと思います」
――Battle-Boxでは柔術はイゴール・タナベ選手、レスリングは山口海輝さん(全日本選手権65kg4度優勝や3年連続世界選手権出場など、国内外で数々の実績を残す)が指導されているんですよね。
「そうですね。今回は試合の1カ月前まで組み技とフィジカルを鍛えようと思って、筋トレをガンガンやったあとにレスリングとグラップリングだけをやって、徹底的にそこを鍛えてきたんですよ。そこでキックボクシングとは違うフィジカルをつけて、ある程度は体重も増えてきたので、今はそこをシャープにする作業に入っていますね。逆に今はキックボクシング中心の練習をしていて、一度組み技をやり込んだ分、今はキックのことだけを考えてシャープに仕上げていこうと思っています」
――なるほど。打撃・レスリング・寝技を満遍なく練習するのではなく、レスリング・寝技をやり込んで、打撃をやり込む。そこでバランスを整えていくイメージですね。
「なんか全部をちょっとずつ対策しながら練習していても、中途半端なイメージしか沸かないんですよね。だったらどちらかをがっつりやって、最終的に自分に合う形にまとめていく方がいいと思っています」
――木村選手の場合は打撃の経験値があるから、ある程度の時間があれば打撃の感覚は戻って来ると思います。
「そうなんですよね。僕が組み技対策をしまくって、まあまあ組み技が出来る選手になって出て来てもしょうがないじゃないですか。それよりも打撃をキレッキレに磨いて、切れ味鋭い打撃でいきたいですよね」
――また木村選手は昔からMMAも好きだったので、組み技がある打撃もイメージしやすいですよね。
「確かにMMA用の打撃はキックとは違いますけど、MMAそのものが好きなんで、MMA的な動きはイメージ出来るし、そこにキックボクシングらしさを付け足す感じですよね。MMAすぎる動きをしても自分のキックボクサーとしての良さが出ない・活きないので(キックとMMAの)いい所どりでいきたいです」
――木村選手はK-1時代からブロックを固めて前に出る空手系ではなく、足を使って距離で入る・外すスタイルなので、MMAグローブの試合には向いていますよね。
「そうですね。あとはそこに上体の動きを入れたりして。組みがある分、キックとは距離が変わるところもありますが、自分の足を使って距離やポジションを取るという意味では基本的な動きは変わらないです」
――MMAでも一時は遠い間合いをキープをしてカウンターを合わせる打撃が主流でしたが、今はタックルを切る前提で自分からガンガン前に出る選手が増えましたよね。
「確かにそうですね。この前の秋元強真とパッチー・ミックスの試合もそうでしたよね」
――最初からボクシングで勝負する距離で戦うというか。
「打撃の距離でタックルを切るのは当たり前になっているので、相手が組みに来たら反応する・できるという感覚ですよね。あの領域まで行けるのが一番ですよね」
――ちなみに木村選手はいずれMMAをやってみたいという気持ちはあるのですか。
「そこ(MMAを)目指すというよりは、自分のキャリアを作っていく中で、そういう試合もやってみたいな、挑んでみたいなっていう。どこかの団体に一から出て…ということは考えてないですね」
――それこそ今回のカーライル戦のようにルールあり気ではなく対戦相手に魅力や意味を感じるかどうか、ですね。
「そうですね。なんか今ってそういう時代になってきてもいるじゃないですか。名前がある選手は。だから僕も鍛えるだけ鍛えて、どこかで(オファーが来ることを)待っていようかなと思います」
――木村選手はK-1で築いた実績やバリューもあるわけですし、そこは他のキックボクサーがMMAや他のルールにチャレンジするのとは違うと思います。
「僕も多少は長くやっていますからね。正直なところ、MMAでも上を目指したいと思うぐらいモチベーションは高いです。でも本当にそれがすごく大変なことだと分かっているからこそ、地に足をつけて自分を見ても、自分はまだまだだと思います。だからノリで(MMAの練習を)やっているわけではなくて、MMAも一つの格闘技だし、格闘技はずっとあるものだから、それをいつ極めるかの話だと思うんですよね。僕は格闘技が好きでずっとやってきたし、これからも何かしらの形で格闘技に携わって生きていく中で、今MMAをやらなかったとしても、どこかでMMAをやり出すと思うんですよね。だから僕は今を楽しんでいこうと。この世界にいたら必ずチャンスは来るものだと思うし、それこそ『今これ来る?』みたいなタイミングでチャンスが来たりもするんで」
――それこそ半年前にスパイク・カーライルと戦うことになるとは思ってないですよね。
「全く思っていなかったです(笑)。だからこの世界で生きていれば、変化球が飛んでくると思うので、その時にちゃんと打てるように準備しておく、と。僕はそういう意識ですね。もしそうやってチャンスが巡ってきて、MMAを連戦でやることになら、それをやっていく自信はあるかなと思います」
――確かに常に準備をしている選手にしかチャンスは巡ってこないものだと思います。
「逆に準備出来ていることにしかチャンスはこないし、こなせないんで。打撃は自分のスペシャリティーな部分で、一度テイクダウンに捕らわれすぎて、一瞬それを見失っていたんですけど、最近打撃中心の練習に切り替えてから(打撃が)戻ってきましたね。客観的に自分を見た時に、組み技の対策ばっかりやりすぎて打撃が微妙な木村ミノルになっていたら超つまらないなって。結局カーライルはUFCでもベラトールでも試合をしていて、AJマッキーをテイクダウンするレベルじゃないですか。それに対して僕が何日、何時間テイクダウンディフェンスを練習したとしても、カーライルからしたら関係ないよって話だと思うんですよ。それだったら打撃を磨きに磨いて、少しでも隙間があったら殴る・蹴る。そういう試合をする方が僕らしいかなと思いますね」
――今後はUNLIMITEDルールだからこそ木村選手がカーライルのようなRIZIN・UFCで戦ってきたMMAファイターと戦うチャンスが来たと思います。今後もUNLIMITEDルールで試合をして、カーライルのような相手とも戦いたいですか。
「UFCファイターとはやりたいですね。カーライルはその界隈でも名前が通ってる選手なんで、勝ち方・倒し方次第では世界的に注目も集まると思うんですよ。カーライルはグローバルに名前がある選手ですけど、自分はキックのファン、世界的に見たらコアなファンにしか知られていない。今回の試合も、グローバル的にはMMAで実績があるカーライルがキックボクシングの選手とやる、ぐらいの感じだと思うんですよ。そこをひっくり返したいですよね。周囲の見方を『木村ミノルというキックボクサーがカーライルに勝った!』に持っていくことにもモチベーションを向けています」



















