【Pancrase359】平田直樹戦へ。カリベク・アルジクル・ウール「キルギスの漢は強くて、謙虚なんだ」
【写真】20時間の長旅とロストバゲージ。日本について8時間後に、この爽やかな笑み。そりゃあ強いだろう (C)MMAPLANET
明日9日(日)、東京都港区のニューピアホールで開催されるPancrase359。ダブルヘッダー、夜の部のメインでカリベク・アルジクル・ウールが平田直樹と戦う。
Text by Manabu Takashima
バンタム級でタイトル挑戦権を獲得も、体重を落とせずフェザー級に階級を上げた。その初戦となった7月のISAO戦で107秒KO勝ちという圧倒的な強さを見せつけた。
今回は来日当日にリモートインタビューを行うと、長旅の末のロストバゲージという事態に陥っても、笑顔で取材に応じる心穏やかなカリベクがいた。どれだけの修羅場を潜り抜けてきたのか。何があっても動じることがなさそうなカリベクに、平田戦とキルギス人ファイターの強さについて尋ねた。
――ロストバゲージで、カリベクの荷物は中国に行ってしまったそうですね(※取材は6日に行われた)。
「そうなんだよ。なぜか、そんなことになってしまった。着替えもないよ(笑)。でもパンクラスの人がしっかりと対応してくれて、明日には荷物はホテルまで届けてもらえることになった」
――なぜ中国なのでしょうね……。
「アルマトイから中国の広州、そして日本というフライトだったからだと思う」
――今、サラリとアルマトイと言われましたが、アルマトイはキルギスでなくカザフスタンですよね?
「そうだよ。ビシュケクから車で5時間ぐらいかけて、アルマトイまで移動して飛行機に乗るんだ」
――!!!! なんと。そして荷物が1日遅れでやってくる。気が狂いそうにならないでしょうか。何より、ホームの日本人選手の方がコンディションを整えやすいのは絶対ですね。
「ハハハハ、起こってしまったことだからしょうがない。体調面に関しては10時間や時には15時間も飛行機に乗っているから、ちょっと厳しいというのはある。ただ試合は試合だ。キルギスで戦おうが、東京で戦おうが変わりはない。少し休めば試合当日は、しっかりと仕上がっている。全ては気の持ちようだよ」
――その心構えがあるからこそ、日本での2試合の合計試合タイムは、3分02秒なのですね。ところで7月のISAO戦ではフェザー級で戦いました。バンタム級時代と比較して、自らの動きをどのように感じましたか。
「減量が少なくなって、凄く体調が良かった。フェザー級の方がバンタム級時代よりも、動きは良かったよ」
――そのISAO戦に勝利しタイトル挑戦をアピールしましたが、今回は王座挑戦となりませんでした。
「そうだね、タイトルに挑戦したかった。でも、試合のオファーを貰えたしタイトル戦でなくても問題ない。今回の試合に勝って、次はタイトルに挑戦できればね」
――では対戦相手の平田直樹選手の印象を教えてください。
「ウェルラウンダーで手強い相手だ。試合を見る限り、レスリングが強くて打撃もできる。ただ、どのような局面でも、対応できるよ」
――パンクラスの過去2試合では、しっかりと組み技を見る機会がなかったです。グラップラーの平田選手と、組み技でやり合える自信は?
「ヒラタが優れたグラップラーだからといって、特に試合前の練習内容を変えることはなかった。いつも打撃だけでなく、レスリングやグラップリングでもハードな練習を課しているからね。打撃、グラップリング、レスリング、穴のないように鍛えるために毎日2部練をこなしている。
立って打撃で戦うことになっても、レスリング、寝技になっても自信を持って戦える。僕の方が、背が高くてリーチも長い。つまり打撃でもレスリングでも僕にアドバンテージがある。まぁ、試合を楽しみにしてほしい」
――平田選手は「無事で終われるとは思っていない」、「翌週に妹の試合があるけど、セコンドには就けないと伝えた」と言っていました。
「プロとして、素晴らしい心意気だ。そして正しい。試合があるんだ。勝ちたいなら、試合以外のことを考える必要はない。例え妹の試合があってもね。僕もそうだし、試合のことだけを考えるからファンに試合を楽しんでもらえる。僕にとっても、イージーファイトにはならないだろう。ただ、勝つのは僕だよ。
メインイベンターとして、ファンのために最高にエキサイティングな戦いをする。ケージの中で、全てを出し切って戦うつもりだ」
――素晴らしい心がけですね。ところでアリベクもバンタム級からフェザー級に階級を上げて、世界中のMMAイベントでキルギスの65キロのファイターが活躍しています。カリベク以外のトップファイター4人の強さをどのように認識していますか。
■キルギスMMAフェザー級五将
一.RIZINフェザー級チャンピオン ラジャブアリ・シェイドゥラエフ。
二.ONEフェザー級タイトルコンテンダー アクバル・アブデュラエフ。
三.パンクラス・バンタム級タイトルコンテンダー カリベク・アルジクル・ウール。
四.UFCフェザー級ファイター ムルタザリ・マゴメドフ。
五 Road FCフェザー級タイトルコンテンダー エルデュカルディ・ドゥイシェフ。
「基本的に皆、良い関係だよ。特にラジャブアリはタイ時代からとても近いし仲で、ビシュケクでも寝食を共にして練習も一緒にしてきた。アクバルも仲の良い友人の1人だ。彼は他のメンバーより、少し年上なんだ。練習をしていたし、グッドガイだよ。
エルデュカルディに関しては、名前は知っていたけど個人的に言葉を交わすような仲になったのは最近なんだ。ムルタザリとの関係は、もう少し長い。練習パートナーだったこともある。彼とは所属ジムは違うけど、同じビシュケクにあるジムだから交流があったんだよ」
――他の4人とカリベク、1位から5位までランキングを創るならカリベクは何位になりますか。
「アハハハハ。酷い質問だ。皆、強いから順番なんてつけることはできないよ(笑)」
――プロとして、自分が一番だという風にはならないのですすね(笑)。
「キルギスの人間は、謙虚なんだよ。特に強い漢ほど。どの国にも強いファイターはいるよ。でも、キルギスのファイターは強くて控えめなんだ(笑)。
ラジャブアリはRIZINのチャンピオンで、アクバルはONEのチャンピオンに勝っている。エルデュカルディもRoad FCでタイトルに挑戦する。ヒラタをISAOのように倒して、僕もパンクラスのベルトに挑戦する。神がその機会を与えてくれれば、僕もチャンピオンになる。ただ、今はヒラタとの戦いに集中している」
――押忍。ここまでキルギス人ファイターが世界中で活躍できるのは、なぜでしょうか。
「う~ん、分からないけど……厳しい練習をしているからじゃないかな。とにかくハードトレーニングを毎日している。秘密なんてない。ただ、ひたすらトレーニングをしているからだよ」
――実は日本のMMA界では羊肉を食べて、幼少期から馬に乗っている人間は強いといわれています。
「僕も自分の馬に、毎日のように乗っているよ。それにキルギス人ファイターがパワフルな要因の一つに、羊と馬の肉を食べているというのはあると思う。僕は大きなファミリーで生活しているから、自分たちの羊をファームで飼っているんだ。だから店で肉を買うことがない。
家にいる羊を捌いて、それを3、4日で食べきることもある。1週間に1頭の時もあるし、2頭の時もある(笑)。加工肉じゃなくて、自然で育った羊だからね。栄養価が高く、体に良いんだよ」
――プロセスフードにまみれている我々とは根本が違うのですね。
「キルギスに来てくれ。家でタップリの羊肉をご馳走するよ」
■視聴方法(予定)
11月9日(日)
Pancrase358=午後0時15分~U-NEXT
Pancrase359=午後4時55分~U-NEXT
■Pancrase359対戦カード
<フェザー級/5分3R>
平田直樹(日本)
カリベク・アルジクル ウール(キルギス)
<ストロー級/5分3R>
飯野タテオ(日本)
宮澤雄大(日本)
<フライ級/5分3R>
萩原幸太郎(日本)
小林了平(日本)
<ストロー級/5分3R>
野田遼介(日本)
佐々木瞬真(日本)
<フライ級/5分3R>
織部修也(日本)
稲垣祐司(日本)
<フライ級/5分3R>
天坂匡孝(日本)
平野洋太郎(日本)
<バンタム級/5分3R>
小間駿史(日本)
近藤悠真(日本)
<ミドル級/5分3R>
岡村寿紀(日本)
北英将(日本)
■Pancrase359対戦カード
<フライ級KOP決定戦/5分5R>
濱田巧(日本)
大塚智貴(日本)
<フライ級/5分3R>
ラファエル・リベイロ(ブラジル)
山崎蒼空(日本)
<バンタム級/5分3R>
合島大樹(日本)
神部篤坊(日本)
<フェザー級/5分3R>
糸川義人(日本)
清水博人(日本)
<2025年ネオブラッドTバンタム級決勝/5分3R>
佐藤ゆうじ(日本)
白井誠司(日本)
<2025年ネオブラッドTフライ級決勝/5分3R>
柴山鷹成(日本)
本川ハルアキ(日本)
<2025年ネオブラッドTストロー級決勝/5分3R>
渋井宏行(日本)
氏原魁星(日本)
<フライ級/5分3R>
平賀丈一郎(日本)
大鹿烈毅(日本)




















