【UFC320】悪夢のUFC初陣から、再起へ。パッチー・ミックス「本来の戦いをしたい。それが一番重要」
【写真】誰よりも前回の敗戦が悔しかったのは、本人のはずだ(C)MMAPLANET
4日(土・現地時間)、ネヴァダ州ラスベガスのTモバイル・センターで開催されるUFC320「Ankaraev vs Pereira 2」でパッチー・ミックスがUFC二戦目を戦う。
text by Manabu Takashima
20勝1敗、Bellator最後の世界バンタム級王者は13の一本勝ちと2つのKO勝ちを手にUFC参戦を果たした。今年で32歳、これからがピークのミックスは如何に世界最高峰で頂点に挑むのか。そんな期待はマリオ・バウティスタ戦でも事前の予想でフェイバリットだったことでも明らかだった。
しかし、ミックスはバウティスタの前に得意の組みを見せることなく劣勢の打撃戦を続け、判定負けを喫した。勝ち負けもそうだが、自身の強みで戦わなかった……戦えなかったことが、大きなショックを与えた。
そのミックスが再びオクタゴンに上がり、ヤクブ・ヴィクワチと相対する。前回の敗因は明白だというミックスにインタビューを行うと「UFCで戦うことは夢だった」と話し、だからこそ「ベストバージョンの自分でいたい」と真剣な表情で話した。
あの試合が上手くいかなかった原因は、ハッキリしている
──パッチー、今週末にヤクブ・ヴィクワチとオクタゴン2戦目を戦います。今の気持ちを教えてください。
「調子は良いよ。今回はしっかりと自分の力を見せてフィニッシュしたいと思っている」
――「今回は」というパッチーの言葉にも表れているかと思いますが、6月のマリオ・バウティスタ戦の敗戦は下手をすると米国のUFCファンよりも、堀口恭司戦や元谷友貴戦を見てきた日本のファンの方がショックを受けたかもしれないです。
「あの試合が上手くいかなかった原因は、ハッキリしている。UFCと契約して短期間の減量で体重を落とし過ぎて、スタミナがなかった。契約をした時の体重は168ポンド(約76.2キロ)もあって、スーパー・スーパー・ビッグだったんだ。そして急激に落としたことで、ほとんど病人のようになっていた。もう見た目からして、体調が悪いことは明らかだったと思う。
日本で試合をした時は、しっかりと減量をして完璧な体調だった。だからこそ、今回は前回のようなことがないように体を創ってきた」
――今がピークにあるパッチーは、他のオーガナイゼーションからの移籍組のなかでも、UFCでタイトルコンテンダーになれるという期待も高かったかと思います。
「本当に前回の試合からは多くのことが学べた。とにかく、試合を決めた時からファイトまでミステイクの連続だった。それでも1Rごとに30近いに有効な打撃を入れていた……けど、僕はストライカーじゃない。グラップラーなんだ。ただ、それだけの有効打があったことは悪いことじゃない。あの試合でも良かった点はあった。もちろんダメだったところも大いにある。そこを洗い出し、前を向いてトレーニングをしてきたんだ。
今回はこれだけ体も切れているから、前回の試合とは違ってレスリングもグラップリングももっと見せることができる。それこそキョージ・ホリグチと戦った時、あのKOアーチストをテイクダウンできると思って戦っていた。対してマリオとの試合はテイクダウンはできるのかと自分を疑い、確信が持てなかった。
頭の位置も高い、肩の位置もテイクダウンに入れるような動きを取れなかった。決してマリオを実像以上に大きく見ていたわけじゃない。コンディションが悪かったからだ。
とはいってもマリオは本当に尊敬すべきファイターで、素晴らしいハードワーカーだったよ。僕はUFCで、そういうファイターと戦っていくのだから、最高の調子に持っていく必要があると自覚できた。今回の試合に向けて僕はベストバージョンのパッチー・ミックスでありたい。レスリングやグラップリングで削られない本来の戦いをしたい。それが僕のなかでは、一番重要なことなんだ」
今回の試合では実力を証明しないといけない
――試合までのファイトウィークのスケジュールもBellatorとUFCでは違うかと思います。その辺りは何か影響がありましたか。
「ノー、そこはなかった。なぜなら、RIZINのファイトウィークを経験していたからだ。RIZINのファイトウィークはメディアデーやパブリック計量も含めて、UFCに似ていた。そして、そういうファイトウィークはスーパークールだった。僕だけでなく、チームの皆にとっても素晴らしい経験になっている。
UFCで戦えることは、本当に嬉しかった。BellatorがPFLに買収され、全く試合が組まれなかった僕にショーン・シェルビーとダナ・ホワイトがUFCで戦う機会を与えてくれた。だからこそ、今回の試合では実力を証明しないといけない」
――改めてですが、MMAファイターとしてUFCで戦う意味とは?
「全てだよ。ずっとUFCで戦うことは夢だった。でも、戦うことだけじゃないと前回の試合で気づいた。UFCで戦って、勝つことが僕の夢だったんだ。土曜日の夜に、それを実現させるよ」
――では対戦相手ヴィクワチの印象を教えてください。
「アグレッシブなグラップラーだ。そういうファイターと戦えるのは嬉しいよ。本当に良いグラップラーで、僕のよう……ってことはない。それは言い過ぎだ。まぁグラップリング勝負を挑んでくるなら、それで構わない。絞め落とすから。その機会があれば、チョークを極める。
彼も勝利のほとんどがチョークだから、そういう戦いにしたいだろう。でも彼がそうやって勝てたのは、相手が僕のようなレベルになかったからだ。僕の過去7戦の相手(バウティスタ、マゴメド・マゴメドフ、セルジオ・ペティス、ラフェオン・スタッツ、堀口恭司。グラップリングでカイラット・アクメトフ)と、彼が戦ってきた相手は明らかに違う。
それにこれはMMAだ。グラップラー同士の対戦でも、打撃が決め手になることもある。さっきも言ったけど、前回の試合でも112の有効打を入れていたんだ。350の内、112が有効だった。今回はそんなに打撃を使うことなくテイクダウンして、グラウンドで戦おうとは思っているけど打撃も大切な局面になる。それに彼の試合を見る限りスタンドで戦うことも好んでいるようだ。なかなかイっているデンジャラスなファイターだよ(笑)」
――確かにアグレッシブで、荒々しいです。
「そういう試合をヤツが仕掛けてくるなら、大歓迎だ。でも、僕の方が安定していて技術力がある。ガンガンやってきても、しっかりと技術の差を見せて勝利を手にするつもりだよ」
――狙いは当然サブミットすることですね。
「チケットを買って会場に足を運んでいるファンが、短い試合を観たいと思っているのか。それは僕は分からない。でもTVを視ているファンや、ケージサイドに並んで座っているボス達はそれを望んでいるだろう。なら僕もボーナスが出るような戦いを見せるよ」
――今回こそはそういうパッチーが見られることを期待しています。では最後に日本のファンに一言お願いできます。
「イチバーン。パッチー・ミックスがナンバーワンだ」
■視聴方法(予定)
10月6日(日)
午前7時00分~UFC FIGHT PASS
午後11時~PPV
午前6時30分~U-NEXT
■UFC320対戦カード
<UFC世界ライトヘビー級選手権試合/5分5R>
[王者] マゴメド・アンカラエフ(ロシア)
[挑戦者]アレックス・ポアタン・ペレイラ(ブラジル)
<UFC世界バンタム級選手権試合/5分5R>
[王者] マラブ・デヴァリシビリ(ジョージア)
[挑戦者] コリー・サンドハーゲン(米国)
<ライトヘビー級/5分3R>
イリー・プロハースカ(チェコ)
カリル・ラウントリー(米国)
<フェザー級/5分3R>
ジョシュ・エメット(米国)
ユーゼフ・ザラル(米国)
<ミドル級/5分3R>
ジョー・パイファー(米国)
アブス・マゴメドフ(ドイツ)
<ミドル級/5分3R>
アテバ・グーティエ(カメルーン)
トレストン・ヴァインズ(米国)
<ミドル級/5分3R>
ジェラエルド・マーシャート(米国)
ミハウ・オレキシェイジュク(ポーランド)
<ミドル級/5分3R>
エドマン・シャバジアン(米国)
アンドレ・ムニス(ブラジル)
<バンタム級/5分3R>
ファリド・バシャラット(アフガニスタン)
クリス・グティエレス(米国)
<フェザー級/5分3R>
ダニエル・サントス(ブラジル)
ユ・ジュサン(韓国)
<女子バンタム級/5分3R>
メイシー・シェエソン(米国)
ヤナ・サントス(ロシア)
<バンタム級/5分3R>
パッチー・ミックス(米国)
ヤクブ・ヴィクワチ(ポーランド)
<ウェルター級/5分3R>
プナヘラ・ソリアーノ(米国)
ニコライ・ベレテンニコフ(カザフスタン)
<ウェルター級/5分3R>
ラムズ・ブラヒメジ(米国)
オースティン・ヴァンダーフォード(米国)
<女子フライ級/5分3R>
ベロニカ・ハルディ(ベネズエラ)
ブローガン・ウォーカー(米国)